通信ネットワークは4kHz帯域を基本単位とするアナログ電話網から、64kbpsを基本単位とするディジタル網へと発展してきた。その結果、通話品質の向上、通信料金の低減ならびにN-ISDN、ディジタル専用線等多彩な新サービスの提供が可能となった。
コンピュータのダウンサイジングの進展は、インターネットの急速な普及をもたらし、このトラフィックは年々増加を続けている。同時に、各種メディアのディジタル化技術が完成し、マルチメディアサービスに適した通信ネットワークの実現の素地も整い、その具体化が大きな課題となってきた。ここではネットワークを取り巻く環境、ネットワークの現状、これからのネットワークの課題、当社の取り組みについて述べる。
-
ノードシステムの動向と取り組み~マルチメディア通信のサービスノード~
浅井 裕
マルチメディア時代の到来とともに通信を利用する機会が増え、より高度で利用しやすいサービスを希望する声が大きくなっている。
本稿では21世紀に向けて変貌する情報通信ネットワークの中でノードシステムの役割と動向を概観し、当社の開発に向けた取り組みを述べる。
-
新ノードシステムの概要と当社の取り組み
富沢 宣幸 上田 久雄 大内 和史
通信サービスを取り巻く環境はインターネットの普及に代表されるように急激に変化している。この通信サービス(音声電話サービスからマルチメディアサービスまで)に対する要求の変化に応えるために、日本電信電話(株)(NTT)が進める新たなノードシステムの研究開発に当社は参画している。本稿では、NTTと共同開発した新ノードシステムを紹介する。
本MHN-Sシステムは、既存STM(Synchronous Transfer Mode)系サービスおよびパケット系サービスの設備置換を主目的とし、大容量・小型化を達成するとともに、加入者収容部のマルチロケーション設置形態およびISDNパケット処理のハードウェア化によるソフト呼処理への負荷軽減を実現している。また加入者収容部では、BOCU(ISDN/PHS)およびSLICのパーチャネル化(1加入/カード)を実現させ、飛躍的な保守性・信頼性の向上を図ることができた。本稿では、これらのハードウェア構成について述べる。
-
MHN-Aノードシステム~マルチメディア通信時代のコアシステム~
森下 幸雄 白鳥 毅
フレームリレー、ATMサービス等の高速データ通信サービスの普及に向けて、小型経済化版ATMノードシステムを構成するため、日本電信電話(株)(NTT)のマルチメディア処理ノードA(MHN-A)の開発に参画した。
本システムは、新ノード共通のプロセッサ、ハードウェアおよびソフトウェアを採用することにより、開発期間の短縮とシステムコストの低減を実現した。またATMサービスだけではなく、各種のデータ系サービスに適用できるアーキテクチャを有している。
-
インテリジェントネットワーク~サービス開発のオンデマンド化に向けて~
鈴木 俊範 稲葉 稔智 上辰 憲良 小林 稔和
昨今の通信事業者間の競争激化や移動体通信の台頭に伴い、新サービス導入までの期間短縮とネットワークワイドな通信サービスへの要請が高まってきている。インテリジェントネットワークはその要請に応えるアーキテクチャである。本稿では、インテリジェントネットワークのねらい、構成、技術などを概観するとともに、その実現例として当社が開発したシステムについて述べる。
-
DISCOVERY8000統合ノード~シームレス通信を提供するゲートウェイシステム~
穂積 茂 八木橋 俊之
近年、電気通信事業の規制緩和を背景に、各種サービス、メディア、ネットワークなどの相互接続の必要性が高まってきている。当社では、経済性に優れたDISCOVERYアーキテクチャをベースに、ゲートウェイシステムに適用するプラットホームとして、ITU-T勧告、TTC標準などのインタフェースを備え、多用な相互接続を可能としたDISCOVERY8000を開発した。本稿では、DISCOVERY8000統合ノードの特長とシステム構成を示し、併せて主な提供サービスについて述べる。
