2008年度
千代田区立九段中等教育学校ボランティア授業に出席
レポート OKIネットワーカーズ 下山利博
講演の様子
NPO法人キャリア・ワールドより依頼を受け、2008年6月20日(金)13時15分より千代田区立九段中等教育学校で行われたボランティア出前講座の授業に「OKIネットワーカーズ(注1)」(OKIグループの重度障害者在宅勤務チーム)の下山利博が、講師として参加しました。体育館にて、2年生の生徒159名の皆さんに対して、「車イスの生活について」講演をさせていただきました。今回の講演は千代田区社会体験・インターンシップ事業に伴う事前学習会として行われました。当事業は「夏休みに全生徒が高齢者施設、障害者施設、保育園等を訪問して、高齢者・障害者・園児および職員との交流や福祉に関する3日間の体験実習」するもので、平成17年から取り組まれています。
5時限目、授業開始です。キャリア・ワールドの土屋様より紹介をしていただき、下山が講演をさせていただきました。10年前の交通事故が原因で車イスの生活をしているなど、簡単に自己紹介しました。その後、外出時に公園に入ろうとしたが、柵と柵の間が狭くて入れなかったことなどを紹介して、バリアが身近にあることを話しました。その中で、犬の糞やタンつば、道路にこぼされた飲みかけのコーヒーなどを、車イスで踏みつけてしまったことで洋服を汚してしまった話を通して、ポイ捨てをしないだけでなく町をきれいにしてほしいと訴えました。道路の微妙な傾斜と段差が、車イスで進むには大変であることを知ってもらうために実験を行いました。コードリールの延長コードを乗り越える実験では、見事にコードに引っかかり止まってしまいました。最後に、バスや電車でお年寄りや障害者の方に席をゆずったことがありますかの質問をしました。いざという時に手助けのできる「勇気とやさしさの人」がボランティアの心であり、「心こそ大切」であると伝えました。そしてバリアフリーで住みよい社会を作ってほしいと訴えて話を終えました。
休憩の後、「マナー研修:高齢者の身体的特徴と接し方」について、株式会社日本医療事務センターの接遇インストラクターである八尾様の指導により行われました。老化が進むと身体にどのような症状が出てくるのかを質問されました。特徴のひとつである「耳が聞こえにくくなる」症状を、耳栓を使うことで、実際に聞こえにくいということを体験しました。そして、高齢者に接するときの注意点と、実習先で必要なルールについて学習を行いました。この講座を学習したことでさまざまな点に気がついた生徒の皆さんは、高齢者に対しての接し方を理解できたことと思います。
マナー研修の様子(株式会社 日本医療事務センターの伊藤氏(前)と八尾氏(後))
代表の生徒さんが、高齢者の特徴について体験しました
生徒の皆さんが、階段介助してくれました
講演時に、3階にある体育館への昇り降りを数人の生徒の皆さんに介助していただきました。介助している時は真剣な顔でしたが、階段介助終了時の皆さんの笑顔がとても印象的でした。本当にありがとうございました。
千代田区内の中学校で、車イス利用者と高齢者の気持ちを理解できる生徒が増えたことが、とても嬉しいです。
生徒の皆さんの感想から(抜粋)
- 100円均一のお店などには入れないということは、思ってもみなかった。街にバリアがたくさんあることを知りました。
- 普段何気なく使っているものの中には、弱者といわれる人にとって不便なことがあることが理解できた。
- 街をきれいにするかしないかでも障害者の方の生活が変わることは、印象に残った。私たちが捨てているゴミのせいで苦労しているという話を聞いて、エコロジーのためにも街をきれいにしたいです。
- 今は元気でも、いつ自分が障害者になるかわからないということを知った。もし自分がそのようになっても、下山先生のように努力して活き活きと生きていけるのだと感じました。
- 車イスの不便なところの話で、公園の入り口の柵のせいで入ることができないということが衝撃的でした。公共の場所なのに…と思いました。
- 注1:OKIネットワーカーズ
OKIグループの重度肢体障害者在宅勤務チームのニックネームです。「OKIネットワーカーズ」のメンバーはこれまで、OKIグループの企業にそれぞれ所属していましたが、2004年4月21日、株式会社沖ワークウェル(2004年4月1日設立)に全員が転籍しました。
株式会社沖ワークウェルは、OKIグループの障害者雇用を専門に扱う特例子会社を目指して設立されました。重度肢体障害者の雇用を拡大すると共に、知的障害者や視覚障害者の雇用も実施しています。