2019年10月9日
「ドローン搭載型MNB測深機」(運用試作機)
OKIは、東日本旅客鉄道株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 深澤祐二、以下JR東日本)が設立したJR東日本モビリティ変革コンソーシアム(注1) (以下コンソーシアム)において、FPV Robotics株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 駒形政樹、以下FPV)と共同で、空飛ぶ水中測深装置「ドローン搭載型MNB(multi narrow beam)(注2) 測深機」による、河床状況調査の作業効率化および安全性向上に関する実証実験を始めました。
コンソーシアムでは、河床状況調査を対象とした測深技術についての検証を行っています。河川橋梁の維持管理のために行う橋脚付近の河床状況調査では、主に橋梁の上から錘の付いたロープを水底まで下ろして河床の状況を測定してきましたが、測定箇所が限定される、流速が早い場合は測定精度が低下するなどの課題がありました。OKI、JR東日本、FPVの3社は、コンソーシアムのロボット活用WGマルチビーム測深SWG(以下SWG)において、こうした課題の解決に向け、MNB測深機とドローンを一体化した「ドローン搭載型MNB測深機」による河床状況調査の実証実験を推進しています。
実証実験にあたり3社は、OKIグループの関係会社OKIシーテックの可搬ボート型マルチビーム測深機「CARPHIN V(カーフィン ブイ)」の測深装置部、および測定場所への移動手段となるドローンの活用を検討することとしました。「CARPHIN V」は、小型・軽量な無人船体に測深装置部を一体化した装置で、有人測量船では測定が不可能な港湾や湖沼、小規模河川などにおいてMNB方式の深浅測量を行った実績があります。
3社で検討した結果、「CARPHIN V」の測深装置部をさらに小型化し、水空両用ドローンと一体化することで、調査対象場所へのアプローチから着水、測定対象範囲の水上航行と測深、離水、着陸までの一連のプロセスを、遠隔操作または自動制御で行うことを可能としました。これにより、橋脚付近の河床状況調査における作業の効率化を実現するとともに、安全性の向上にも寄与します。
SWGでは今後、試作機の運用試験による課題整理や技術検証を行ったうえで、実フィールドでの実証実験、実運用に向けたルールなどの検討を共同で進めていきます。
OKIは、このドローン搭載型MNB測深機を「CARPHIN air(カーフィン エア)」として、2020年度第三四半期の販売開始を目指します。
OKIは、「CARPHIN air」を、10月15日から10月18日まで幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されるCEATEC 2019(OKIブース:ホール4【トータルソリューションエリア】小間番号:A005)に出展します。
解決が難しい社会課題や次代の公共交通について、交通事業者と各種の国内外企業、大学・研究機関などがつながりを創出し、オープンイノベーションによりモビリティ変革を実現する場として、2017年9月5日にJR東日本が設立。2019年9月20日現在、157団体が参加している。
URL:https://www.jreast.co.jp/jremic/
船の左右両舷方向に扇状の音波を放射し、前後方向に指向性の鋭い多数の受波ビームにより反射音を受信することで、広い範囲の水深を測定する深浅測量方式。
人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすることができるシステム。「衛星測位システム」としてGPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)などがある。
測深装置部の音を送信・受信する送受波器の水平面と、動揺計水平面の傾き誤差を測り補正すること。