インターネットを用いたサービスが急速に普及し、データ通信のトラフィックは毎年数10%を超える伸びとなっている。これに応えるべく、伝送路の大容量化が進められている。一方、動画像の帯域圧縮技術の確立で、音声・文字・映像等のあらゆる情報メディアが、ディジタル形式で統合的に扱えるようになった。これらの統合化された情報を1つの加入者端末で扱うにはおおよそ10Mbpsが必要となり、現在のN-ISDN回線より2桁広い帯域が必要となる。ここでは、当面のデータを中心とするトラフィックの急増への対応と、21世紀初頭に普及されるであろうマルチメディアネットワークサービス時代の要求に応えるリンクシステムについて、その動向と当社の取り組みを述べる。
-
10Gbpsリングシステム
榊 正彦 向島 俊明 松田 充弘
近年、ISDN・携帯電話・PHS・ディジタル専用線・インターネットなどの急速な普及に伴い、マルチメディア時代にふさわしいネットワーク構築が必要になっている。これを実現するため、リングネットワークを使用したネットワークの構造改革が進められている。本稿では、マルチメディア時代にふさわしいネットワークを構築するシステムとして、10Gbpsリングシステムを開発しているのでその構成、特長について述べる。
-
10Gbps双方向光増幅中継システムの開発
辻角 光夫 植松 澄 渡辺 孝 永井 博 小川 弘毅 浅林 一成 石村 克宏
近年、移動通信、インターネットの爆発的な普及に伴い、幹線中継伝送路の大容量化、長距離化、低コスト化が望まれている。本稿では、これらの要求に応えて開発した10Gbps双方向光増幅器中継システム(OAS)について述べる。OASは1本の光ファイバに上り2波長、下り2波長、各10Gbpsのトラフィックを収容し、最大540kmの光増幅器中継能力を持ち、中継伝送路のマネジメント機能を有する、幹線中継システムである。
-
600M多重変換装置
大野 進 小山田 裕二 遊座 徹郎 高橋 透
SDH伝送網を構成する装置は、日本電信電話(株)(NTT)が開発した機能ごとにモジュール化された装置、(1)中継伝送(モジュールA)、(2)クロスコネクト(モジュールB)、(3)インタフェース変換(モジュールC)の組み合わせによる構成が一般的であるが、システム規模が小さい地方の中継エリアにおいては、モジュールA、B、Cを統合化した装置が経済性の面から有利な場合がある。今回、中容量のネットワーク局に適したモジュールA、B、C統合型SDH(Synchronous Digital Hierarchy)伝送装置を開発したので紹介する。
-
アクセスシステムの動向と取り組み~マルチメディア時代のアクセスネットワーク~
斉藤 慧一
マルチメディア時代におけるアクセスネットワークの動向と沖電気のアクセスネットワークシステム製品開発の取り組みの一端を紹介する。
-
ATM光アクセスシステム
横田 潔 横地 晃司 川口 和穂 山道 昇
マルチメディアサービスを効率良く提供するために、光アクセス系へATM技術を導入することが有効であり、ATM-PON構成を中心に国際的に標準化が推進されている。本稿ではこの標準化動向に即して、現在開発中のATMアクセスシステムの概要を述べる。本システムは、低コスト、フレキシブル、グローバル化可能などのアクセス系システムへの要求を満たす特長を持つ。
-
STM光アクセスシステム~マルチメディア通信を支えるPDSシステム~
厚川 仁 正能 正己 金内 健次
この度、アクセス網の光化を推進するためにPDS方式を用いた新光アクセスに提供する光加入者線端局装置と光加入者線終端装置を開発した。
本システムの開発のねらいとシステムを構成する機器の特徴を中心として報告する。
-
メタルアクセスシステム~メタル資産を活用したマルチメディア通信の実現~
田代 隆夫 小松 一俊 高橋 明宏 千釜 努
既存のメタル加入者線を利用した高速メタル加入者線伝送装置として、ISDN基本サービス用加入者線局内終端カード(BOCU)、およびインターネットサービスプロバイダへの高速アクセスを可能にするOCN(Open Computer Network)用低速アクセス装置を紹介するとともに、さらに高速化を図り、光ファイバ並みの1544kbpsの伝送速度を実現したHDSL(High-bit-rate Digital Subscriber Line)伝送システムを述べている。
