No.224 安全で快適な社会を実現するICT
巻頭言
招待論文
データを活用するには大規模なデータから意味のある情報を抽出する技術を知ることが重要である。本稿では、ビッグデータ活用のために統計技法がいかに必要であるかについて解説する。
総合報告
ICTにより、実世界を"安全で快適に"変えるスマート社会の実現に向け、国内外で様々な取り組みが進められている。本稿では、「安全で快適な社会を実現するICT」について、市場動向およびOKIの取り組みを報告する。
商品および技術紹介
様々なモノに組み込んでネットワークへつなげる920MHz帯マルチホップ無線モジュールを中心に、これらを広域ネットワークに収容するゲートウェイや、アプリケーションからセンサーネットワークを利用可能とするM2Mプラットフォーム、さらに、業種ごとのアプリケーションを含むシステム構築までを提供するOKIのスマートネットワークソリューションを紹介する。
太陽光発電の大量導入に伴い、余剰電力への対策として外部からの通信により各家庭の出力をコントロールする必要性が指摘されている。家庭への通信手段として920MHz帯マルチホップ無線を用い、平成24年度から25年度にかけて青森県六ヶ所村で双方向通信の実証実験を行った。本稿では実験の概要と結果を報告する。
920MHz帯無線マルチホップネットワークの遠隔管理機能の一つに、ソフトウェアの更新機能がある。本稿では、マルチキャストや他の装置からの代理配布により、更新データを効率的に配布する場合においても、オリジナルの配布元を一意に認証し、不正な更新データの投入を防止できる手法を提案する。提案手法は、920MHz帯無線装置が通常備える共通鍵暗号のみを利用して実現できる。
安心・安全な道路交通社会の実現に向け、ITSは進化している。また、近年は自動走行システムにも注目が集まっている。これらの動きの中で無線通信は必須の技術となるが、特にITS無線通信技術の観点から、OKIのこれまでの取り組みと今後の展望を紹介する。
光アクセスでは、安全で快適な社会となるスマートコミュニティ化を実現するために、より質の高いサービスの提供を目指している。これには大幅な帯域拡張と柔軟な帯域割当機能が求められているため、WDM/TDM-PONをベースとする高品質・低消費電力の光無線融合ネットワーク研究開発を行っている。本稿ではWDM/TDM-PONの光送受信器に適用する高機能送受信器技術について、光ブースター機能、光プリアンプ機能および波形整形処理機能による送受信性能の改善方法を紹介する。
中小河川では、各所の水門施設等に設置した水位センサーや雨量センサーから情報を収集・「見える化」し、自治体災害対策本部でのリアルタイムで正確な定量的状況把握することが求められている。本稿では今回開発した河川監視システムを紹介する。
電波センサーによって非接触に冠水・洪水の状況を計測・判定するとともに、センサーの処理部(データロガー)にWebサーバー機能を付加することで、簡易でリアルタイムな状況把握と情報伝達・公開、Web経由のリモートメンテナンスが可能な災害監視システムを紹介する。
高齢化に伴う社会課題解決に有効な「先回り見守り型」の高齢者支援のコンセプトを説明する。また、その要となる技術として、電波型超高感度人感センサー技術を用いた活動量と睡眠の質の推定の研究について紹介する。
安全で快適な社会の実現に向けて、公共空間に設置されたカメラ映像から人物の行動を自動的に認識する技術の開発を進めている。それを実現する要素技術の一つである、混雑状況においても人物一人ひとりを追跡する技術について紹介する。
中小規模オフィス向けの構内電話交換機「CrosCore®(クロスコア)」を2013年に販売開始した。CrosCore®はさまざまなコミュニケーションをつなげビジネスの中核となる環境を築く。CrosCore®の主な特徴について紹介する。
近年多様化する顧客要望に対して柔軟に応えるため、最新コンセプトとして「マルチスタイルコンタクトセンター」を掲げた「CTstage6Mi®」を市場投入した。視認性・操作性を重視した管理ツールの強化、業務継続性を重視した高可用性・保守支援ツール・サービスウェアの強化などの特長を紹介する。
目の前に相手がいるような感覚で対話できるオフィス間テレワーク環境の実現に向け、数十視点の映像伝送ができるシステムを開発した。本稿では開発したシステムおよび裸眼立体視ディスプレイを用いた実験について述べる。
テレワークシステムやテレビ会議システムなどでは、より円滑にコミュニケーションを取るために、映像に映っている場所の音のみを収音する技術が求められている。本稿では、オフィスなど多数の音源が存在する環境であっても、マイクロホンアレイを用いて任意の場所の音を収音できる技術と、この技術を実装した実時間動作するエリア収音システムを紹介する。
「Remote Support」は、スマートフォンやタブレットを使用して、保守現場や製造現場にいる作業者と事務所やサービスセンターなどの遠隔地間で、リアルタイムに動画、音声、ポインタ情報を共有できるシステムである。従来のような電話音声や写真のやり取りと比較して格段にストレスが少なく効率よく作業を進めることができる。本稿では、「Remote Support」の製品化の背景、特徴や利用シーンを中心とした製品、ならびに今後の方向性について紹介する。
学校施設は児童・生徒や教職員だけでなく、保護者、介護体験生など、多くの来訪者が訪れる場所である。初めて来た来訪者にとっても、目的の場所へ誘導する情報がわかりやすく提示されている必要がある。本稿では、学校施設バリアフリー化の取組みとして、特別支援学校の案内表示およびピクトグラムの検討について紹介する。
技術解説
パッシブソーナーで重要な、指向性を形成するために基本的な整相処理の概念について説明し、分解能を向上させる適応整相処理および信号到来方位と整相方位が一致しない場合等に生じる劣化を改善する適応整相のロバスト化について解説する。