沖電気および沖グループでは,早くから環境問題に積極的に取り組んでおり,水質汚染・大気汚染・騒音などの公害防止対策はもちろんのこと,近年はオゾン層保護・地球温暖化防止・廃棄物削減対策など,地球環境保護に目を向けた「環境保護活動計画」を策定し,着実に実行している。
本稿では,省エネ・廃棄物削減などの環境保護活動,省資源・リサイクルなどを考慮した環境に優しい製品開発,環境保全に役立つ計測技術などについて,これまでの取り組み状況および今後の活動計画を説明する。
産業革命以降、地球環境は産業の発展に伴って激変しており、このまま放置すれば生態系を損ない、近い将来には人類の生活基盤を脅かしかねない状況にある。ITS(高度道路交通システム)は、総エネルギー消費の約30%を占める運輸部門のエネルギー消費削減に効果があるとされており、ITSが普及する21世紀初頭には、地球温暖化の主因とされるCO2の大半を排出するエネルギー消費の約3%を削減できるものと推測される。
統合型海洋観測システムは、海洋音響トモグラフィーと海洋数値モデルを中心に構成されている。トモグラフィーは、観測した水中音波の伝搬時間から海洋内部の水温変化などを推定するシステムである。日本では、1000km四方の海域の水温と流速の3次元分布をリアルタイムで観測するシステムが、海洋科学技術センターにより開発されている。一方、海洋数値モデルは、海洋の運動を支配する方程式を用いて海洋現象をモデル化し、海洋変動を数値シミュレーションにより解析するものである。
このシステムは、海洋数値モデルにトモグラフィーで観測されたデータを同化させることにより、モデルから高分解能の3次元データの時系列や海洋予報を算出するものである。算出された時系列データや海洋予報は、地球温暖化の解明につながる海洋研究の基礎的データとして、また環境管理や海洋資源調査などに用いられることが期待される。
地震発生時の道路における地震情報の迅速な把握と二次災害の抑止を目的に、地震観測システムを開発した。本システムは、地震情報をリアルタイムに監視することにより、道路管理者、利用者への迅速な情報提供、および道路維持業務の支援を可能とするものである。本稿では、システムの概要、特徴、構成について述べる。
地表面の熱収支を用いた地表面温度の推定方法を提案している。地表面の熱収支は、数値気象モデルの知見を生かし、モデルで予測される風、気温などのデータを用いる。本稿では、熱収支による地表面温度推定方法についてその特徴を説明するとともに、熱収支法による地表面温度の推定結果の例を示す。
沖エンジニアリング(株)は、シリコンウエハ洗浄工程から排出される使用後の界面活性剤を、セラミックフィルタ濾過を利用してリサイクルするシステムを確立した。セラミックフィルタ濾過では、微粒子状の固形分を効率よく除去できるため、界面活性剤を変性させることなくリサイクルできる。この方法により、従来産業廃棄物として処分されていた界面活性剤を90%以上リサイクルすることに成功した。
通産省のニューサンシャイン計画の一環として委託され,当社で実施している,III‐V族化合物系超高効率太陽電池の研究開発の状況について紹介する。高効率と低価格化を両立させるため,シリコン基板を用いたモノリシック3層積層型太陽電池を提案した。この太陽電池の構成とこれを実現する際の技術的課題について述べ,現在の関連の研究の状況についても紹介した。
電子機器に用いられるはんだ材料として、水質汚染の原因となる鉛を含まないはんだ合金(鉛フリーはんだ)の開発が盛んであるが、実用化のためには迅速かつ正確なはんだの特性評価が必要である。リフローはんだ付け工程で使用する鉛フリーはんだ合金を含むソルダペーストの濡れ性を評価し、その問題点を指摘するとともに、新しい評価法を提案した。
宮崎沖電気(株)は、1997年2月に環境ISO14001の認証を取得した。認証取得活動の中で、省エネ・省資源等の環境負荷低減活動を実行するための環境マネジメントシステムを構築し、省エネルギー、産業廃棄物および化学物質等の削減計画を設定して環境管理活動に取り組んでいる。

使用済み廃製品は一般に再資源化されているが、廃製品のすべてを単純に再資源化するよりも、製品を原形または単品で再使用する方が、環境により優しい施策といえる。(株)沖電気カスタマアドテックでは、環境への貢献を目的として、再使用化(リユース)を盛り込んだ廃製品のリサイクルの事業化計画を立案し、用途の開拓や開発、商品化、品質保証システムなどの仕組みを構築した。これらを推進するため、1995年5月にリサイクルセンタを設立し、組織の強化を図っている。