-
スマートMDF
本田 健一 吉木 利治 尾崎 裕二 横地 晃司
電話等の加入者側と交換機側を接続するジャンパ作業を、遠隔制御ロボットにより自動的に接続することを可能にしたSMDFのシリーズ化(小・中規模自動MDF、屋外設置型自動MDF)による適用範囲の拡大、集中制御方式の採用、高速伝送機能の追加およびオペレーションインタフェースの開発による、サービス追加を行ってきたので、その概要を述べる。
-
専用線システムの動向と取り組み~より使いやすい専用サービスへ~
舩津 潤治
本稿では、専用サービスの動向とこれに応じた装置開発に当たっての考えを述べる。
専用線サービスを低コストで提供する装置およびオペレーションシステムを開発した。従来の専用線サービスの課題を整理し、コストを低減させるための方式、装置仕様の概要、およびオペレーションシステムについて述べる。
-
専用回線接続装置~より保守しやすい試験機能の実現~
流合 将英 松下 剛幸 竹内 貞徳 桜井 孝
専用線にルータ装置を接続するために用いる専用回線接続装置を開発した。本装置は、DSU(Digital Service Unit;ディジタル回線終端装置)と、ユーザ端末を接続するためのTA(Terinal Adapter;端末インタフェース変換装置)を一体化し、操作性と保守性を向上したものである。
本稿では、専用回線接続装置の開発背景、本装置の装置構成、および本装置の機能をを試験機能を中心に紹介する。
-
オペレーションシステムの動向と取り組み~統合化ソリューションの提供に向けて~
田中 哲治
通信ネットワークの変貌とともに、ネットワークオペレーションに対する要求と期待が高まっている。本稿は、このようなネットワークオペレーションが注目されるに至った背景にある標準化動向と通信事業者の動向を紹介し、当社のオペレーションシステムに対する現在および将来の取り組みについて述べている。
-
新ノードオペレーションシステムの開発
高橋 良和 青木 進 阿彦 浩文 梁田 武実
既存オペレーションシステムからの脱皮を図り、特に「オペレーション業務のフロースルー化」、「高度な窓口サービス提供のための広域オペレーション」、「数百のノードシステムを経済的に24時間監視・制御可能な高信頼性」を達成した新ノードオペレーションシステムの技術について述べている。
-
装置オペレーションシステム
野田 俊雄 山口 政巳 池田 光敬 入内島 正明
多種多様な通信網の管理として、通信網管理という観点から標準化がなされており、当社での通信網システムの開発においても、伝送システムを初めにTMNに準拠した装置オペレーションシステムの開発を進めている。本稿では、各装置オペレーションシステムの紹介および既存オペレーションシステムのTMNに準拠した、オペレーションシステムへの収容に対する取り組みを紹介する。
-
サービス統合オペレーションシステム
横地 晃司 荒川 勤 寺倉 洋祐 中澤 修
当社では、今後のネットワークビジネスを展開する上で重要な位置付けとなるオペレーションシステムを開発している。本稿では、現在開発中のサービス統合オペレーションシステムの基本構想を述べるとともに、本システムを構築する上での様々な要素技術、オペレーションの統合化および個々のサービスオペレーションの実現方法について述べている。
-
エンタープライズ網オペレーションシステム
秋重 康治 西田 慎一郎
本稿はDISCOVERY2000、 iOX7000シリーズおよびルータなどのLAN機器で構成される企業内網の統合管理を実現するOKI Enterprise Network Management Systemについて、その機能を紹介し、ソフトウェア構成によりもたらされる拡張性、今後の機能拡張に対する取り組みなどについて述べている。
-
