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コラム

2008年7月1日

世界中からオフィスやご家庭に情報を届ける光通信を支える技術

  • 坪井 正幸(Masayuki Tsuboi)
    半導体ビジネスグループ
    オプティカルコンポーネントカンパニー
    プレジデント

オプティカルコンポーネントカンパニー(以下、OCC)の坪井です。

OCCは、光ファイバー通信用の主要な光コンポーネントである、送信用光源としての半導体レーザー(注1)(半導体光変調器(注2)含む)、受光デバイスとしてのフォトダイオード(注3)、そして、それらを駆動する化合物半導体IC(注4)に関する開発、製造、販売を行っています。

本日は、ちょっと耳慣れない技術用語がでてきて難しいかもしれませんが、光ファイバー通信の発展を支えてきた基本技術と、今後の飛躍的な伝送容量増大に必要な超高速伝送技術についてお話させていただきます。

高速光ファイバー通信


FTTH用レーザー

かつて光ファイバー通信と言えば、基幹伝送、局間伝送などが中心で、日常生活にはあまり関係していませんでした。しかし、今やFTTH(Fiber to the Home)が身近になってきており、現在国内での光ファイバー回線加入者はADSL加入者を上回り、約1,000万加入にまで達しています。さらに、今年3月からはNGN(Next Generation Network)の商用サービスも開始され、2010年には2,000万加入になるとも予測されています。

光ファイバー通信が実用化に至ったのは、大きく2つの技術発明、ブレークスルーがあったためと言われています。1つは化合物半導体材料を用いた半導体レーザー、もう1つはファイバー光増幅器です。

半導体レーザーは1970年の室温連続発振(注5)の成功がきっかけでした。ちなみに、当時の"寿命"は1分ぐらいだったそうですが、現在実用化されている光通信用の半導体レーザーの寿命は、20年以上となっています。その後、信頼性はもとより、特性の改良も続けられ、1980年代には光ファイバー通信が実用化されました。また、半導体レーザーは、光ファイバー通信以外でも光ディスク(CD/DVD)用ピックアップへも応用され、現在に至っています。

もう一方のファイバー光増幅器は、衰弱した光信号を光のまま増幅するものです。1989年に"エルビウム"という希土類元素を添加した光ファイバーに、波長1.48μmの高出力半導体レーザー光を入力すると、波長1.55μmの信号光が増幅されることが実証され、1990年代に実用化されました。この結果、大規模な中継器なしに、伝送距離を飛躍的に伸ばすことが可能となり、都市内や都市間、国家間などの中・長距離伝送の中心は、光ファイバー通信システムとなりました。

伝送速度については、1980年代に数十Mbps(ビット/秒)の基幹伝送からスタートしましたが、現在のFTTHの主流はベストエフォートで100Mbps、また、中・長距離伝送の主流の伝送速度は10Gbpsにまで高速になってきています。10Gbpsの伝送速度は、半導体レーザーや光変調器を1秒間に100億回の高速で動作レーザー光を"点滅"させることで実現しています。

OKIの40Gbps、100Gbps用光コンポーネント

NGNを支える技術の1つとして、現在の10Gbps伝送システムの次世代版である40Gbps、100Gbpsシステムの実用化に向けた開発が進められており、既に一部の領域では40Gbps伝送のサービスが始まっています。OKIは半導体光変調器において、40Gbpsの光コンポーネントをいち早く商品化し、現在では、光変調器を内蔵した40Gbps用半導体レーザーと、それを駆動する化合物半導体ICを量産しているところです。

さて、100Gbps用光コンポーネントの実現ですが、そのまま動作速度を40Gbpsの2.5倍にするという訳にはいきません。現在のデバイス技術の延長線上では、その速度で使用可能なIC、半導体レーザー、光変調器を実現することが難しいからです。現在、私たちが商品化に向けて開発をしているのは、何種類か提案されている規格案の1つである、1波長25Gbpsの速度を4波長重ねる波長多重技術(WDM:Wavelength Division Multiplexing)により、100Gbps伝送を実現する光コンポーネントです。

従来の技術とWDMとの大きな違いは、コンポーネントのパッケージの大きさや消費電力を10Gbpsの2~3倍で、10倍の速度の100Gbpsを達成しようというところです。100Gbps向け商品の開発は、このように速度だけではなく、4波長を重ね合わせ小型、低消費電力を実現するという技術開発が必要となります。そして、OKIがそれを実現できるのは、既に40Gbps伝送用光変調器内蔵半導体レーザーや、それを動作させるICを量産中であるからです。

冒頭に述べたとおり、OKIは光通信の主要光コンポーネントである、半導体レーザー(および光変調器)、フォトダイオード、化合物半導体ICを量産中であり、これら3種類のキーデバイス全てを持っている、数少ない光コンポーネントベンダーです。近い将来には、皆様のオフィスやご家庭に私たちの100Gbps光コンポーネントにより通信されたビット(情報)が世界中から届くこととなるでしょう。

用語解説

  • 注1:半導体レーザー

    電流を流すことにより、発振して光を発する半導体素子

  • 注2:半導体光変調器

    半導体レーザーからの光の強度を変化させ、電気信号を光信号に変換する半導体素子

  • 注3:フォトダイオード

    光信号を受けて、電気信号に変換する半導体素子

  • 注4:化合物半導体IC

    シリコンのような単一原子ではなく、2つ以上の原子からなる半導体材料でできたIC

  • 注5:室温連続発振

    室温環境下で一定の電流を流し、レーザ光を連続して発振し続けさせること

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