2009年7月15日
大型高密度製品の鉛フリーに対応した「静圧方式はんだ付け技術」を開発
EMS事業を高品質化・短納期化により拡大へ
OKIは、このたび大型高密度製品の鉛フリーに対応した「静圧方式はんだ付け技術」の開発に成功しました。また、本技術を用いた新たなはんだ付け装置を、日本電熱株式会社(社長:山本 茂明、本社:長野県安曇野市)と共同で開発しました。これは、サイズ490×510mm、厚み6mmまでの大型高密度製品に対して高品質の鉛フリー(組成Sn-3.0Ag-0.5Cu)はんだ付けを可能とするものです。OKIでは、情報通信工場・本庄地区(埼玉県本庄市)におけるEMSビジネスにおいて本技術を活用し、大型高密度製品の生産サービスの拡大を図っていきます。
近年、エレクトロニクス業界の中核となる産業用電子機器分野では、機器の高速化・高集積化にともない、プリント配線板(注1)の大型・多層化やデバイスの形状多様化が進んでいます。一方、環境保護の側面からは、使用するはんだの鉛フリー化が進み、その組立は極めて難しくなっています。
具体的には、460×500mm、厚み4mmのプリント配線板に10,000点以上の表面実装部品(注2)や挿入部品(注3)を混載し、鉛フリーはんだで取り付けるという要求もあります。特に挿入部品の取り付けでは、プリント配線板の両面に表面実装部品をリフローはんだ付け(注4)した後、プリント配線板のスルーホール(注5)に部品端子を挿入、はんだ付けが必要となります。従来のはんだコテや、フローはんだ付け装置(注6)を用いた場合、加熱不足や、不安定なはんだ注入により、スルーホールへのはんだ充填不足が発生します。また、この充填不足を解消するため、はんだコテで局部的に過度の熱を加えるとプリント配線板の内層パターン断線を引き起こします。フローはんだ付け装置でも、はんだ接触時間を長くすると銅が溶解し、プリント配線板上のパッド食われ(注7)が発生します。大型高密度製品に対応するには、これらのはんだ付け上の問題解決が求められてきました。
今回OKIの開発した「静圧方式はんだ付け技術」は、プリント配線板にダメージを与えることなく、良好なはんだ充填を確保し、大型高密度製品に挿入部品を局所的にはんだ付けすることを実現しました。本技術を核とした新型はんだ付け装置により、大型高密度製品を従来よりもいっそう高品質・短納期で生産し、お客様へ提供することが可能となりました。
OKIでは今後、「静圧方式はんだ付け技術」をEMS事業における強みとして活用し、情報通信機器、計測機器、医療機器など各方面のお客様に積極的に展開していきます。
「静圧方式はんだ付け技術」とは
従来のフローはんだ付けでは、溶融はんだ液面に波を立てプリント配線板を浸漬して、はんだ付けを行っていましたが、プリント配線板の状態(部品の形状、配置)によるはんだ波形の乱れやプリント配線板の厚みの増加にともない、はんだがスルーホールへ回り込みにくくなり、不良を誘発していたという欠点がありました。
静圧方式はんだ付け技術は、従来のフローはんだ付けの問題を解決するため、はんだ液面の波を抑え、さらにプリント配線板のはんだ浸漬深さ(注8)を制御することにより、スルーホールへ安定的なはんだの回り込みを実現した技術です。

「静圧方式はんだ付け技術」を用いた新型はんだ付け装置について
OKIと日本電熱により共同開発したはんだ付け装置は、プレヒート機構部とはんだ付け機構部から構成されています。
プレヒート機構部では、タクト搬送方式(注9)とヒータPID制御(注10)の採用により、プリント配線板へ予備加熱として段階的に安定した大きな熱量を与えることが可能です。プリント配線板への局部的な過度の熱負荷を防止し、内層パターン断線を防ぎます。
はんだ付け機構部では、「静圧はんだ付け技術」の採用により、ほぼ完全にはんだ噴流を抑制することが可能となり、プリント配線板のパッド食われを防止します。
また、プレヒート機構部で十分な予備加熱が可能となったことに加え、はんだ付け機構部で浸漬深さ制御を採用したことにより、スルーホールへの安定したはんだ注入が可能となり、安定したはんだ充填を実現しました。(6mm厚プリント配線板へのはんだ付けで、従来のフローはんだ付け装置では、スルーホールへはんだ充填率が50%程度であったのに対し、新装置では100%を実現しています。)

新型はんだ付け装置外観
用語解説
- 注1:プリント配線板
絶縁基材上に銅箔などの導電体で電気回路配線を形成したもの。半導体、抵抗、コンデンサーなどの電子部品を搭載し、はんだで接続することで回路として機能する。
- 注2:表面実装部品
プリント配線板の表面にはんだ付けのみによって取り付けることができるように製造された電子部品のことである。端子部分に少量のはんだ材料が接着されていたり、部品の端子からリードピンが引き出された加工が施されていることで、表面実装ができるようになっている。
- 注3:挿入部品
プリント配線板のスルーホールに、挿入、はんだ付けすることができるように製造された電子部品のこと。
- 注4:リフローはんだ付け
プリント配線板上の電子部品を接続する個所にあらかじめはんだペースト(はんだの粉末にフラックスを加えて、粘性をもたせたもの)を印刷し、その上に電子部品を載せてから熱を加えてはんだを溶かす方法。
- 注5:スルーホール
プリント配線板の上下を貫通する孔の内壁を銅などの金属メッキにより内層もしくは外層パターンとの間、あるいは、両者間の電気的接続を行うための孔で、挿入部品のはんだ付け実装としても利用される。
- 注6:フローはんだ付け装置
噴流方式により溶融はんだ液面に波を立てはんだ付けをする装置。
- 注7:パッド食われ
はんだの中へプリント配線板の銅成分であるパッド・パターンが拡散、溶解し、浸食される現象。
- 注8:浸漬深さ
電子部品もしくは組立てられたプリント配線板をはんだバスに浸漬する深さのこと。
- 注9:タクト搬送
等速で進むのではなく、分割されたゾーン毎に前進、停止を繰り返しながら搬送する方式。
- 注10:PID制御
PID制御とはP動作(比例動作)、I動作(積分動作)、D動作(微分動作)の3つを備えた調整器および調整機能。
- 沖電気工業株式会社は、グローバルに認知される成長企業を目指し、通称をOKIとします。
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