コンピュータ通信の動向と取り組み~広域IPネットワークシステムWORLDSPACE21/20の開発~
石塚 勝 川勝 正美 浅井 裕 蛭子 隆彦 橋爪 幸直 松下 政好
電話のためのネットワークからコンピュータの利用を中心としたネットワーク、インターネットが急速に普及している。当社では日本電信電話(株)が提唱する次世代コンピュータネットワーク構想に賛同し、21世紀に向けた新しいコンピュータ通信ネットワークシステムをWORLDSPACE21コンセプトに基づいて開発している。音声、画像、データなどのさまざまなメディアの通信をサポートするとともに、サービス品質の保証、安全性、信頼性などのネットワーク利用者の使いやすさを追求した次世代IPネットワーク向けソリューションWORLDSPACE21について紹介する。また、コネクションレスサーバによるLAN間通信システムWORLDSPACE20についても紹介する。
-
“WORLDSPACE21”—コアシステム—~広域IPネットワークシステムWORLDSPACE21コアシステムの開発~
小川 司 吉居 伸幸 竹之下 博士 新木 由美子 渡辺 政明
インターネットユーザの急激な増加に伴って、広域で高速なコンピュータ通信ネットワークの基盤作りが急務である。米国では広域インフラ整備として次世代インターネット(NGI;Next Generation Internet)計画が提唱されすでに始動している。当社では、日本電信電話(株)が提唱する次世代コンピュータネットワーク構想に賛同し、来るべき21世紀の本格的なマルチメディア時代に向けた新しいコンセプトに基づいて開発を行っている。本稿では、次世代広域IPネットワーキングのソリューションを提唱するWORLDSPACE21のコアシステムの概要について述べる。
-
コネクションレスIP通信システム“WORLDSPACE20”~KG6000 ATMコアルータとMA1000 ATMエッジルータの開発~
作間 哲夫 小林 務 織戸 保寿 麻木 奨
ATM網の普及により、ATM網を利用した広域ネットワークの構築が進んでいる。本稿では日本電信電話(株)(NTT)と共同開発したATMコアルータとATMエッジルータを用いて、ATM専用線によるLAN間接続を経済的に実現するコネクションレスIP通信システム"WORLDSPACE20"について述べる。
-
広域IPネットワークシステム—IP-CES-OMNIGATE2000—~IPによる音声・映像・データ統合通信システムOMNIGATE2000の開発~
福吉 誠 河西 公成 坂野 恒之 立澤 茂 石塚 勝
当社では次世代IPネットワークの到来を前に統合IP通信システムOMNIGATE2000の開発に取り組んでいる。OMNIGATE2000は音声・映像・データをすべてIP(Internet Protocol)パケットとして扱い、LAN/WAN(広域IPネットワーク)間をシームレスに接続し、インターネットと電話が連携した新しいサービスが提供できる先進的なシステムである。
-
エンタープライズネットワークの動向と取り組み~エンタープライズネットワークの変革と沖のネットワークソリューション~
杉本 晴重 林 俊行
企業経営を支える情報通信の核ともいえるエンタープライズネットワークの重要性はますます大きくなってきている。また情報通信技術も大変革期にある。
沖電気は市場動向、技術動向を的確に捉え、技術開発と製品提供を行うとともに、コンサルテーション、SEから保守・運用までの各種サポートサービスを通じネットワークソリューションを提供する。
-
CTIビジョンとシステム~情報・通信の融合によるオフィスコミュニケーション・ソリューション~
三浦 卓 坪井 正志
コンピュータと電話を融合したCTIシステムのキーとなる技術として、コンピュータテレフォニ、ユニファイドメッセージ、インターネットテレフォニがある。これらの技術を用い、オフィスにおける業務効率の改善、顧客サービスの向上、通信コストの削減のためのコミュニケーション・ソリューションを提供するシステムとして、新規にAdvanced CTI Systemを開発した。また、すでに製品化しているCTstageのさらなる機能拡張を実施した。
