OCU(Office Channel Unit)の給電装置部の極性切り替えスイッチとして使用される光MOSリレーには、緩やかにオン・オフすること、かつこの特性が入力電流の広い領域で満たされることが要求されている。このようなアプリケーションに対応するため、AlゲートMOSFET、NPNトランジスタ、拡散抵抗から構成される電流制限回路を、誘電体分離技術を用いて受光素子に内蔵した。この受光素子を光MOSリレーの受光部とすることで、入力電流のより広い範囲でスローオン・スローオフの応答速度をもつ光MOSリレーを実現した。入力電流が0.6mA以上の範囲で入力電流の依存性がないことを確認し、その応答速度として動作時間12.5ms、復帰時間2.6msを得た。
新ノードシステムの加入者端子の保守点検のためのラインテスト用部品、またカード化に対応するための基板面実装小型パッケージとして、2チャネル光PNPNスイッチOCS52を開発した。その要素技術について述べる。
計測機器内におけるコモンノイズ対策用光MOSリレーを製品化するために、光MOSリレー内に組み込まれているVD MOSの開発を行った。VD MOSの目標仕様はコモンノイズで発生する電圧と使用方法から耐圧1200V程度、オン抵抗100Ω以下と設定した。また、既存の光MOSリレーのパッケージサイズと同等のサイズ(8.68×6.4×3.65mm)の製品を作成するために、チップ面積を2.0×2.0mmに設定した。上記の目標仕様とチップサイズより、耐圧を向上させるため、チップ周囲部にFP構造を採用し、試作・シミュレ-ション(OPUS、ODESA)を行った。その結果、耐圧1400V、オン抵抗70Ωを確認し、目標仕様を満足する製品ができた。
金融端末装置および手書き漢字OCR装置に搭載するカラーイメージセンサ2機種(A4幅、A3幅)を開発した。これらのカラーイメージセンサは、帳票の色制限を緩和するカラーフリー識別および高速処理といった装置の要求に沿って開発を行ったものであり、A4サイズ2秒の読み取り速度を実現している。
車々間通信の技術は高度道路交通システムの基幹技術の1つである。今回、光車々間通信システムのフィージビリティスタディのための光送信ユニット・光受信ユニットの開発に伴い、要素部品であるLEDと集光レンズの開発を行った。その結果、±20゜の通信指向性と通信距離30m、使用する発光ダイオード8個の条件でビットエラーレート10-8以下の通信品質を得た。また、光送信ユニット・光受信ユニットを車載した実走行試験においても良好な通信状態を確認した。
LEDドット単位の電流を、その光量に応じて変化させることができるドット光量補正型回路の採用により、光量バラツキの低減と印字品質の向上が確認できた。ドット光量補正の方法として、LEDドット単位の光量補正データを格納するため、EEPROMおよび専用ドライバICを搭載し、600DPI/LEDヘッドに適用した。今回開発した600DPI/A3 LEDヘッドは、高精細LEDプリンタの光源として実用上十分可能な光量均一性を有している。
LEDプリントヘッドの光源であるLEDを受発光素子として用いた、読み取り/書き込み両機能兼用のLEDプリントヘッドを開発した。読み取り/書き込みLEDプリントヘッドは、LED素子構造を最適化したこと、および蓄積型読み取り方式を適用したドライバICを開発したことで、従来のLEDプリントヘッドの書き込み特性を維持し、かつ汎用の密着イメージセンサと同等の読み取り特性を得ることができた。本ヘッドは構成が簡単かつ小型であり、原稿読み取り/印刷の機能を統合した小型・低価格な複合機への応用が期待できる。
電子写真方式プリンタは、高速・高精細で高品質の印刷が得られる特長があり、広く一般に普及している。近年これらの特長をもちながら、さらに小型で低価格のプリンタが求められている。この要求に応えるため、我々は初めて端面発光型LEDアレイを開発し、本アレイを用いた端面発光型LEDプリントヘッドの実用化に成功した。
本稿では、端面発光型LEDプリントヘッドを実現するための、端面発光型LEDアレイの高出力構造設計を中心に論じ、さらに本アレイの発光特性および信頼性について述べる。
従来LEDアレイに使用していた気相拡散では、プリンタの光源として十分な発光強度を得るために拡散深さを深くする必要があり、600DPI以上の超高密度化が困難であった。LEDアレイの超高密度化の課題に対して、新たにZn固相拡散技術を開発し、1200DPI LEDアレイを実現した。Zn固相拡散で高キャリア濃度の拡散領域を形成したLEDでは、発光領域でほぼ均一な発光強度分布となり、発光強度は拡散深さにほぼ依存しないことを確認した。
