2015年3月11日
沖プリンテッドサーキット株式会社
沖電気工業株式会社
世界初102層・板厚6.8mmのプリント配線板量産技術確立
プローブカード用、独自開発のLICT構造(低抵抗インピーダンス制御)で実現
プローブカード
OKIグループのプリント基板事業会社であるOKIプリンテッドサーキット(社長:嶋田 宏、本社:新潟県上越市、以下 OPC)は、このたび、直径480ミリメートル、板厚6.8ミリメートルにて、従来の限界を大きく超えた100層クラスの超高多層プリント配線板の設計・量産技術を、世界で初めて開発に成功しました。最新のDRAMやNANDフラッシュメモリーのウエハー検査装置で使用されるプローブカード(注1)用として開発したもので、新技術を適用したプローブカードは2015年10月の量産開始を目指します。
DRAMやNANDフラッシュメモリーは、半導体製造プロセスの微細化とウエハー径の拡大により、一枚のウエハー上に製造するICチップ数が増加しており、半導体製造の前工程で行われるウエハー検査の試験対象チップ数の増加が進んでいます。これに伴い、半導体テスターと試験対象ウエハーを電気的に接続するプローブカードでは、より多くの信号・電源配線を収容するための多層化が要求されています。
プローブカードは、ウエハー検査装置に組み込むため、決められた厚み以下での製造が必要で、多層化には層間厚の薄型化が求められます。従来の製造技術では、層間厚を薄くすると信号特性(特性インピーダンス(注2)・配線抵抗など)へ影響を及ぼすため、配線に対する高精度な信号特性を要求されるプローブカード用プリント配線基板では80層程度が限界で、層間厚の薄型化による更なる高多層化が困難でした。
今回OPCでは、最大板厚6.8㎜、102層のプリント配線板において、信号配線直下のグラウンド銅箔の形状を最適化することにより低配線抵抗と特性インピーダンス制御を両立する新技術「LICT(Low-resistance Impedance Controlled Technology)構造」の開発に成功しました(図1)。
新開発のLICT構造は、高精度電磁界シミュレーション技術と、グラウンド層データの自動編集機能により実現しています。従来構造と比較して信号特性を劣化させることなく配線抵抗の30%低減(当社比)を可能にしており、プローブカードに要求される高い信号品質と多層化による配線収容性向上を実現します。また、特殊な基材を必要とせず一般的なHigh-Tg FR-4(注3)で製造するため、高多層プローブカードの低コスト化を実現します。
図1 LICT構造による層間厚薄型
用語解説
- 注1:プローブカード
IC製造プロセスのウエハー検査工程において、シリコンウエハー上に形成されたICの電極とテスターを電気的につなぐための治具で、ベースとなるプリント配線板にIC電極と接続を取るためのプローブ(針)が取り付けられたもの。
- 注2:特性インピーダンス
電気信号を伝搬する伝送線路上の電圧と電流の比を示します。伝送線路内で特性インピーダンスに違いがあると反射ノイズが生じ信号品質が劣化するため、一定に制御する必要があります。主にプリント配線板の層間厚、信号線幅、信号線厚、比誘電率により決まります。
- 注3:High-Tg FR-4
プリント配線板の基材の一種。ANSI規格における難燃性グレードであるFR-4(Frame Retardant Type4)よりもガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性と信頼性に優れた材料。
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