No.233 人間中心の社会を実現するAI
巻頭言
招待論文
AIビジネスにおける倫理の尊重が、世界中で叫ばれている。対策を怠れば企業は落とし穴にはまるおそれがあり、まさに経営課題になりつつある。本稿では、国内外の動向などの背景を踏まえた対策の視点を述べる。
総合報告
OKIのAI技術や適用事例を、最近のOKIテクニカルレビューの記事を元に整理する。また、関連する本特集号の記事も紹介する。
関連動向と取組み
AI開発が各国の国家戦略の大きな柱の1つとなりつつある中、AIを巡る議論は技術開発だけにとどまらない。本稿では最近の日本におけるAIに関わるさまざまな議論と政策、およびOKIの取組みを紹介する。
OKI内でAI適用を加速するために行っている、情報共有・情報発信、AI人材の教育・研修、AI時代に合わせた開発手法・品質保証の検討、大学・国を含む社外との連携といった具体的取組み例を紹介する。
実績の積み上げによる技術力向上とAI市場への認知度向上がスパイラル的に循環し続けるエコシステムを目指し、OKIグループを対象に実施している「ディープラーニング開発エコシステム」を説明する。
新技術
AIの基幹技術であるディープラーニングモデルは、演算規模が大きく小型機器への搭載が困難であった。本稿では、元の精度を維持しつつモデルの実行を省力化する軽量化技術の現状と課題、およびOKI独自の技術を紹介する。
シミュレーションデータを活用して、ディープラーニングによるノイズ除去モデルを開発し、このディープラーニング処理をエッジ端末上で行うための高速な推論を実現するモデル軽量化や実装上の工夫を紹介する。
ディフェンスシステム事業で培ってきた音響処理技術を、機械設備の異音検知への適用に取り組んでいる。現在、お客様の機械設備の稼働音を収録・分析する実験を重ね、具体化を検討中である異音検知の仕組みを紹介する。
従来の振動分析技術では扱いが難しい多様な動作パターンをもつ機器に適用可能な異常度推定手法を開発した。本稿では開発手法の概要並びに実機を用いた評価実験の結果を解説する。
BEMS(ビルエネルギー管理システム)では、設備の異常を検知するため、多様な異常パターンに対して自動で早期に検知ができる手法が望まれている。本稿では、AIによるBEMSデータを用いた建物内の異常検知の取組みを紹介する。
OKIが取り組んでいる画像認識を用いた異常検知技術の適用例を示す。また、その開発事例としてATMから得られる情報を組み合わせた異常行動検知を紹介する。
専門家が話すノウハウを、ラダリング対話に基づく知識表現で記述した多次元オントロジーを用いるOKIのAI対話技術の特長を説明し、この技術を製品化したLadadieを、具体事例で紹介する。
ETC2.0プローブデータでは、ETC2.0対応の車載器を持つ車両一台一台の走行履歴情報を取り扱うことができる。このデータを利用した渋滞予測技術と交通異常検知技術の方式説明とともに精度評価した結果を報告する。