現在位置:Home > コラム2008年 > 時空を超える人に優しいユビキタス・コミュニケーション


コラム

2008年8月1日

時空を超える人に優しいユビキタス・コミュニケーション

  • 上條 健(Takeshi Kamijoh)
    研究開発本部
    本部長

研究開発本部の上條です。

「ユビキタス」という言葉が社会に定着して、随分と時間が経ちました。ユビキタス(Ubiquitous)という言葉は、ラテン語の宗教用語から英語として使われ、当初日本語として「遍在する」と訳されていましたが、今日では、それが何であるかを意識させず、しかも「いつでも、どこでも、だれでも」が恩恵を受けることができるインタフェース、環境、技術のことを意味しています。つまり、ユビキタスを実現したのは、生活のあらゆる場面で情報通信が使われる時代となったからだといえます。このような時代においては、今後ますます情報通信技術が違和感なく生活に溶け込むことが重要になります。

研究開発本部は、誰もがストレスを感じることなく、どこでも、適切な形で情報通信の恩恵を受けることができるための技術を、様々な側面から開発しています。今回は、ユビキタス・コミュニケーションという切り口でその取り組みについて紹介します。

現在、ブロードバンドサービスや携帯電話、ゲーム機のような情報端末にいたるまで、情報通信技術は生活のあらゆる場面で活躍しています。多くの人はこれらを利用し、生活になくてはならないものとなっています。その結果、情報通信技術の利活用が進み、経済活動の活性化のみならず、個人個人の生活をより豊かなものとしています。

しかし、「活用」というのは「使うという意志」が必要であることに気づきます。つまり、いささかなりともストレスを感じながら利用しているのではないでしょうか。それぞれの五感に共鳴する情報通信ができれば、時空を超えたユニバーサルなコミュニケーションが実現できます。

当本部において、その実現形態として研究開発が進められている"超臨場感システム"は、遠隔地にいる人同士があたかもその場でコミュニケーションしている状況を生み出すシステムです。今日、広く利用されているテレビ会議システムはとても便利で、時空を超えたコミュニケーションを実現しています。しかし、何か使いにくいとは感じませんか?「やはり、一度直接会って話しましょう」と言って会議が終わることも少なくないのではないでしょうか。

これは、現状のシステムはリアル世界の情報に対してリアルタイムにアクセスするということについて不十分なゆえに、ストレスを感じてしまうということです。人と人とのコミュニケーションは、相手のしぐさ、声の調子、目線などを五感で感じながら行っています。そこで、遠隔というハンディキャップを解消するために、五感をも伝える技術が必要になります。これが"超臨場感システム"です。

しかし、リアル世界をそのまま伝えることは不可能です。リアル世界の再現方法の一つがバーチャル世界(メタバース)です。リアル世界の起きていることが投影されたバーチャル世界によって、コミュニケーションの質が劇的に向上すると期待しています。どのような情報がバーチャル化し、どのようにリアル世界と融合するのかという課題に対して、テレワークという側面で取り組んでいます。これが実現すれば、人の移動を減らすことによる省エネルギー効果という全地球的な問題の解決に寄与するだけでなく、新しい知的ネットワークによる「知の創発」という知識社会の新たな変革の入り口を提供することが期待できます。

この実現に向けて重要なもう一つの技術として、センサーネットワークがあります。様々な情報をセンシングして、ネットワークを介して伝達・共有することができるネットワークです。ことに、無線センサーネットワークは空間的な制約が低いので、いろいろな環境で活躍できます。もし、アドホックなネットワークを構成すると、それ自体が分散協調システムとして動作が可能になります。

私たちが開発した"省電力型センサーネットワーク技術"は、人にも環境にもやさしいネットワークとしての利用が可能になります。無線センサーネットワークが五感に関わる必要な情報をセンシング、適切に伝えることができれば、時空を越えた新たなコミュニケーションシステムが実現できます。

近い将来、いつの間にかネットワークの中で、あらゆる人と安全かつ快適にコミュニケーションしている時代がくることになるでしょう。それは、SF小説よりさらに実世界に近い「フツウ」の感覚となっているはずです。

情報通信技術もエレクトロニクスという範疇にとどまらず、このようなコミュニケーションの実現には情報行動や人間工学、心理学、生理学、脳科学といった幅広い周辺の領域を取り込みながら発展していくことが必要です。このような周縁領域との融合がイノベーションを起こしていくと期待しています。

参考:臨場感テレワークシステム

コラム関連リンク

コラム内容に関するお問い合わせ先

ご質問・ご意見等がございましたら、以下のフォームよりお問い合わせください。
コラムお問い合わせフォーム
  • 記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。
  • 各コラムの記載内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

ページの先頭へ