2009年4月13日
沖電気工業株式会社
株式会社KDDI研究所
独立行政法人情報通信研究機構
セッションボーダーコントローラーを用いた日中韓NGNテストベッドでの国際共同実証実験の開始
スケーラブルなコーデック変換および品質制御管理を実現
沖電気工業株式会社(以下「OKI」という。社長:篠塚 勝正)と 株式会社KDDI研究所(以下「KDDI研究所」という。所長:秋葉 重幸)は、日中韓情報通信大臣会合の枠組みの下、次世代ネットワーク(NGN(注1))の国際間コーデック変換及び品質制御管理について国際共同実証実験を開始しました。
今回の実証実験は、独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原 秀夫)からの委託研究「次世代ネットワーク(NGN)基盤技術の研究開発」の一環として行われるもので、これまでの委託研究成果を活用します。具体的には、新たに開発したスケーラブルなコーデック(注2)変換機能や国際標準化に成功したMPM機能(注3)をセッションボーダーコントローラー(以下「SBC(注4)」という。)に実装し、これを日中韓次世代ネットワークテストベッド(以下「CJK-NGNテストベッド」という。)に設置して行うものです。この実証実験の進展により、NGNの国際標準化のリーダーシップの発揮とNGN本格運用に向けた成果の活用が期待できます。
平成21年4月8日(水)から10日(金)まで、中国で開催されたCJK標準化会議(注5)においても同実験の重要性が確認されました。
背景
次世代ネットワーク(NGN)に関するアジア地域の国際標準化活動を強化する観点から、総務省は平成20年3月より、日中韓でのNGN検証用ネットワーク(CJK-NGNテストベッド)による国際共同実験を推進しています。CJK-NGNテストベッドでは、NGN基盤技術の研究開発の一環として、KDDI研究所、日本電信電話株式会社(以下「NTT」という。)、OKIを中心に、日中韓の各実験網を国際IP回線で接続して技術検証機器を設置し、実証実験データの収集を進めています。
これまで、OKIは、移動体網の次世代の3種類の広帯域コーデック(注6)に対応する機能を業界で初めてSBCに搭載し、KDDI研究所は、NGNサービス提供に重要な端末エンドトゥエンドのサービス品質とそのサービスセッション制御管理に関わるMPM(Management of Performance Measurement for NGN)機能仕様を、中韓と協力してITU-T Y.2173として国際標準化しました。
今回の実証実験の内容
検証実験は、OKIの検証用ラボとCJK-NGNテストベッドとを接続してSBCを使って行います。サービス端末に応じた動的なコーデック変換を実現するとともに、独自の機能配置により、極めて短い変換処理遅延を実現するSBCを活用した、コーデック変換機能の性能検証を実施します。
また、MPM機能の一部をSBCへ実装することにより、端末エンドトゥエンドのサービス品質に基づく、メディアのセッション制御やサービスの受付制御に関わる検証を、KDDI研究所とともに実施します。
今後の展望
今後とも、OKIとKDDI研究所は、NTTや他の研究機関とともに、本研究を通じて、NGNの相互接続に必要なキャリアグレード機能の研究開発を推進し、国際標準化活動に積極的に取り組むとともに、NGNの本格的運用を展開していきます。
- ※本研究の成果を含むセッションボーダーコントローラーは、「CenterStage®(センターステージ)NX3200」という名称でOKIから製品化されています。
- ※NICT委託研究「次世代ネットワーク(NGN)基盤技術の研究開発」は、NTT、KDDI研究所、OKI、 日本電気株式会社、株式会社日立製作所、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社の6社により研究を実施しています。
SBCの概要
NGN網及び他事業者網との間に位置し、信号処理及びメディアの差分吸収をつかさどる。

S-CSCF(Serving Call Session Control Function):IP網において通信を実現するための呼制御機能を提供する。
IBCF(Interconnect Border Control Function):シグナリングに関わる網間接続機能をつかさどる。
TrGW(Translation Gateway):トランスポートに関わる網間接続機能をつかさどる。
コーデック変換実現方式概要
SBC上でのコーデック変換機能の実現方式
インターフェース機能とコーデック変換機能の分離
→データ系ストリームとメディア系ストリームを分離
