No.178 沖データ プリンタ特集

プリンタを取り巻く環境は、PCの性能向上、ネットワーク化とディジタル化の急速な進展により大きく変わった。当社は、エンドユーザに対して、必要な時に必要な物が印刷できるプリント・オン・デマンドの環境を提供する役割を担っている。ここでは、そうした環境変化に適応するプリンタ、MFP(多機能周辺機器)の技術動向について概説する。
インターネットの急速な発展が、将来の印刷機器への要件に大きな変化を与えそうだ。インターネットを使って、だれとでも低コストで通信ができることにより、高品質文書の送信、印刷のための新たな方法が生まれてきた。本稿では、米国における「インターネット・プリンティング」の取り組みについて述べるとともに、共通のプロトコル確立に向けた業界全体の動向についても紹介する。

地球環境保全のための取り組みについて、沖データではリサイクル設計と言う呼び方をしている。 当社のリサイクル設計の考え方は
1)装置そのものの設計に対する配慮、
2)装置を使用することによって生じる資源の問題に対する設計の配慮、
3)装置を使用することによって発生する環境への直接、間接の影響に対する配慮、
の3つの観点から組み立てられている。この3つの各項目に対し設計の取るべき行動基準をできるだけ定量的な数値で表し、この数値を客観的に評価することによって設計の是非を問うプロセスを開発プロセスの中に組み込んでいる。