-
高度化するオフィスを支える統合マルチメディアノード—DISCOVERY2000—
福田 美正 大木 登
企業向け通信システムに要求される多彩なサービス機能、多彩なネットワーク構成を実現する統合マルチメディアノード(DISCOVERY2000)について、ユーザ適用事例を中心に述べている。
DISCOVERY2000は、音声・データ・画像等のメディア情報の通信、多彩な端末によるパーソナル通信を、経済的かつ柔軟に提供する統合マルチメディアノードである。
-
イントラネット・ソリューション~インターネットセントリックなコンピューティングシステムに向けて~
澤田 寛治 矢野 達朗 森田 俊也 立花 茂生 池田 良一
沖イントラネット・ソリューションは、ハードウェア、ソフトウェア、サービスウェアの3つのフレームで構成され、信頼性を高めた二重化システムとイントラネット構築のためのさまざまな課題を解決する質の高いサービスウェアを特長としている。提供の形として、最新の高度な技術提供を行うプロフェッショナル・ソリューションと各フレームのモデル化・パッケージ化により、導入を容易にしたオールインワン・ソリューションがある。
本稿では、沖イントラネット・ソリューションの構成およびサービスについて述べる。
-
インフラネットワークシステム~最適なネットワーク基盤を提供する沖の企業ネットワークシステム~
石川 裕 蓮見 浩明 萱島 元司 松沼 敬二
通信技術の進歩、コンピュータシステムの変化に伴い、企業のネットワークはより高度化、複雑化している。当社では情報システムの基盤となるネットワークを「インフラネットワーク」と名付け、ユーザに最適なネットワークを追求し、ユーザに提供している。
本稿では、高い技術力と優れたコンポーネントそして当社のネットワークシステムインテグレーションサービスの概要を紹介する。また、高信頼ネットワークの構築事例とコスト削減を狙った音声統合ネットワーク事例などを通して、企業の基盤となる安定したネットワークを提供する沖電気の姿勢を紹介する。
-
モバイルネットワークの動向と取り組み~シームレスサービス提供ネットワークを目指して~
中野 旭 金井 豊男
モバイルネットワークは加入者増大に従い、アナログ方式からディジタル方式へ移行し、ディジタル化とともにサービスは音声サービスに加え、データサービスが提供されつつある。しかし、固定ネットワークサービスをシームレスに提供するためには、モバイルネットワークの高速化が必要となる。当社は、1970年代初期よりセルラ方式移動電話、PHS電話およびPHSカード等端末装置の開発に取り組んできた。さらに近年、PHS公衆基地局、PHS方式WLLおよびCDMA方式基地局の開発製品化にも積極的に取り組んでいる。本稿では、モバイルネットワークの動向と当社の取り組みについて報告する。
-
PHS公衆用コードレス基地局装置~サービスエリアを無線中継機能で補完するPHS基地局~
杉山 直樹 中沢 克彦 大矢 正義 藤原 義弘
1995年からサービスが開始された簡易型携帯電話のサービスは、現在約700万人まで増加している。この中で基地局相互のサービスエリアの補完がPHSサービス向上の要求として高まってきている。筆者らはCS相互のサービスエリア補完には中継機能が有効と考え、PHS無線インタフェースの中継機能を持つ基地局装置を開始した。
-
PHSデータ通信カード~身近なモバイルコンピューティング環境の実現~
菅野 秀明 清水 敏久 金子 雅彦 壱岐 昌純 中沢 克彦
PHSによる32kbpsデータ通信サービスが開始されたことで、新しいモバイルネットワークの1つとして、いろいろな利用方法が検討されている。今までの電話中心の通信から、ノートパソコンや携帯情報端末などを自由に持ち歩き、いつでも文字や画像などの情報を通信可能なモバイルコンピューティング環境を身近なものとして実現させるため、PHSデータ通信に対応した無線機一体型データ通信カードの商品化開発に取り組んできた。本稿では、その開発のねらい、装置概要およびアプリケーションなどについて説明する。