- (データ及びメディア)の転送処理に影響が及ばない
- トラヒック比重に応じた機能配備の柔軟性

用語解説
- 注1:NGN(Next Generation Network、次世代ネットワーク)
IP技術をベースにした通信事業者の次世代ネットワーク。ITU-T(国際電気通信連合・電気通信標準化セクタ)において技術仕様が国際標準化され、日本でもNGNの構築が進められています。従来の電話サービスに加え、インターネットでは提供が困難であった高品質かつ大規模な、映像配信サービスや携帯と固定端末が連携した各種マルチメディアサービス、企業向けの高信頼性通信サービスなどが提供できます。これにより、通信事業者はネットワーク構築・運用コストを削減できる上、トリプルプレー(音声、データ、映像の統合)やFMC(固定・無線通信融合)などの新サービスの提供が容易になることが期待されています。さらに、NGNではアプリケーション構築のAPI(Application Program Interface)を公開することにより、第三者がNGNの機能を利用した独自のサービスを提供することが容易になります。
- 注2:コーデック
音声や映像データを伝送するため、データを圧縮する符号化(エンコード)処理やその逆の復号化(デコード)処理を行う装置およびソフトウェア。スケーラブルなコーデックとは、帯域や規格の違う圧縮条件に対応していて柔軟性の高いコーデックのこと。
- 注3:国際標準化に成功したMPM機能
NGNにおいて高品質サービスを提供するための性能測定の管理に関する要求条件及び管理アーキテクチャをMPM(Management of Performance Measurement for NGN)と言い、MPM機能仕様の標準は、平成20年に、日中韓(KDDI、Huawei、ETRI)により、ITU-T Y.2173として国際標準化されました。
- 注4:セッションボーダーコントローラー(SBC:Session Border Controller)
後述するNGNを相互に接続する装置。多くのNGNサービスの制御に適用されるSIP(Session Initiation Protocol)実装の差分吸収や、音声や映像メディアのコンバージョンなどを行うことで、異なる事業者が提供する端末間の通信を可能とします。一例として、NGN事業者を問わず、携帯端末とPC端末間でのシームレスなTV電話サービスを実現します。
- 注5:CJK標準化会議
日本、中国、韓国、それぞれの民間標準化機関である、社団法人情報通信技術委員会(TTC)、社団法人電波産業界(ARIB)、中国通信標準化協会(CCA)、韓国情報通信技術協会(TTA)の4者による国際会合。CJK-NGNテストベッドによる国際共同実験プログラム全体を企画、運営する。
- 注6:3種類の広帯域コーデック
(即ち、3種類の標準規格に対応したコーデック)
- ITU-T G.711.1
- ITU-Tにおける音声コーデック標準。臨場感のある広い帯域の音声を再生することができ、固定電話サービスにおいて、従来の非IP電話およびIP電話を問わず、広く使用されている音声コーデック標準のITU-T G.711と互換性があります。2008年に、NTTが中心となり、ETRI(韓国)、France Telecom(フランス)、Huawei(中国)、VoiceAGE(カナダ)の5社により、国際標準化されました。
- AMR-WB(Adaptive Multi Rate Wideband)
- 移動網の標準化団体である3GPP(Third Generation Partnership Project)において標準化された音声コーデック標準。広帯域サービスへの利用が期待されています。
- EVRC(Enhanced Variable Rate Codec)Rev.B
- 移動網の標準化団体である3GPP2(Third Generation Partnership Project2)において標準化された音声コーデック標準。広帯域ネットワークへの利用が期待されています。
- 広報 問い合わせ先
- OKI 広報部
電話:03-5403-1247 - 株式会社KDDI研究所 営業企画グループ
電話:049-278-7450 - 独立行政法人情報通信研究機構 総合企画部 広報室
電話:042-327-6923 - 本件に関する問い合わせ先
- OKI キャリア事業本部
お問い合わせフォーム - 株式会社KDDI研究所 営業企画グループ
電話:049-278-7450
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