高速化に適し、LED(発光ダイオード)ヘッドの小型という特徴を生かした、タンデム方式(直列配置方)フルカラープリンタエンジンを開発した。印刷位置精度を確保するための位置補正方式・用紙搬送機構、色安定性確保のためのトナーを含めた電子写真プロセス・定着技術、複数の光源と電子写真プロセスを同時に駆動するための制御回路、そのファームウェアを開発した。その成果として、600dpiの卓上型フルカラープリンタエンジンとしては、世界最高速の8枚/分の印刷速度を実現した。
近年プレゼンテーション用資料やインターネットで利用されるカラードキュメントの出力用途として、カラー印刷のニーズが高まっている。このニーズを背景に高速印刷可能な電子写真方式のカラープリンタが普及の兆しを見せている。当社においても電子写真のカラープリンタを製品化した。本稿では、電子写真方式のカラープリンタコントローラのハードウェア、ソフトウェア設計技術について、タンデム方式のカラープリンタを例に挙げて述べる。
カラーマッチングは、測色学的基準となる標準色空間を使用した色再現技術である。しかし、標準色空間を導入しても、完全に機器から独立した色を再現することは不可能である。それは、各機器には白色点、色再現範囲など機器依存の特性が存在することによる。この機器依存特性を吸収する機器間カラー補正はカラーマッチングにおいて重要な役割を果たす。我々は、色順応モデルを使用した白色点補正の事実上の問題を指摘し、より実用的なモデルによる白色点補正の方式を提案する。また、色再現範囲の補正について、彩度に依存した相対明度関係の拘束モデル化に基づき、自然画像の彩度と明度の関係を、各機器に依存した色再現特性の中で最適化できる方式を提案する。
ノンインパクトページプリンタでは印刷エンジン部から距離的に離れた給紙トレイからでも、用紙を短い間隔でプリンタエンジンに送り込み、印刷速度を高速化するジャストインタイムホッピング方式や、トナーの保存温度を高温に維持しながら低温で定着、さらに用紙カール度を低減して高速用紙搬送を可能とした低温定着カプセルトナーなどが開発されている。またデータ転送線の複数化や、速度のボトルネックとなるLEDの光量補正ICをバイパスし、LED素子をダイレクトに駆動する高速データ転送方式、1ページ分のラスタバッファの圧縮・伸長機能をCPUにパッケージ化する技術等がプリンタエンジンの高速化を可能とした。
プリンタコントローラの高速化のために、マイクロプロセッサの外部コードメモリ(ROM)およびデータメモリ(DRAM)のアクセスを、2ウェイインタリーブで行った。また、電子写真エンジン部へ送出するデータのデータメモリからの転送をダイレクトメモリアクセス(DMA)により行った。
プリンタのカラー化と高印刷品位への対応を目的として、圧電方式のインクジェットプリントヘッドの開発を行った。本方式は、圧電シェアモード方式を採用しており、インク滴の制御に優れ、多分野での応用に活用が可能である。
印字ヘッドの高速化は、アーマチュア一ワイヤ系の軽量化と永久磁石の吸引力増加、さらに電磁コイルの消磁効率の向上によって可能となる。これらの問題に対し、アーマチュア一レバの構造とコアの構造に多くの改良を重ね、4.3kHzに応答するアーマチュア一ワイヤ系の開発に成功した。さらに、耐摩耗ワイヤと低摩耗インクリボンを開発し、印字ヘッドの高速動作に対する高い信頼性を達成した。
 媒体操作性に特長を持ち、多彩な用途に使用されている水平プリンタにおいて、高性能、高速化、高複写化を図った超高速タイプを開発した。漢字230字/秒というシングルヘッドタイプとしては世界最高の印字速度を実現するために、24ピンヘッドの技術を継承した48ピンヘッドを開発し、専用LSIの開発によるメカコントロール処理能力の向上と高スループット化を図るとともに、高速化による振動、騒音対策等を図った。本稿では高速化を図るために採用したプリンタ技術について報告する。
非磁性一成分接触現像方式のLEDプリンタの印字品質に大きな影響を与える現像ローラの材質として、電気絶縁性のジメチルシリコーンのミラブルに電子電導性の球状シリコーンパウダを混入し、加硫成形した新しい現像ローラを開発した。このローラは、従来のシリコーン現像ローラに比べ、連続印字耐久性があり、製造安定性を持ち、同時にシリコーンの優れた特長であるトナーとの帯電性と耐環境性および高いゴム弾性を持っている。
1200dpiLEDプリントヘッドには、LED光源および光学系のばらつきを補うための、高精度の光量補正技術が要求される。従来の光量補正ではLEDの結像形状を円と仮定して面積を計算していた。今回、スリットが互いに直交する2個のセンサを使用して、楕円形の面積を測定することにより、像の歪みに対して精度の高い補正技術を開発した。これにより濃度ムラのない高精細LEDプリントへ度が実現できた。
当社が他社に先駆けて実用化した球形重合法トナー技術をもとに、新たにカプセル構造の重合法トナーを開発した。本トナーを用いることにより、定着プロセスの装置に特別な構造を設けることなく、従来より低い温度での定着を可能にすると同時に、プリンタの消費エネルギーを大幅に低減することができた。トナーに要求される熱特性である定着性能、保存性能および耐ホットオフセット性能は相反するものであるが、本トナーはカプセル構造にすることによってこれらの機能を分離し、保存性能と耐ホットオフセット性能を犠牲にすることなく、定着性能を向上させることを可能にした。
低価格電子写真プリンタに搭載可能な、低コストで高性能なネットワークカードを開発した。プリンタ本体のCPUでネットワークカードを直接制御することにより、主要部品であるCPU、ネットワーク専用RAMの削除が可能となり、低価格化を実現した。同時に、ネットワークモジュールのプログラム構造を大幅に見直し、タスク数を減らすことにより、受信性能の向上を実現し、プリントオーバーラン性能の低下を防止することができた。
プリンタの高解像度化、カラー化に伴い、記憶容量コストおよび伝送時間の削減のために、画像データ圧縮が必須の技術となっている。本稿では、開発した2値画像データ圧縮方式Quic-Coderについて、その概要を説明する。本方式は、圧縮性能向上を目的とし、算術符号化では初めての非可逆2値画像データ圧縮方式である。プリンタの高解像度性と視覚特性の関係を考慮し、画質の劣化を殆ど検知できないように非可逆特性を設計した。国際標準2値画像データ圧縮方式QM-Coderと比較して、データ量を20~30%削減できる。
小型LEDページプリンタ向けの高機能プリンタドライバを開発した。本ドライバはホストベースのプリンタドライバであり、従来のプリンタドライバ機能に対し、プリンタ特性を引きだすディザリング、高速データ転送、直感的な操作性、N-up 印刷等のアプリケーションを補完する印刷機能、プリンタの状態表示や操作のリモート機能等の多彩な機能を実現した。
プリンタ、スキャナ等のPC周辺装置を統合化した複合機(MFP: Multifunction Peripheral)として、DOC・ITを1992年に製品化した。この複合機のあり方を見直しながら培ったプリンタ技術とFAX技術とを融合させ、PC周辺機器としてのFAX/MFPの開発を順次行ってきた。本稿では、MFP を構成する機能要素に関する各々の技術と、これら複数の機能を同一装置上で共存させるための複合化技術について説明する。また、FAX/MFPを活用するためのPCアプリケーションの利用例についても併せて紹介する。
プリンタハードウェア、ファームウェアの並行設計においては、処理アルゴリズム、ハードウェアとファームウェアの処理分担、処理のインプリメントアーキテクチャの決定および修正をサポートし、要求仕様を満たすことを確認するための設計支援環境が必要となる。このような設計支援環境を構築するツールの1つとして、プリンタシミュレータ・・・仮想プリンタを開発した。仮想プリンタは、プリンタの制御部やエンジンなどをモデル化し、ワークステーション上で実機と同じように動作するシミュレータである。
LEDプリンタは静電気を利用した電子写真記録方式により印刷が行われている。この静電気の観測は難解であるため、シミュレーションによる解析が有効である。本稿では、電子写真記録方式の各プロセスにおけるシミュレーション方法と高解像度を意図した露光・転写プロセスの、シミュレーション結果を示す。また本シミュレーションは、短期間で高信頼性の高解像度電子写真プロセスの開発を可能とした。
(株)沖データにおける設計/製造の業務プロセスを、機械系3次元 CADを中核として大幅に改革/構築した経緯と、それに連動した試作部品/量産部品の製造方法の改革について述べる。
当社の技術系情報システムの全体像と品質情報システムについて述べる。技術系システムである技術情報管理システム、機械系/電気系CADシステム、また品質情報システムは当社の発足に伴い、再構築した。システムの基本的考え方と全体像を示す。

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