(株)沖電気物流センタは1993年10月よりIC用包装容器のリサイクル(リユース)を実施しているが、回収した容器の中で、旧版品・廃番品あるいは破損品等、リユース(再利用)できないものについては産業廃棄物として排出していた。この産業廃棄物を減らすため、1995年1月からマテリアルリサイクルを実現する技術開発に取り組んできた結果、そのためのシステムを1996年3月に確立し、マテリアルリサイクルを開始した。本稿では、IC包装容器のマガジンおよびトレイについて、マテリアルリサイクルのために開発した材質の分別技術と付着異物の除去技術を主体に、原料の再生化技法、ならびに再生原料を使用した成形技法の開発やリサイクルシステムの概要について述べる。

半導体製造工場の産業廃棄物量削減のため、再利用価値の高い硫酸の廃液を回収・再利用する技術が注目されている。常圧蒸留法の硫酸回収精製装置を使用して、硫酸の回収率、回収濃度と品質、および半導体素子に与える影響について評価を行った。硫酸の廃液の回収率は95%以上で、回収精製硫酸の品質は電子工業用硫酸と同等以上であった。また、回収精製硫酸をレジスト剥離やウエハ洗浄工程に用いた場合のレジストの剥離能力およびゲート酸化膜の絶縁破壊耐圧特性も電子工業用硫酸と同等以上であり、半導体素子への悪影響は見られなかった。常圧蒸留法の硫酸回収精製装置を導入することにより、回収、精製、供給を半導体製造工場で一貫して行うことができ、産業廃棄物の削減が可能となる。

半導体工場においては、超純水供給システムに対して水質の高純度化のみならず、低コスト化、省エネルギー化、省資源化、再資源化、省スペース化、省メンテナンス化などの強い要望がある。これらの要望に対応すべく、当社の半導体工場に超純水クローズドシステムを構築した。純水供給設備は高純度純水の供給とともに95%以上の純水の高回収率を可能にした。排水回収設備は減圧型の蒸発濃縮回収設備により、省エネ・省資源・省スペース化を可能とした。排水処理設備は高効率置換反応のフッ酸回収設備により、高純度フッ化カルシウム(蛍石)が回収生成でき、フッ酸原料のための再資源化が可能となった。運転コストは、回収率80%のセミクローズドシステムの2倍程度である。

半導体製造工場全体で消費される消費電力量は年間約1億kWhを越えているが、その約43%が空調設備の運転で消費されている。この消費電力は、クリーンルームの清浄度の要求からきており、特に空気搬送動力での消費電力が非常に多い。当社では、全面垂直層流方式のクリーンルームにおいて、空気搬送動力の低減を主目的としてファンモジュールユニット(FMU)方式の空調システムを構築し、最新の半導体製造工場に導入した。導入した空調システムは、FMU方式の送風機改良型であり、リサイクルファン方式と比較して約53%の大幅な運転コストの削減を可能にした。このFMU方式の空気搬送動力は、6.5W/CMM(m3/min)である。さらに空調ダクトレスの空調システムの設計により省エネルギー化、省資源化および省メンテナンス化を達成でき、環境保護に貢献できた。

半導体工場より発生する産業廃棄物の約30%は、フッ素含有廃水処理汚泥である。このフッ素系廃棄汚泥量の削減を目指し、新しい廃水処理法を確認したので、その原理、特徴および性能について述べる。  処理方法は、まずアルミニウム処理剤を使用し廃水中のフッ素をAlF3として固定し、廃水中のフッ素を低濃度まで除去する。次に、AlF3を溶解するとともにカルシウム処理剤を添加しCaF2に置換する。この方法によりフッ素の処理性能を向上させるとともに、フッ素含有汚泥量を従来のカルシウム沈殿法に比べて75%以上削減できることが確認できた。また、使用したアルミニウム処理剤の大部分が再利用できるため、省資源およびコスト削減の効果は大きい。

従来の恒温恒湿室は全層流方式で構築する。しかしこの方式は新築建物向きで、既存の建物内へ構築するには不向きである。そこで、既存建物の躯体に手をつけず、十分な作業スペースを確保し、さらに省エネに有効な部分層流方式による恒温恒湿室を考案した。この方式を適用して、自社の計測標準室を構築した。

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