2008年度
千代田区立神田一橋中学校ボランティア授業に出席
レポート OKIネットワーカーズ 下山利博
NPO法人キャリア・ワールドより依頼を受け、2008年6月17日(火)13時30分より千代田区立神田一橋中学校で行われたボランティア講座の授業に「OKIネットワーカーズ(注1)」(OKIグループの重度障害者在宅勤務チーム)の下山利博が、講師として参加しました。神田一橋中学校の体育館にて、2年生の生徒177名の皆さんに対して、「車イスの生活について」講演をさせていただきました。今回の講演は千代田区社会体験・インターンシップ事業に伴う事前学習会として行われました。当事業は「夏休みに全生徒が高齢者施設、障害者施設、保育園等を訪問して、高齢者・障害者・園児および職員との交流や福祉に関する3日間の体験実習」するもので、平成17年から取り組まれています。校舎内にはエレベーターがあり、2階の体育館への移動はとても楽でした。
講演の様子
コードリールのコードで車イスが止まる実験をしました
5時限目、授業開始です。キャリア・ワールドの土屋様より紹介をしていただき、下山が講演をさせていただきました。10年前の交通事故が原因で車イスの生活をしているなど、自己紹介しました。その後、外出時に起こったさまざまな事件を紹介して、バリアが身近にあることを話しました。そして、道路の微妙な傾斜と段差が、車イスで進むには大変であることを知ってもらうために実験を行いました。コードリールの延長コードを乗り越える実験では、見事にコードに引っかかり止まってしまいました。ポイ捨てされるごみなどは、車イスに引っかかることがあります。また、犬の糞・こぼしたコーヒーなどを踏んでしまうことで、服や手を汚すだけではなく家の中に車イスで入ると部屋の中まで汚してしまうことを伝えました。そして、車イス利用者のためにも街の美化にも協力してほしいと訴えました。最後に、ユニバーサルデザインが実現する社会を作っていってほしいと伝えて話を終えました。
マナー研修の様子(株式会社 日本医療事務センターの八尾氏(中央))
校舎の玄関の階段を生徒さんに介助していただきました
休憩の後、「マナー研修:高齢者の身体的特徴と接し方」について、株式会社日本医療事務センターの接遇インストラクターである八尾様の指導により行われました。老化が進むと身体にどのような症状があらわれてくるのかを質問されました。特徴のひとつである「耳が聞こえにくくなる」症状を、耳栓を使うことで、実際に聞こえにくいということなど体験しました。そして、高齢者に接するときの注意点と、実習先で必要なルールについて学習を行いました。この講座を学習したことでさまざまな点に気がついた生徒の皆さんは、高齢者に対しての接し方を理解できたことと思います。
校舎の玄関にある階段を数人の先生と生徒さんに介助していただきました。介助している時は真剣な顔でしたが、階段介助終了時の皆さんの笑顔がとても印象的でした。本当にありがとうございました。
千代田区内の中学校で、車イス利用者と高齢者の気持ちを理解できる生徒が増えたことが、とても嬉しいです。
生徒の皆さんの感想から(抜粋)
- 「車イスでは1.5cmほどのコードも前輪を上げないと通れない」と聞いて驚きました。
- いつ下山さんのように足が動かなくなるかわからないという話は、印象に残った。
- 車イスに乗っている人にとって、道路に落ちているゴミはとても迷惑で困るものだということを知りました。障害者の方が安全に暮らせるのならば、協力したい。
- 交通事故で「自分の足で歩くことができません」と言われたのに「できなくなったことがあれば、できるようになることもある」と思ってがんばった話が、心にしみました。
- 「世の中には、車イスの人が大変な思いをしてしまうものが多い」という話を聞いて、少しショックを受けました。どんな人も過ごしやすい、住みやすい世の中を作っていかなくてはいけないのだな…と強く思いました。
- 注1:OKIネットワーカーズ
OKIグループの重度肢体障害者在宅勤務チームのニックネームです。「OKIネットワーカーズ」のメンバーはこれまで、OKIグループの企業にそれぞれ所属していましたが、2004年4月21日、株式会社沖ワークウェル(2004年4月1日設立)に全員が転籍しました。
株式会社沖ワークウェルは、OKIグループの障害者雇用を専門に扱う特例子会社を目指して設立されました。重度肢体障害者の雇用を拡大すると共に、知的障害者や視覚障害者の雇用も実施しています。