No.168 メカトロニクス特集

メカトロニクス技術はセンサ・アクチュエータその他技術の発展とあいまって,高度な制御技術を駆使してインテリジェント化している。当社は決済に関わる情報処理媒体のハンドリングにメカトロ技術を駆使して発展してきた。今後も媒体自身の高機能化を含めメカトロニクスのインテリジェント化を推進し“より小型に”“より使いやすく”を追求していく。
金融機関における自動化機器の無人運用の拡大,顧客サービスの向上や業務の効率化への要求の高まりなどを背景に,当社の現在の主力機種であるAT-300シリーズ自動取引装置を機能・性能ともに大幅改善したAT-400シリーズ自動取引装置を開発した。その主な開発コンセプトは,さらなるノンストップ性の追求,高速処理によるノンウェイト思想,係員の手を煩わさないノンタッチ指向,将来の拡張性を考慮したフレキシビリティである。AT-400シリーズ自動取引装置では,これらのコンセプトを具体化するとともに,セキュリティの強化や顧客操作性の向上などを実現させた。
AT-400シリーズ自動取引装置を構成するユニットの1つである紙幣入出金機を開発した。完全無人運用をめざすAT-400の基本コンセプトに従い,ノンストップ,高速・高信頼化を実現するとともに,ノンタッチ媒体処理技術を追求し,無人精査を可能とした。
自動取引装置(ATM)AT-400に搭載され,磁気カードのリード/ライト処理,レシートの印字発行処理を行うカードリーダ・レシートプリンタを開発した。本ユニットはオプションとしてICカードのリード/ライト機能,振込カードの発行処理機能も有している。AT-300の後継機としてノンストップ,ノンウエイトの思想をさらに追求し,高速処理,高信頼性,媒体の大容量化を実現した。本稿では,本ユニットの開発方針,構成および特徴等について述べる。
自動取引装置(ATM)AT-400に搭載され,通帳磁気ストライプのリード/ライト処理,記帳データの印字,改頁等を行う通帳記帳機を開発した。本ユニットは,オプションとして新規通帳/単票の発行処理機能も有している。AT-300の後継機としてノンストップ,ノンウエイトの思想をさらに追求し,高速処理,高信頼性および通帳スタッカのカセット化によるセキュリティ向上を実現した。本稿では,本ユニットの開発方針,構成,および特徴等について述べる。
ATMの中心機能を司る紙幣入出金機のファームウェアは,高機能,高速処理が要求される。これらの要求を実現するために,メカ・モジュール・コントローラ(メカのモジュールごとにCPUをもたせてコントロールする)方式を採用した。各メカ・モジュール・コントローラは共通ネットワークで接続され,各々が集中制御,協調分散制御,自立分散制御を行うことにより高機能・高速処理を実現している。
航空券や各種チケット類が取り扱い可能な小型・高機能な航空券発券装置を開発した。本装置は券類の発券形態が特定店舗での集中型から,任意な場所での分散型へと変化している中で,不特定のオペレータでも操作可能で,かつ小型・低価格な発券装置の実現をめざしたものである。本装置は国内サイズと世界標準としてのIATA・ATB2規格の2種類の航空券を取り扱うことができ,A4サイズ・航空券サイズの各種証票類を用いた多様な業務への適用も可能であることから,発券業務の効率化と顧客サービスの向上を図ることができる。
金融機関営業店での債券取扱い業務は,省力化・セキュリティの強化のために機械処理化が求められている。この要求に応えるべく,発行・回収・一時保留・収納・在庫管理等の機能を備え,新規発行債券の自動発行と在庫管理,償還債券の自動収納と在庫管理のオンライン処理を可能とした「債券発行機」「債券回収機」を開発した。
保険診療における請求・支払業務を担っている,社会保険診療報酬支払基金殿における診療報酬明細書処理業務の機械化のために,診療報酬明細書自動分類・自動データ入力システムを開発した。本システムは,B5判の診療報酬明細書を1分間に約230枚のスピードで一度に最大32分類することが可能であり,この性能を実現するためにいくつかの機構的な特徴をもっている。本稿ではその機構的な特徴について記述する。