-
PHS方式を用いたワイヤレスローカルループシステム
藤塚 勇 守谷 宏之 成田 豊登 小柴 徹 三坂 亮
電話普及率の低い国・地域において、電話の早期設置を求める声が高まっている。その要求に応えるため、通常の電話線の一部をPHS方式の無線インタフェースに置き替えたワイヤレスローカルループシステムを開発した。本システムはキャリアが設置してある既存交換機の加入者インタフェースに接続が可能であるため、局舎内の設置工事期間が、また電話線の一部を無線に置き替えるため、電話線の敷設工事期間が大幅に短縮でき、早期のサービス実現が可能となる。
-
CDMAセルラ端末装置
細田 賢一郎 勝山 力 山上 剛 安川 新比古
当社では、北米標準IS-95Aに準拠した800MHz帯CDMAディジタルおよびAMPS(Advanced Mobile Phone Systems)アナログセルラの2モードの機能を可能とする、ベースバンドモデム部を中心としたチップセットの開発を完了し、さらに自社チップセットを使用した、北米向けデュアルモードCDMAディジタルセルラ端末の量産を開始した。本稿では、CDMAディジタルセルラ端末の、装置概要、特長、主要技術について述べる。
-
マルチメディア通信の動向と取り組み~沖の考える21世紀のマルチメディア通信~
高呂 賢治
当社では、21世紀に向けてのさまざまなマルチメディア通信システムを開発している。その現状の市場・技術動向およびマルチメディアネットワークについて、当社の考えているビジョンを描き、提供するシステム、サービスを提案・紹介する。また、標準化動向、映像アクセス系、コンピュータ通信と映像、情報・通信・放送の融合、ディジタル放送などの市場動向、技術動向と当社のマルチメディア通信についての取り組みを紹介する。
-
インターネット用機械翻訳システムPENSEE for Internet~快適なインターネットサーフィンのために~
村田 稔樹 山本 秀樹
インターネットの普及により世界中の情報がWWWから手軽に入手できるようになってきている。しかしWWWで使用されている言語のほとんどは英語であり、日本人は不便を感じることが多い。そこで、WWWの検索時に簡単に使用できるWWW用機械翻訳システムを開発した。本システムはWWWサーバとブラウザとの間の通信路上に位置し翻訳を行う。事前翻訳方式および蓄積翻訳を採用することでリアルタイム翻訳(ほとんど時間がかからない翻訳)が可能となった。
-
PHSリアルタイム動画像通信システム
野中 雅人 西 敬 福井 潔 中井 敏久
マルチメディア通信をモバイル端末上で実現するものとして、我々はPHS通信路を利用した汎用PC上で動作する動画像通信システムを開発した。伝送メディアに対応した処理優先度の制御等によりリアルタイム性を確保し、誤り耐性を有する動画像符号化やメディア多重化アルゴリズムの採用により、伝送誤りが発生する無線通信路でも比較的安定した動画像通信を実現している。また、ソフトウェアで構成されているため、今後のモバイルマルチメディア通信技術の開発プラットフォームとして使用することができる。
-
YS3000シリーズMPEG2符号化復合化装置~映像通信のトータルソリューションの提供~
本玉 靖和 池田 一雄 南雲 正浩
現行のTV品質での映像符号化方式としてMPEG2が国際標準となり、衛星ディジタル放送や地上波ディジタル放送に用いられることが決まった。また通信ネットワークを介した監視系や映像素材の伝送などの、映像通信の分野においても、MPEG2方式を用いることで、TVなみの映像を扱うことが、より、身近なものとなってきている。本稿では、MPEG2技術を用いた沖電気の映像CODEC装置の製品群の紹介を行う。
-
“アイリスパス”セキュリティシステム
星野 恭祐 岡本 武志
ネットワークのオープン化が進み、接続される端末数と提供されるサービスが増大している。それにつれてセキュリティに対する関心が日々高くなってきている。本稿では、入退室ゲート管理から電子決済までのセキュリティ分野での「鍵」としての個人認証技術の重要性を述べ、当社で開発を進めている人の目のアイリス(虹彩)を用いた個人認証装置(アイリスパス)が、長野冬季五輪大会で運用された事例を述べている。
