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導入事例

2008年7月11日

株式会社ジェイティービー様

Windowsのシンクライアント機能「WTS」で447支店の会計システムを集約
業務アプリの"使いやすさ"はそのままに運用コストを半減


JTB様 社屋外観

「Your Global Lifestyle Partner」を合い言葉に、グループ企業全体で「総合旅行産業」から「交流文化産業」への事業領域拡大を進める株式会社ジェイティービー様(以下、JTB様)は、コア事業の旅行商品販売を担う全国各支店の会計システム「POPS(ポップス)」を刷新しました。第3世代となる「POPSⅢ」では、マイクロソフト社の「Windowsターミナルサービス」(WTS)によるシンクライアント型システムを採用。従来、各支店に分散配置していたサーバを集約することで、TCO(注1)の大幅削減を実現しています。クライアント数は約6,500台にものぼり、WTSとしては国内最大級の規模を誇ります。

OKIは、POPS第1世代からのパートナーとして、この先進的なシステムの開発・導入を強力にサポートしました。

旅行業界で圧倒的シェアを誇るリーディングカンパニーのJTB様は、IT活用に関しても他社に先駆けた積極的な取り組みを行ってきました。その代表的なものとして、旅行関連業務を支える2つの独自システムがあげられます。

まず、各種旅行商品の予約・発券業務を担う「TRIPS」(トリップス:Travel Reservation Information&Planning System)。1969年に宿泊施設の客室予約システムとして開発され、バージョンアップを重ねる中でパッケージ旅行の予約や飛行機・鉄道の座席予約・切符の手配、支店窓口とWebサイトの両チャネルを統合した予約受付管理など、多様な機能拡張が進められました。現在は第6世代の「TRIPS-Ⅵ」が運用されています。

そしてもう1つが、各支店の旅行商品販売に関する会計システムとして1992年から運用されている「POPS」です。同システムは、入力にレジスター端末を用いた初代の「支店POSシステム」に代えて、「TRIPS」との接続により会計情報作成・管理業務の効率化を推進する目的で開発されました。名称の由来も「POS」と「TRIPS」を結びつけたもので、社内公募の中から決定したそうです。

背景・導入目的

第2世代は「レスポンス」を重視


株式会社JTB情報システム
執行役員
会計システム1部・2部
部長 伊藤 博敏 氏

「POPS」の最大の特徴は、勘定科目の自動仕訳にあります。「支店の店頭窓口担当者や団体営業担当者が、旅行商品の予約受付でTRIPSを操作したり、販売商品の情報をPOPSに入力すれば、勘定科目が自動判断されて会計処理が行われていきます。データを入力する社員は、スーパーなどのレジと同じように会計の専門的なことを一切気にすることなく業務を進められますし、各支店で数字の集計・確認を行っている庶務会計担当者の作業も大幅に軽減されるわけです」と、JTBグループのシステム開発・運用を手がけるJTB情報システムの執行役員・会計システム1部・2部長の伊藤博敏氏は説明します。

この仕組みは、オフコンを用いた第1世代「POPSⅠ」から2001年に移行したクライアント/サーバ型の第2世代「POPSⅡ」において、完成度の高いアプリケーションとして確立されました。さらに「POPSⅡ」では、第1世代からのリモートメンテナンス機能に加えて各支店の入力代行をセンター側から行える「リモートPOPS」機能や、店頭および団体営業でのお客様対応に役立つ情報提供・業務支援機能なども盛り込まれました。

しかしながら、運用コストや管理面での課題が少なからずありました。支店ごとに配置したサーバで利用するRDBMS(Oracle社の「Oracle8 Standard Edition」)のライセンスは計330台分、他のアプリケーションとの競合を避けるため、専用端末としたクライアントPCは約4,500台にものぼり、運用コストは年間で約30億円かかっていました。また、各サーバの稼働状況監視、障害・故障時の対応、アプリケーションの機能追加・修正に伴う更新などの作業も大きな負荷となっていました。