磁気カード,ICカード,PETカード,リライトカードなど,用途に応じた種々のカードが使われている。これらのカードを1台で処理できるカードリーダ・ライタを開発した。このユニットは,磁気ヘッド,ICコンタクト,サーマルヘッドで構成した。カード搬送には,小型DCモータとリンク機構付きローラを採用して,PETなどの薄いカードから,磁気・ICなどの厚いカードまで,安定した処理性能を実現した。
熱可逆性記録材料の加熱温度を変えて,光の透過率を変化させることによる文字の記録および消去を繰り返し行うことが可能な媒体が実用化されている。この加熱手段であるサーマルヘッドの温度を2段階に制御して,記録と消去を同時に行うオーバライト記録方式を開発した。パルス幅変調方式でサーマルヘッドを駆動し,記録温度と消去温度に対応してパルスの幅と数を制御した。さらに,周囲温度補正,熱履歴制御,蓄熱制御を行い,サーマルヘッドの温度誤差を小さく抑えるように制御した結果,良好な記録特性を得ることができた。
金融機関向け営業店システムの窓口端末に使用する小型通帳伝票プリンタを開発した。メンテナンスしやすい装置構成,機構部の一体成形,センサおよびセンサ自動調整,磁気ストライプリードのゲイン自動調整などの最新のメカトロニクス技術により,部品点数を大幅に削減し,信頼性の高い装置を実現した。 本稿では,開発方針,ハードウェアの構成,ヒューマンインタフェースとメカトロニクス技術について説明する。
通帳磁気ストライプリードライトユニットの磁気ヘッド駆動用モータには,速度変動が小さく,加減速距離が短いことが要求される。今回,速度向上のためにDCモータを採用し,その速度制御にディジタルPID制御方式を採用した。制御定数の値は動作シミュレーションにより最適化し,その結果,目標の性能を得ることができた。本稿では,ディジタルPID制御のアルゴリズムと動作シミュレーションの具体例について述べる。
近年の情報処理機器の小型・軽量化の要求に応えるために,メカトロニクスのスマート化をテーマに,ツインロータ型超音波モータの研究開発を行っている。本モータは圧電セラミックスを中心に2つの弾性体とロータで構成するものであり,弾性体とロータを1つずつ構成する超音波モータよりも2倍の駆動効率を実現した。
メカトロニクス機器の設計から製造までを効率的に支援する統合CAD/CAM/CAEシステム「DRAFTOPIA2」を開発した。本システムは,設計者が必要とする情報を迅速に提供するために,設計データを利用して梁構造や機構動作などを解析する機能,数千点の部品を含む図面データを効率的に管理する機能,および設計/製造ルールをチェックする機能などを備えている。また,NCデータ作成や成形金型設計などの製造準備工程も広範囲に支援している。本システムの適用により,知的設計作業の支援,および設計から製造工程までのコンカレント化を実現した。
銀行などの金融機関に多く設置されている自動入出金機(ATM)の現金変動量を予測する方式について述べている。予測方式として,月~金曜日の予測には,現金変動を曜日要素と日要素の和で表した曜日・日要素加算方式を,また,土曜日と日曜日の予測には,予測日の近傍のデータの平均値を用いる局所平均方式を提案する。予測区間の分割処理により,任意の区間の現金変動を予測することができる。予測値と実測値との誤差を基に,使用者が指定した現金切れ率を維持するマージンを算出し,上記の予測額に付加する機能も有している。
CPUにi486DX2(50 MHz),メモリmax16 MBを実装したPCの基本機能をクレジットカードサイズで実現したPCカードを開発した。本PCカードでは従来の6倍以上(当社比)の実装密度の達成が必須であるため,新たにMCM(Multi Chip Module)BGA(Ball Grid Array),ビルドアップ多層基板とこれらの実装技術を開発した。高密度実装を低コストで実現するために,チップセットはMCM化し,361ピンBGAに搭載している。CPUは238ピンBGAに搭載した。PCの基本機能を実現する上で必須となるその他の部品は,すべて面実装部品とし,8層のビルドアップ基板の両面にBGAとともにはんだ接続した。はんだ接続は一括リフロー方式とし,生産効率向上を実現した。

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