2019年10月11日
OKIは、株式会社商船三井(本社:東京都港区、代表取締役社長:池田 潤一郎、以下「商船三井」)との間で、タグボートの周囲監視にOKIの俯瞰映像モニタリングシステム「フライングビュー®」を活用するための検討を開始します。検討に先立ち、本年9月に神戸港にて日本栄船株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:西尾 哲郎、以下「日本栄船」)が所有するタグボート「あさか丸(竣工2012年9月、総トン数233トン)」に「フライングビュー」を搭載し、実証実験を行い有効性を確認しました。
対象船に接近してその動静を制御するタグボートは、特に対象船が大型船である場合、操舵室の窓からは船体の側面しか見ることができず、対象船の船上にいるパイロット(水先案内人)からの無線による指示を頼りに操船しています。今回の実証実験では、タグボートの船長が自船の周囲の状況をリアルタイムで客観的に把握することができるよう、「フライングビュー」の魚眼カメラ4台をタグボートのマストに設置し、映像合成部と表示部を操舵室に設置しました。「フライングビュー」は4つのカメラの映像から周囲360度の俯瞰映像を合成して表示し、自由な視点から広域のシームレスなモニタリングを可能とします。タグボート側で周囲の障害物や他船との距離が直感的に把握可能となることは、制御対象船との接触事故を未然に防ぐことに繋がり、安全な着桟を補助します。
商船三井では、すでに実用化されている「AR航海情報表示システム」(注1) など、認知にかかわる航海支援システムを「FOCUS(Fleet Optimal Control Unified System) EYE」シリーズとし、世界最高水準の安全運航に寄与する技術を開発しています。その一環としてOKIの「フライングビュー」に着目し、大型船への適応検討も含めて共同で開発を進めていくことで、安全運航の強化に向けた取り組みを加速させたい考えです。OKIは、今回の共同開発を踏まえ、「フライングビュー」を活用した船舶の安全運航に寄与する取り組みを行っていきます。
実証実験で使用した日本栄船所有のタグボート「あさか丸」
拡張現実(Augmented Reality)技術を活用した航海情報表示システム。
製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路であり、広義にはPLD(プログラマブルロジックデバイス)の一種。