光ファイバ網の常時監視システムに用いられる光パルス試験器の光源として、1.625μm帯歪多重量子井戸構造高出力半導体レーザの開発を行った。我々は、量子井戸層に圧縮歪みを導入すると同時に、障壁層に引張り歪みを加えた歪多重量子井戸構造を採用した。引張り歪み障壁層の導入により、井戸層からの電子のオーバーフローの低減とホールの注入効率の向上が実現され、内部損失および内部量子効率が改善され、高出力化が可能になった。周囲温度25℃、800mAパルス駆動時、光出力は210mWに達した。
一度の成長で基板内の組成制御ができる選択成長を応用して、端面放射型発光ダイオードを作製し、素子の低コヒーレンス化と温度特性の向上を実現した。選択成長した光吸収領域を素子後方に設けた構造により、発光ダイオード特性の劣化要因となる光のフィードバックを抑制した。今回開発した端面放射型発光ダイオードは、システム実用上十分なシングルモードファイバとの結合特性、発光スペクトル特性、コヒーレンス特性および温度特性を有している。
ディジタル携帯電話用パワーFETとして、低電圧動作時における効率、低歪み特性に優れたFETの開発を行った。基板としてMBEエピ基板を用い、ソース・ドレイン領域はイオン注入法を用いて形成し、高ドレイン電流等のFET特性を保ちながら、ゲート耐圧の向上に成功した。本パワーFETはドレイン電圧3.4Vにおいて出力電力31dBm、電力付加効率52%、50kHz離調時の隣接チャネル漏洩電力-52dBcを達成し、ディジタル携帯電話用パワーFETとして優れていることが実証された。
90dB以上の利得可変範囲を有するAGCアンプを、CDMA方式の携帯電話機向けに開発した。新しく考案したアッテネータ回路の採用により、0Vから+5Vまでの直流制御電圧に対して、利得(dB)が直線的に変化する特性が得られた。8ピンSOPモールドパッケージに実装された本ICは、GaAs MESFETを用いることにより、低電流動作(5mA)を実現した。
ディジタル携帯電話用パワーFET、あるいはミリ波用FETではMBE法で成長したチャネル層が用いられるようになり、MBE成長の量産化技術の確立が強く求められている。MBE成長によるエピウエハの量産化において、カギとなる均一性および再現性について検討した。成長膜厚の高精度モニタ法を考案し、これを用いることで±1%以内の成長速度の再現性が得られた。ウエハ面内の均一性は、膜厚およびドーピング濃度ともに±1%以内であることが確かめられた。このMBE成長の量産化技術を用い、低歪みパワーFET用エピウエハの連続成長を行い、高い再現性で成長できることを確認した。
光アクセスネットワークにおいて、映像分配用エルビウムドープ光ファイバ増幅器(EDFA)の実用化へ向けた開発が進められている。映像分配システムには、多チャネル化に対応するディジタルキャリア変調信号のほか、既存のAM信号が含まれる。AM映像伝送用EDFAは、光部品の特性により雑音および歪み特性が劣化する。また、システムの実用化に対してはEDFAの低消費電力化も重要な課題である。今回、EDFAの雑音および歪み特性を定量的に検討し、AM映像伝送に適用可能なパラメータを明らかにした。
マルチメディアの進展に伴い通信システムの経済性の追求が重要な課題となっている。光通信システムにおいては、装置のインタフェースとなる光送受信モジュールの小型・低消費電力・低価格化の達成が急務である。当社では、ITU-T標準に準拠した156Mbit/s光送受信モジュールを開発し、電源電圧3.3Vとすることにより小型・低消費電力を実現した。主要回路は機能性・低消費電力の観点から最適化設計したICを開発した。また、量産性・信頼性の高い実装技術を採用し、経済化を図った。
情報通信サービスのマルチメディア化が進み、通信ネットワークが広帯域化することにより、光ファイバ通信の需要はますます増加しつつある。このような背景において、光部品の経済化は必須の課題であり、これを実現するために、LDモジュールの構造の見直しを行った。加入者系に使用される低出力タイプは、LD素子と球レンズを一体化することにより、部品点数を減らし、より低コスト化を実現した。幹線系に使用される高出力タイプには、非球面単一レンズ系を採用し、光軸調整アルゴリズムを改良することにより、光軸調整時間の短縮と高結合効率化を実現した。トラッキングエラーは、どちらも±1dB以内、長期信頼性についても-40~+85℃×400サイクルの温度サイクル試験において、±1dB以内という安定した性能を得た。