ただ、こうした課題は、システム導入前から認識されていました。伊藤氏は、「POPSⅡの検討段階では、コストを抑えるために、サーバをセンター側に集約してネットワーク経由で利用する仕組みも視野に入っていたのです。しかし、現場での操作性を考えると、その時点では満足のいく結果が得られないと判断しました」と振り返ります。店頭窓口でお客様対応をスムーズに行うためには、システムの迅速な処理とスムーズな画面切替が必須の要素でした。この点で、当時のネットワーク環境では満足のいくレスポンスが得られないと判断されたことから、各支店内で会計処理を完結できるクライアント/サーバ型が"最適"として選ばれたわけです。

サーバ集約型の3つの候補からWTSを選定

「POPSⅡ」の運用開始から約4年を経た2005年1月、次期システム「POPSⅢ」の検討がスタートしました。最大の狙いはもちろんTCO削減であり、IT技術やネットワーク環境も大きく進展していたため、当初から「サーバ集約化をどのような形態で実現するか」に焦点が当てられました。

具体的なシステムとしては、(1)Citrix Systems社の「MetaFrame」(現在の名称は「XenApp」)、(2)Webアプリケーション(既存アプリケーションのWeb化)、(3)Windows2003 Serverに標準搭載されたシンクライアント機能「Windowsターミナルサービス」(WTS)の3つが候補に掲げられました。

しかし、(1)(2)は、早い段階で対象から外されました。その理由について、伊藤氏は次のように語ります。「MetaFrameは機能は豊富ですがコストが高く、機能的な優位性も今回の刷新では必要ありませんでした。一方のWebアプリケーションは、コスト面での魅力はあったものの、レスポンスや操作性の面で従来システムのレベルを維持するのが困難でした」。

こうして、2005年4月には「POPSⅢ」でのWTS採用が決定したわけですが、「最終的な判断を下すうえでは、WTSの機能などについてOKIが詳しく調査してくれたことも大きなポイントとなりました。その結果を見て、『これならWTSでも問題ない』と確信できました」と、伊藤氏は付け加えます。

システム概要

コスト抑制とともに、業務現場での使い勝手も重視


株式会社JTB情報システム
会計システム2部
次長 林 賢太郎 氏

「POPSⅢ」では、クライアント側にインストールしていたアプリケーションをセンター側のWTSサーバで実行する形になるため、端末は他の業務で使用しているPCへの統合が可能になりました。

また、アプリケーションについては、「POPSⅡ」で構築したものを継承したうえで、エンドユーザーへの調査結果をもとに使用頻度の低い機能は削除しました。JTB情報システム・会計システム2部次長の林賢太郎氏は、「機能を削った場合はメニュー画面のボタン配置なども調整するのが一般的ですが、今回は改修コストと継続利用を考え、従来の画面をそのまま使うことにしました」と話します。

このように、TCO削減という目的を徹底追求するためのさまざまな手立てを打つ一方で、業務現場の実態を捉えた機能面での工夫にも力を注ぎました。その代表例が、利用頻度の高い各種帳票の印刷機能です。

WTSは、クライアントの入力情報でセンター側のアプリケーションを動かし、出力情報のみをクライアントに返す「画面転送型」の仕組みで、この動作だけであればネットワーク上を流れるデータはそれほど大きくなく、快適なレスポンスを得られます。しかし、印刷は膨大なデータを伝送するためトラフィック量が増大し、ネットワークの負荷を一気に押し上げることになります。

この課題を解決したのが、OKIの提案した印刷データをPDFファイルにして伝送する仕組みです。これはソフトウィングが提供する帳票印刷ツール「WingReport」を活用したもので、支店側の端末から印刷指示が出されると、印刷イメージはセンター側でPDFファイル化され、帳票配信サーバから支店側のプリンタサーバに送られて自動でプリンタに出力されます。

