2019年11月11日
OKIは、当社が提唱する「インフラモニタリングソリューション(注1) 」のひとつである「インフラ工事の工程・安全監視ソリューション」のラインアップとして、人の動きを可視化できる「モーションマッピング技術」を活用した「可搬型のエリア侵入監視システム」を開発しました。本システムにより、広範囲で人物を検知し、立入禁止区域など特定エリアへの侵入をリアルタイムに注意・警告することが可能となり、作業現場などの安全性向上を実現します。
厚生労働省「平成30年度労働災害発生状況」(注2) によれば、建設・製造・運輸業は他業種と比較して重大事故が多く、作業現場の安全性向上が継続的に大きな課題となっています。特に建設業においては、墜落・転落事故、建設機械やクレーンとの接触事故、および倒壊・崩壊事故が全体の約70%を占めており、これらの予防対策が強く求められています。しかしながら、警備員により広範囲の現場を常時監視するためには、労働力不足のなか多くの人手を確保する必要があり、コストの問題も生じます。また、警備員の代替えとして複数の監視カメラやセンサーを設置する場合は、各センサーに対する位置合わせ(キャリブレーション)作業が必要になり、特定エリアを変更する際の手間とコストがネックとなって、容易に導入が進まないのが現状です。今後、労働者不足が加速するなか、作業現場の安全を効率的に監視し、警報を発して事故防止につなげる仕組みづくりが急務です。
今回開発した「可搬型エリア侵入監視システム」は、これらの課題に対応するため、2017年11月に開発した「モーションマッピング技術」に人物識別機能を加えるとともに、特定エリアの簡単設定機能や920MHz帯マルチホップ無線「SmartHop®」を使った無線警報連動機能を融合したものです。レーザー距離センサーと4台の広角カメラを一体化したセンサーユニットにより、現場への設置時に各センサーの位置合わせ(キャリブレーション)作業を不要としているほか、エリア設定アプリケーションにより、特定エリアを簡易な操作で設定、変更することができます。また、センサーユニットに搭載されたカメラとレーザー距離センサーが同期しながら周囲360度をリアルタイムに監視し、特定エリアに近づいて人物が侵入者と判断された場合は警告灯やブザーを段階的に鳴動させることで、侵入者や周辺の作業者に警報を発することができます。さらに、AIエッジコンピューター「AE2100」を用いて本システムを構成しており、エッジでの高度なリアルタイム検知・警報などが行えるとともに、通信負荷軽減も行うことができます。これにより、LTE、5G、Wi-Fi、920MHz帯マルチホップ無線「SmartHop」などの各種無線ネットワークを介したクラウドサービスと連携することにより、遠隔からの作業現場の安全を効率的に監視し、事故予防を支援することが可能になります。
OKIは、今回開発した「可搬型エリア侵入監視システム」について建設現場などの実環境で実証実験を重ねて機能拡充および使い勝手の向上を図り、2020年度の商品化・販売開始を目指します。また、建設現場以外にも、安全監視や業務改善が必要な製造業や運輸業に適用範囲を拡大し、お客様の課題解決に寄与していきます。
当社が提唱するインフラ構造物・設備の維持管理業務向けにAIなどのIoT活用技術による、運用の異なる現場に合わせたコーディネイトを段階的かつ効率的に実現するソリューションコンセプト。「インフラの見える化」「インフラの状態診断」「インフラの劣化予測」「インフラ工事の工程・安全監視」の4つのソリューションで構成される。
労働災害発生状況を把握し、労働安全衛生行政の基礎資料を得ることを目的とした統計情報
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/