10Gbit/s光通信システム用として、光送信モジュールを開発した。本モジュールでは、高周波特性の改善およびシステムに適した小型化を図るため、電界吸収型半導体光変調器付きDFBレーザとこの変調器を駆動するための高速GaAsドライバICをハイブリッド集積した。試作した光送信モジュールは、-3dB帯域9GHz、0.6Vppの振幅に対して消光比12dBの特性を実現した。また、10Gbit/sで80kmの光伝送実験を行い良好な特性が得られ、本モジュールが10Gbit/sの光通信システムに適用可能であることを確認した。
SAW共振器を用いた移動通信用梯子型フィルタについて述べる。共振器型SAWフィルタの設計は従来分布定数等価回路を用いて行われているが、ここでは集中定数等価回路に着目し、まずSAW共振器の伝送特性からの集中定数等価回路の素子値の算出法を示す。
次に、共振器型SAWフィルタの回路構成を述べ、小型で高性能特性が得られる梯子型構成のフィルタの原理および設計法を述べる。AMPS方式用800MHz帯フィルタおよびPCS方式1900MHz帯フィルタを試作した結果、集中定数等価回路の素子値を用いたシミュレーション特性と試作特性が、良く一致した。
CDMA方式の携帯電話機の性能に大きな影響を与える、電力増幅器の高性能化が強く要求されている。当社は、これらの要求に対応する米国向けの800MHz帯CDMA/FM変調方式デュアルモードの低電圧(3.6V)電力増幅器を開発した。試作により、良好な隣接チャネル漏洩電力特性などCDMA/FM変調方式のデュアルモードの諸特性を確認した。
通信制御用プロセッサユニットの小型化・高性能化を図るためにプロセッサモジュールの開発を行った。本モジュールは多層配線基板上にMPU1個とメモリ4個のLSIを裸の状態(ベアチップ)で実装したマルチチップモジュールで、クロック速度50MHz、消費電力20Wで動作する。モジュールの小型化・高性能化を実現するため、多層配線基板の表層に厚膜印刷で終端抵抗を形成した。またモジュールの高放熱特性を実現するため、基板材料にアルミナを用い、さらに放熱フィン形状を最適化して放熱経路の熱抵抗を下げ、LSIの接合部での温度上昇を抑えた。この結果、電気特性および熱特性は仕様を満足し、モジュール実装サイズは現状のプロセッサユニットにおけるLSIパッケージサイズの2分の1以下を達成した。
フリップチップ搭載BGA(Ball Grid Array)パッケージの開発を行った。フリップチップ接続部のはんだバンプは、大型チップへの適用を考慮し、物性的に柔らかく応力の吸収に有利な高温はんだ組成とした。また、実装基板(インタポーザ)には、低コスト化が可能で高温はんだバンプの融点温度に耐えうる高耐熱樹脂基板を採用した。さらに、バンプに発生する応力の緩和および耐湿性確保のため、チップと基板間に充填するアンダーフィル樹脂の最適化を行った。以上の検討により信頼性試験を実施した結果、通信パッケージ用としての目標温度サイクルの2倍以上の高信頼性BGAパッケージを実現した。
強磁性体合金薄膜を用いた磁気抵抗効果材料は、小型で高感度、さらに半永久的な寿命を有するという特長がある。この材料を用いて、これまで機械的接点を有しているリードスイッチでは実現が困難であった流量センサの開発を行った。今回開発を行った流量センサは、アナログ出力である強磁性体磁気抵抗効果素子に、波形整形回路を接続することにより、リードスイッチとの置き換えが可能となり、また、半永久的な寿命を有するだけではなく、リードスイッチと比較し、さらに応答速度の向上が可能となった。
故障に対する問題点の解決により適した故障解析手法を実現するために、故障解析ステップと故障解析フローを作成した。故障解析ステップは、故障発生状況の調査、故障解析フローに基づいた故障解析、故障メカニズムの確認、対策と効果の確認からなる。故障解析フローは、各解析項目で観測された故障要素を切り分けて、故障メカニズムを推定する方法である。この方法をはんだ接続部の故障解析に用いた結果、故障メカニズムの解明ができ、これをもとに製造工程を改良することができた。

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