2011年11月7日
株式会社国際電気通信基礎技術研究所
沖電気工業株式会社
ATRとOKI、ICT機器内用に適した多元接続無線通信技術を開発
通信用ハーネスを削減し、機器のグリーン化を促進
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(代表取締役社長:平田 康夫、以下 ATR)と沖電気工業株式会社(代表取締役社長:川崎 秀一、以下 OKI)は、総務省ICTグリーンイノベーション推進事業「ICT機器内ハーネスのワイヤレス化の研究開発」において、ICT機器のライフサイクルCO2削減に資するワイヤレスハーネス用デバイスとして、2.4GHz ISM帯(注1)を用いた多元接続(注2)無線通信技術の開発を行い、実証実験を通して所定の性能を確認しましたので発表します。本技術では、200個ものセンサ情報をそれぞれ1ms以内の遅延で1kHzの周期で収集することができ、かつ省エネルギーに優れたスリープ・ウェイクアップ機能を備えた通信プロトコルを実装しています。また、機器内環境においても安定性に優れたアンテナを搭載している点が特長です。本技術は、2011年11月11(金)および12日(土)にATR内で開催する「ATRオープンハウス2011」の展示ブースで公開されます。
背景
地球温暖化が指摘され、またエネルギー問題が顕在化する中で、グリーンテクノロジーの創出と普及は日本のみならず世界に共通する喫緊かつ重要な課題となっています。そのような技術の創出を促す一つのキーテクノロジーがICTであり、人々の生活の利便性向上に大きく寄与すると同時に、エネルギー利用効率の改善、人・物の移動の削減などを通して様々なシステムや経済活動などの効率を高める効果が期待されています。
今回の成果
日本のモノづくりの特長を活かす視点で、ICT機器のCO2排出削減と省資源化の技術開発を目指しました。具体的には、メカトロニクスを内蔵するICT機器を対象とし、機器内に多量に存在する通信用ハーネスのワイヤレス化を可能とする多元接続無線通信技術の研究開発を行いました。ICT機器内は金属や誘電体などからなる部品が密に存在し、電波の伝搬に適するようなまとまった空間がほとんど無い狭小な空間です。そのために無線通信にとってはかなり過酷な環境といえます。本成果では、機器内の伝搬評価から開始し、その基礎的知見を基にして、過酷な環境下でも高品質・低遅延を実現する多元接続無線通信技術による、超小型無線通信デバイスを設計し、実機試験を通してその有用性を確認しました。CO2排出削減効果については、受託共同研究機関であるNTT環境エネルギー研究所がライフサイクル評価手法の検討と並行して評価を進めているところです。
今後の展望
平成23年度末までに引き続き本技術による各種試験を行い、本無線デバイスおよびシステムの性能評価を実施するとともに、この機器を使ったワイヤレスハーネスのライフサイクル的なCO2削減効果や省資源効果の定量的予測手法の検討を推し進め、グリーン化への貢献を明らかにします。
次年度以降は、今回開発した技術の実用化を押し進め、ICT機器の省資源化やグリーン化を通して社会に貢献することを目指します。
公開の概要
- 実施日時
2011年11月11日(金) 10:00~17:00
2011年11月12日(土) 10:00~15:00 - 実施場所
ATRオープンハウス2011「ICT機器内ハーネスのワイヤレス化」展示ブース
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)内
〒619-0288京都府相楽郡精華町光台二丁目2番地2
http://www.atr.jp/ - 展示内容
展示ブースにおいて、パネルによる詳細説明およびハードウェア展示を行います。
既存方式の課題
2.4GHz ISM帯を用いる、近距離型デバイス(Short Range Device)にはBluetoothやZigBee、あるいは独自仕様の特定小電力無線システムなど、様々な通信デバイス・システムがあります。しかしそれらはそれぞれの用途にチューンした仕様となっているために、本研究の目標スペック(200個の多元接続数、1ms以内の遅延、機器内環境での通信)を満たすものではありませんでした。
本研究の成果の特長、対応技術
本研究開発は、各種機器内の無線伝搬環境の評価から開始し、その知見を基にしたシステム設計と以下の要素技術の開発を経て、省電力性に優れつつも、1Mbpsの通信速度で低遅延・多元接続に優れた特定小電力無線通信デバイス・システムを実現しました(図1)。
- 隣接する金属や誘電体の影響を受けにくい小型アンテナの開発
- 基地局へのダイバーシティの導入
- 周波数選択プロトコルの開発
- スーパーフレームプロトコルの開発
また、無線通信システムによる機器内ハーネスのワイヤレス化の効果に関して、ライフサイクルCO2削減効果の評価手法の検討を行い、評価手法を構築するとともに、それに基づく試算を行って、効果の数量化を行いました。
実用化時の利用イメージ
今回開発した技術を用いることによって、内部が込み入った機器内でもハーネスを無線化することができ、省資源化、設計の容易化、組立・保守の軽減、これらを通したライフサイクル的なCO2削減の効果が期待できます。

図1 開発した無線通信デバイス
図2 利用シーン(イメージ)
用語解説
- 注1:2.4GHz ISM帯
ISM(Industry, Science, Medical)用を主眼として認められた、免許を要しない無線周波数帯の一つである2.4 - 2.5GHzのこと。ここでは特に、特定小電力無線通信システム用の2.400 - 2.483GHzを意味する。
- 注2:多元接続
1対1(Point-to-Point)通信に対して、1対多(Point-to-Multipoint)の通信であり、複数の端末が基地局にアクセスできる通信方式。
- 沖電気工業株式会社は通称をOKIとします。
- その他、本文に記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。
- 本件に関する報道機関からのお問い合わせ先
- 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 経営統括部
電話:0774-95-1172 FAX:0774-95-1178 - 沖電気工業株式会社 広報部
電話:03-3501-3835 - 本件に関するお客様からのお問い合わせ先
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電話:0774-95-1172 FAX:0774-95-1178 - 沖電気工業株式会社 社会システム事業本部 交通・防災システム事業部 無線技術研究開発部
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