2009年12月7日
沖電気工業株式会社
沖エンジニアリング株式会社
OKIエンジニアリング、電子機器設計時の熱抵抗値と実条件値の乖離を大幅に減少させた「過渡熱抵抗測定サービス」の提供を開始
OKIエンジニアリングは、電子機器に使用する半導体部品の過渡熱抵抗を測定する「過渡熱抵抗測定サービス」の提供を、2009年12月1日より開始しました。本サービスは、電子機器の熱設計において必要な、半導体部品の熱抵抗(注1)値と実条件値との乖離を最小限に抑えることで、TEG(注2)による解析期間を大幅に短縮し、開発コストの削減を可能とするものです。
高速化、超小型化、実装形態の多様化などにともない深刻化している、電子機器における内部回路の温度上昇は、誤動作、焼損などの熱問題のほか、システムの信頼性劣化や電子機器の寿命にも大きな影響を与えます。このため、熱設計が重要となりますが、実条件値に近い熱設計を行うには、機器を構成する個々の部品の熱抵抗値を正確に把握する必要があります。しかしながら、以前から行われている回路設計時のTEG基板による測定は、パッケージ全体の熱抵抗値測定であるため、設計時と実使用時では、熱抵抗値が乖離するという課題をかかえていました。これを解決するには、設計時に実使用条件での測定値を組み入れることが必要でした。
OKIエンジニアリングでは、この課題に応えるため、長年培ってきた構造解析や実装評価のノウハウと、部品構造や多様な実装形態に関する知識をもとに、パッケージ全体の熱抵抗値測定から、構造材毎に固有の構造関数を用い、それぞれの熱抵抗を累積して求める手法に切り替え、精度よく実際に即した熱抵抗値が取得可能な「過渡熱抵抗測定サービス」をラインナップに加えました。
「過渡熱抵抗測定サービス」は、各種パッケージ構造・素子構造に対応した熱抵抗特性(熱抵抗・熱容量)が測定可能です。また、従来の測定で必要だった、熱抵抗測定用のTEG基板の設計・製作が不要となるため、解析に要する期間を大幅に短縮することができました。さらに、熱設計時の測定以外にも、当社のサービスメニューである「故障解析」や「良品構造解析」に本サービスを用いた熱抵抗データを加えることで、より正確な熱特性の診断が可能となりました。
OKIエンジニアリングでは、今後は熱抵抗測定だけでなく、温度分布測定、熱流体解析などの熱解析サービスの提供も視野に入れ、さらには、実装評価技術や故障解析などと合わせた総合信頼性評価技術として拡充していく予定です。
なお、本サービスは2009年12月9日(水)・10日(木)、東京有明のTFTホールにて開催される「Car Testing Japan 2009」(ブースNo.18)に出展します。
「過渡熱抵抗測定サービス」の特長
- 各種パッケージ構造・素子構造に対応した熱抵抗特性(熱抵抗・熱容量)を測定可能
(単一チップ、CSP(注3)、MCM(注4)など半導体特性を有しているデバイスに対応) - 埋め込みTEGを作製する必要なし
- 製品の状態で測定可能
- 各構成材料の熱抵抗を非破壊測定
- JEDEC JESD 51-1 Standard(注5)に対応
過渡熱解析例

茶色プロット(右):ヒートシンク(放熱器)なし
青色プロット(中):ヒートシンクA、グリースあり
黒色プロット(左):ヒートシンクB、グリースなし
構造材毎に左から、CHIP、DieBond、Mold、Boardの熱抵抗に相当し、ヒートシンク有無、ヒートシンク形状による差異だけでなく、グリースの有無による違いが見て取れ、どの構造部位が放熱性能に関与しているか解析できる。
用語解説
- 注1:熱抵抗
熱の伝わり易さを数値化したもので、温度差を熱流量で割った数値(θja、ψjt、θjcなど)。電気回路における電気抵抗と相似の概念。熱設計では主に何wの電力を印加すると温度が何℃上昇するか計算するのに用いる。過渡熱抵抗は瞬間的な電力印加に対する熱抵抗のこと。
- 注2:TEG(test element group)
設計・製造上の問題を見つけ出すための評価用素子の総称。熱抵抗測定のためには、通常、発熱源と温度センサを埋め込み規定された寸法と材料でできた測定基板に実装して測定を行う。
- 注3:CSP(Chip Scale Package)
LSIチップのパッケージング方式の一つ。チップサイズと同等あるいはわずかに大きいパッケージの総称。
- 注4:MCM(multichip module)
基板上に、いろいろな機能を持った半導体ベアチップおよびチップ部品(抵抗・コンデンサ)などを複数個搭載したモジュール。立体的構造がとれるため従来パッケージより面積を節約でき、異なる製造プロセス使用した素子を搭載することができる。
- 注5:JEDEC JESD 51-1 Standard
熱抵抗測定法は一般に、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council:電子部品の標準化を推進するアメリカの業界団体。EIA(Electronic Industries Alliance:アメリカ電子工業会)の一部門)が定めた規格に従って測定することが多い。この規格では、実装基板サイズ、基板材料、パターンサイズ、測定電流、環境温度、加熱条件などの細かい条件が定められている。
- 沖電気工業株式会社は、グローバルに認知される成長企業を目指し、通称をOKIとします。
- 沖エンジニアリング株式会社は、通称をOKIエンジニアリングとします。
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