ネットワークの高度化、高速化に向けて、さまざまな動きが活発化している。この、新しいネットワークは社会に大きな変革をもたらすものであるが、その有効なアプリケーションとして期待される分野の1つに、遠隔医療がある。当社は名古屋において遠隔医療支援システムを試作開発し、実験、評価を行った。実験においては、医用画像伝送、コラボレーション、ビデオカンファレンス等の機能を統合し、遠隔医療支援業務に対し優れたヒューマンインタフェースを提供している。
高速広帯域ネットワークの普及に伴い、遠隔医療支援機能や実施地域が充実し、今後重要性が高まっていく医療の分野において、高度な医療を受ける機会の均等化、病診連携によるきめ細かい医療の充実等、新しい形態の医療の出現が期待される。
-
MPEG2用LSI
中村 孝雄 湖本 英治 山崎 真人
国際標準規格MPEG2に準拠したデマルチプレクサLSIとオーディオ/ビデオコーダLSIを開発した。デマルチプレクサは、専用ハードウェアと内蔵CPUの処理分担を最適化することにより、低消費電力を実現した。またオーディオ/ビデオデコーダは、大規模LSIながら低消費電力と高速シンクロナスDRAMインタフェースを可能とし、高性能なLSIとすることができた。本LSIを使用することで、ディジタル放送受信機等で必要とされるMPEG2システムの基本構成を実現することができる。
-
システムLSI設計プラットフォーム
今井 忠男 秋山 裕之
通信システムの高度化に伴い、大規模高機能化していく通信用システムLSIの開発に短期間で対応するため、システムLSI設計プラットフォームを構築中である。このプラットフォームでは、マクロ化されたLSIの機能要素すなわち設計資産(IPマクロ)を、有効的に、再利用するものである。本設計プラットフォームをネットワークインタフェースを司るLSIの開発に、ソフトウェアIPマクロを再利用する形で適用した。その結果、従来手法に比べ5人月の開発期間の短縮が図られ、またその有効性が確認された。
-
ソフトウェア開発プラットフォーム~多様化する通信サービスの実現をめざして~
伊串 泰宣 田中 亘 安藤 津芳
通信ソフトウェアを効率的に開発するためのソフトウェア開発プラットフォームを、いかに提供するかについての解決策となる開発環境モデルを提供する。この開発環境モデルにおける支援をソフトウェアの開発支援と管理支援の2つに分け、分散開発の視点を踏まえて、開発支援では開発工程別に具体的な支援方法を示し、管理支援では工程別支援と工程間共通支援という観点から、それぞれについて具体的な支援方法を示した後、開発支援ツールと管理支援ツールの連携について述べる。最後に、全体をまとめさらなる展開について示す。
-
実装技術の動向と取り組み~通信装置におけるシステム実装技術と今後の取り組み~
海谷 善治
通信装置をはじめとする各種電子機器は、次世代通信のFTTH(Fiber To The Home)、マルチメディア通信といったキーワードで示される革新的な技術をベースに開発されている。
これらの動向に対応して「実装技術」はハイテク、ローコストの要求に応えるべく、「電気的、機械的、光学的に、システム全体をまとめあげる技術」へ進化した状況となってきている。
本稿では通信装置の今後の実装技術の動向と、これらの開発に当たっての考え方を述べる。
-
通信装置用光化メトリック実装の開発~実装構造のグローバル化と経済化への取り組み~
徳永 大 藤田 哲也 木藪 晴彦 岡部 進 飛田 豪
次世代通信装置に向けて、新たな実装法を開発した。「世界に通じる実装」を基本コンセプトにして、メトリック系基本寸法格子に基づいて構築した、高速・高密度実装法である。今日、国内通信装置のデファクトスタンダードとして広範囲に採用されている日本電信電話(株)(NTT)標準実装法Hi-PASと互換性を有し、その設計思想と技術資産を継承しながら、実装の国際標準化動向の取り込み、実装構造の大幅な経済化、実装システムの高度化を実現した。さらに地球環境保全の見地から、地球にやさしい素材・構造を用いて、産業廃棄物を含めた環境破壊要因の削減とマテリアルリサイクル性の向上を実現した。
