2010年9月30日
「オフィス空間内の人や機器の位置情報を活用するメディア処理・提示技術」を開発
遠隔オフィスを俯瞰、任意エリアにアクセスできる次世代コミュニケーションシステムを試作
OKIは、このたび、オフィス空間同士をつなぎ、離れた場所にいても同じオフィスで活動しているような臨場感を実現する「オフィス空間内の人や機器の位置情報を活用するメディア処理・提示技術」を開発し、さらに本技術を用いた次世代コミュニケーションシステムを開発中です。
現在、遠隔地とのコミュニケーションを行う場合、最初に用件を伝える相手を決め、手段を選んでアクセスするといった手順で行われています。アクセスする前に相手の置かれている状況がわからないため、間の悪い場合や連絡が取れないことがあります。一方、通常のオフィスでのコミュニケーションは何かに気付いて声をかけたり、様子を伺ってから話しかけたりと、遠隔オフィスの人との会話よりも気軽に、また確実に行われています。そこでOKIは、次世代のコミュニケーションシステムに向けて、離れた場所にいても同じ場所にいるような感覚で会話をはじめられるようにする、複数の映像、音、センサ情報を活用した空間と空間をつなぐ技術の開発を行っています。
今回開発した「オフィス空間内の人や機器の位置情報を活用するメディア処理・提示技術」は、オフィス空間内の人や機器の位置情報を活用することで、指定した人やエリアの映像・音声などのマルチメディア情報を遠隔地の利用者に伝送するものです。従来の遠隔コミュニケーションシステムでは、相手にアクセスする際に電話番号やIPアドレスなど通信を行う端末に紐付いたアドレス体系を利用者が意識して使う必要がありました。それに対し本技術を利用したシステムでは、直感的な操作でコミュニケーションが可能となります。たとえば、遠隔オフィス全体を写す映像中の人をタッチするという操作で、その人とコミュニケーションを開始することができます。今回開発した技術の内容は以下になります。
- 位置情報に基づいてメディアを管理・配信する技術
オフィス空間に配置されたマイクやカメラなどのマルチメディア情報入力機器の種類および位置情報と、利用者の操作とを結び付けて、遠隔オフィスの指定エリアの映像・音声などのマルチメディア情報を配信する技術です。情報管理サーバ上にオフィス空間における人や機器の位置情報を登録することで、遠隔オフィスから接続してきたコミュニケーション端末にその位置情報を送信できるようにしました。受け取った位置情報と利用者からの操作情報に基づいて遠隔オフィスのどのマルチメディア情報入力機器に接続すべきかをコミュニケーション端末が判断し、配信サーバに配信要求を送出します。配信サーバでは、その要求に基づいて指定エリアのマルチメディア情報を配信します。利用者は、端末上で見ている遠隔地の映像上の場所を指定することで、指定したエリアに対応する映像や音声を視聴することができるようになります。
- 位置情報を扱うためのユーザーインターフェース技術
利用者が操作するコミュニケーション端末のユーザーインターフェース技術です。遠隔オフィス空間中の注目したい領域を指定するために、複数カメラによる視点の変化を分かりやすく表示するグラフィカルユーザーインターフェースを開発しました。また、コミュニケーション端末に回転機構を設け、遠隔オフィスからメディア配信を指定されたエリアの端末が首振り動作をするようにしました。これにより遠隔オフィスから様子をうかがわれていることに気付くことができるようになります。
また、今回これらの技術を搭載した次世代コミュニケーションシステムも開発しています。このシステムでは離れた場所にいる利用者が、オフィスに設置された複数のカメラ・マイクで取得したマルチメディア情報を位置情報に基づいて利用できるようになっています。これにより遠隔オフィスを俯瞰し、気になるエリアに近付き、そこにいる人と対話をするという動作を実現しています。さらに、本システムは常時接続することを前提に設計しています。遠隔オフィスの様子を常時伝えることで、状況の変化をきっかけとしたコミュニケーションの発生が期待されます。このようなコミュニケーションのきっかけとなる状況変化を伝えるため、遠隔オフィスで発生した情報を俯瞰映像へ重畳したり、効果音で提示したりする機能も搭載しています。
なお、本成果の一部は、独立行政法人情報通信研究機構(理事長:宮原 秀夫、以下NICT)が進める超臨場感コミュニケーション技術に関する研究開発の一環として、NICTから受託した委託研究「高度通信・放送研究開発委託研究/革新的な三次元映像による超臨場感コミュニケーション技術の研究開発」によって得られたものです。
現在、埼玉県蕨市と大阪市にあるOKIのオフィスをつないで実証実験を行っています。また、今回の成果は次世代ユニファイドコミュニケーションシステムに搭載する新機能の開発につなげていく予定です。なお、本システムは10月5日から幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2010」の超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)のブースに展示予定です。
技術的な補足
本システムは以下の構成により実現しています。
- コミュニケーション端末

利用者が使用する端末です。この端末を通じて、遠隔地の様子を映像や音声で知ることができます。また、遠隔地にある別のコミュニケーション端末と通信をすることも可能です。マイク、スピーカ、カメラ、タッチパネル式ディスプレイを備えており、メディア配信サーバからの配信データを再生する役割と、他のコミュニケーション端末と通信する役割を持ちます。
- 俯瞰表示ディスプレイ

メディア配信サーバからの俯瞰映像を常時表示しておく役割を持っています。利用者は、この映像により遠隔オフィスの雰囲気を確認することができます。俯瞰映像にメッセージを重畳する機能も持ちます。
- メディア配信サーバ
オフィスに設置されたカメラやマイクからの情報を配信する役割を持っています。映像符号化はH.264(注1)を使用し、音響符号化は、AAC(注2)を使用しています。
- 情報管理サーバ
機材や人の位置情報の管理、コミュニケーション端末のセッション管理などを行います。
図1:次世代コミュニケーションシステム概念図(図は簡単のために片方向のみ記載)

図2:次世代コミュニケーションシステムの動作モード

用語解説
- 注1:H.264
ITU(国際電気通信連合)によって勧告された、動画データの圧縮符号化方式の標準の一つ。ISO(国際標準化機構)によって動画圧縮標準MPEG-4の一部(MPEG-4 Part 10 Advanced Video Coding)としても勧告されている。このため、「H.264/MPEG-4 AVC」「H.264/AVC」のように両者の呼称を併記する場合も多い。
- 注2:AAC
MPEG-2/MPEG-4で規定されているオーディオ用の圧縮標準。
- 沖電気工業株式会社は通称をOKIとします。
- 本件に関する報道機関からのお問い合わせ先
- 広報部
電話:03-5403-1247 - 本件に関するお客様からのお問い合わせ先
- 研究開発センタ ヒューマンコミュニケーションラボラトリ
電話:048-420-7073
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