PDFファイル作成時には、出力解像度の調整や圧縮処理も加えています。これにより、印刷トラフィックは大幅に抑えられ、既存ネットワークのアクセス回線を増強せずに新システムへと移行することができました。さらに伊藤氏は、「プリンタサーバでのデータ保存による再印刷、バッチ処理に合わせた自動印刷、パスワード設定によるセキュリティなども搭載されており、非常にすばらしい仕組みです。実は、私どもでは『従来のクラインアトサーバシステムで実現している印刷環境を維持してほしい』という要望を出したのですが、OKIはこれに誠実に応えてくれました」と評価しています。

導入効果

日本最大級のWTSシステムを構築し、センター側・支店側ともに運用管理負荷が低減

「POPSⅢ」は2007年2月に稼働が開始され、2008年1月に全国447支店への展開を完了しました。センター側にはRDBMS(「Oracle Database10g Enterprise Edition」に更新)を10台(10ライセンス)、アプリケーションサーバ48台、WTSサーバ200台を設置し、100Mbpsの回線でIP-VPNに接続しています。支店側はFTTHあるいはADSLをアクセス回線として約6,500台のクライアントPCがつながっています。これほどの規模のWTSシステムは日本最大級であり、世界的にもあまり例のない先進事例です。

システム導入には約30億円かかりましたが、その運用コストは約15億円と従来の2分の1に抑えられ、2年ほどで初期投資を回収できる計算になります。ちなみに、従来システムの構築には約80億円を要しました。時代背景なども考えると投資額を単純に比較することはできませんが、今回のシステム刷新においてシステムコスト削減、TCO削減という目的が達成されたことは確かです。

加えて、システムの運用管理にかかる作業負荷も明らかに軽減されました。「サーバ機器・アプリケーション・データを集約したことで、システム全体の管理作業もセンター側で集中して行えるようになりました」と林氏は言います。また、伊藤氏は、業務現場での具体的な効果を次のように表現します。「各支店でシステム管理役を"兼務"していた業務課長にも、肩の荷を下ろして本業に専念してもらえるようになりました」。


  • DBサーバ

  • WTS & APサーバ

今後の展望

WTSでグループ共通の会計システムも構築

「POPSⅢ」でWTSの有用性が確認できたことを踏まえ、JTB様ではグループ企業約80社が手がける旅行関連以外の事業について、2009年4月をめどにWTSを用いた共通会計の仕組みを構築する計画を進めています。伊藤氏は、「JTBグループは2006年4月から持株会社制へ移行し、幅広い事業分野への進出を積極的に図っています。そうした多様な事業会社の連結決算を迅速に行うためセンター化して、会計処理を同じスキームの上で行えるようにするために、WTSをうまく活用しようということです」と説明します。

また、「POPS」の次なるステップについては、「機能的にはほぼ完成したと思っているので、今後は『何が必要か』を検討していくことになるでしょう」としたうえで、「昨今は、Webを使った旅行商品の販売が進み、店頭販売とは異なった競争がますます激しくなっています。このような販売手法のトレンドの変化を捉えると、旅行業務に関する財務会計のあり方自体を議論しなければならないかもしれません」と、会計システム変革の可能性も示唆しています。

システム構成図

POPSⅡ(前システム)とPOPSⅢ(新システム)の比較

用語解説

  • 注1:TCO(Total Cost of Ownership)

    管理コストをも含めたコンピュータや、ネットワークにかかる経費の総計。単なるハードや周辺機器の購入費用だけでなく、その後の修理やソフトウェアのバージョンアップ、サポート要員の確保やトラブルの解決にかかった人件費など、管理維持していくために必要となるコストの総計。

JTB様 概要

社名 株式会社ジェイティービー
本社所在地 東京都品川区東品川2-3-11
代表者 田川博己 代表取締役社長(2008年6月30日現在)
創立 1963年11月12日(創業:1912年3月12日)
グループ企業 国内外合計150社
従業員数 グループ全体 2万5,362名(2007年3月31日現在)
事業内容 事業持株会社制のもと、グループ全体で旅行関連事業のほかホテル・リゾート、出版・広告、イベント、情報処理、不動産、金融・保険、物流等々の幅広い分野で40種近い事業を展開
ホームページ http://www.jtb.co.jp/

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