-
光加入者システム用架空筐体の開発~アクセス網の光化に向けた特殊実装技術への取り組み~
徳永 大 多部田 進 山本 直樹 岩ケ谷 圭佐 青木 努
急速に拡大するマルチメディア需要へ向けたアクセス網の高度化には、アクセス網の低コストな光化が不可欠である。実用化された新光加入者システムでは、加入者近傍へのONUの設置が重要であり、その設置形態には屋内設置・地上屋外設置・屋外壁面設置・ケーブルに直接吊り下げる架空設置などの形態がある。本論文では、これらのうち最も基本となる架空設置ONUの実装構造・耐環境設計技術・信頼性評価手法について報告する。
-
屋外設置形光アクセスシステムの実装技術~新しい光アクセス装置RSBM-Fにおける実装技術~
藤澤 成光 水野 達哉 宮城 盛照 岡島 久人
RT(Remote Terminal)方式による屋外設置タイプの新たな光アクセス装置として、今回RSBM-F (Remote SuBscriber Module for Feeder Point)装置を実用化した。
本稿では、高機能・高度化に加え、厳しい屋外での設置環境に対する耐力が要求される。RSBM-F装置において適用した実装技術ならびに耐環境評価技術について述べる。
-
生産プラットフォーム~市場をつなぐ生産部門~
野口 秀雄
生産現場の中に製造物をできるだけ滞留させないためには、製造物が流れていない時から、生産計画情報と仕様情報の形で製品を存在させて仕様のチェックや部品手配、原価低減、品質保証、納期管理を行わなければならない。これらを効率よく行うには、「2つの市場(製品市場と部品市場)をつなぐ」という観点で捉えて、「設計・営業(顧客)・生産(工場内外)に整合のとれた情報と物を流して全体効率を上げる」機能としての生産プラットフォームが必要になる。
-
品質保証プラットフォーム~品質システムの構築と展開~
吉田 忠夫
当社の通信部門における品質保証活動において、1995年11月のISO9001の認証取得の結果として確立された品質システム、特にその中で重要な位置を占める新製品の品質保証に対する考え方を述べる。また、我々が近年取り組んできた品質保証活動の展開事例も併せて紹介する。
-
マーケティングプラットフォーム~市場密着型ハイテク企業を目指して~
藤川 英理 藤川 久雄 丹羽 賢二郎 嵜田 康彦
最新の技術・製品動向とお客様の声を反映した迅速な製品・サービス提供のために、マーケティングとR&Dを有機的に結合し、お客様の満足度を極大化することを目指した「マーケティング・プラットフォーム」の概念と機能を紹介する。
-
AFCを用いたチップダイレクト接続技術
小澤 進 遠山 広
ICの多ピン化や微細ピッチ化に伴い、従来のワイヤボンド方式に代わる新しい接続方式が求められている。今回我々は、LEDプリントヘッドのLEDアレイと駆動IC間の接続に異方性導電膜(ACF)を用いた新しい方式を開発した。本接続方式の特長は、千鳥状に配置された40μmピッチの電極を一括で接続できることである。技術的課題はACFの供給方法と接着方法であるが、新に開発した沖独自のセルフアラインACF供給法と2ステップ加熱接着法により課題を解決した。本稿では、その詳細と接続状態ならびに接続信頼性について報告する。
-
文書改版時の翻訳を支援する機械翻訳システム
介弘 達哉 山本 秀樹 杉尾 俊之
本システムは、文書の旧版の対訳を利用することにより、改版時の文書の翻訳作業を効率良く行うことを目的とする機械翻訳システムである。旧版と新版の原文を比較し、同じところは旧版の訳文を利用し、違いがある文だけ機械翻訳を行うことによって、翻訳作業の軽減を可能としている。
本稿では、このシステムを実現するために必要な、原文の変更部分を検出する技術および対訳文書の文の対応付けの技術を述べる。また、実際のマニュアルを用いて行った評価の結果を示す。