2009年3月24日
世界初、毎秒160ギガビットの超高速光マルチメディア配信システムの開発に成功
映画配信や遠隔治療など、超高精細・高品質な映像サービスの実現へ
OKIは、当社独自の光ハイブリッド多重技術(注1)を用いて、世界初となる毎秒160ギガビット(非圧縮の超高精細動画(注2)6ch分、高精細動画(注3)であれば33ch分に相当)の超高速光マルチメディア配信システムの開発に成功しました。これにより、1本の光ファイバにて下りの信号を毎秒160ギガビットで伝送できるため、映画配信や遠隔医療など、1ギガビット以上の通信容量を必要とする超高精細・高品質な映像配信のサービスが実現できるようになります。
なおOKIは、今回の開発に係る研究を、独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)の民間基盤技術研究促進制度からの委託研究「超高速光マルチメディア配信システムの研究開発」の一環として行っています。
現在、通信キャリアで運用している光アクセスシステムは、日本国内ではGE-PONシステム(毎秒1.25ギガビットの容量)、米国、欧州など海外ではG-PONシステム(毎秒2.5ギガビットの容量)が主流であり、これらは主にデータおよびTV映像の伝送サービスに用いられています。これらの光アクセスシステムにおいて、16ユーザが接続された場合、1ユーザあたりに割り当てられる通信容量は78メガビット~156メガビットとなります。
今回OKIの開発した超高速光マルチメディア配信システムは、従来の光アクセスシステムより通信容量を大幅に拡大したものです。GE-PONシステムの128倍、G-PONシステムの64倍の通信容量を実現し、1ユーザあたり毎秒10ギガビット(16ユーザの場合)の割り当てとなるため、超高精細・高品質な映像配信サービスの提供が可能となります。映画産業や医療関係など、高品質映像コンテンツの活用が求められる業界への貢献や、地域の通信環境の活性化に繋がることが期待できます。

図1:超高速光マルチメディア配信システムを利用した配信サービスのイメージ

OLT
本システムにおける主要装置となるOLT(注4)では、10Gbps(毎秒10ギガビット)の信号を16チップの符号でそれぞれ符号化した後、25psの時間スロットに光学的に多重し、さらに波長で4倍にすることで、10Gbps×16chの多重信号を出力します。この160Gbpsの信号を、20km(光アクセスシステムでの最長距離区間)伝送し、1×16のスプリッタ(注5)で分配した後、符号選択による復号を行うONU(注6)により信号を抽出し、10Gbpsの信号を復元することに成功しました。

ONU
なお、今回の実験では1スロットに1符号しか多重していませんが、1スロットに4符号まで多重することができるため、さらに4倍の容量(10Gbps×64ch=640Gbps)を伝送することも可能になります。また逆に、波長資源を有効に活用する場合は、4符号×4スロット×1波長の160Gbpsの構成も可能となります(図2参照)。
OKIは、今後、装置の小型化・安定化・品質の改善に取り組みつつ、100Gbpsを超える光アクセスシステムの国内外の市場ニーズを見据えて、製品開発に取り組んでいきます。
本研究成果は、3月26日、OFC/NFOEC2009(the Optical Fiber Communication Conference & Exposition and the National Fiber Optic Engineers Conference、3月22日~26日、米国カリフォルニア州サンディエゴ市にて開催)にて発表いたします。
用語解説
- 注1:光ハイブリッド多重技術
光符号分割多重方式(OCDM)と光時分割多重方式(OTDM)を融合し、この2つのハイブリッドで多重することで(図2・右上 参照)、それぞれの利点を生かし、欠点を補う、OKIが独自に開発した新たな多重方式です。光符号分割多重方式は、光の領域でチャネルを識別することができる多重方式ですが、符号間干渉や光ビートノイズにより、多重効率が良くありません。一方、光時分割多重方式は、光領域で超高速な信号を時間スロットで多重することができますが、スロットの識別ができません。光ハイブリッド多重技術では、これら2つの方式を組み合わせ、光時分割多重方式により時間スロットを使うことで、光ノイズを低減し多重数を増やし、光符号分割多重方式によりスロットの識別を行います。

図2:超高速光マルチメディア配信システムの構成- 光符号分割多重方式(OCDM: Optical Code Division Multiplexing)
無線通信などで利用されている符号分割多重方式(CDM)を光領域で行うものであり、符号パターンにより、チャネルを識別する多重方式です。光符号のパターンは、光波長を用いた波長ホップ方式や光位相を用いる光位相バイポーラ方式などがあります。
- 光時分割多重方式(OTDM: Optical Time Division Multiplexing)
一般的に電気通信で用いられている時分割多重方式(TDM)を光領域で行うものです。通常のNRZ信号を短パルスのRZ信号に変換し、光領域で基準に対して一定の時間(スロット時間)遅延を加えることでスロットに多重する方式です。例えば、多重後の速度が160Gbpsの場合、約6psの短パルスとなります。
- 光符号分割多重方式(OCDM: Optical Code Division Multiplexing)
- 注2:超高精細動画
NHK放送技術研究所が開発を行っている超高精細映像システム「スーパーハイビジョン」に相当。非圧縮で24Gbpsの伝送容量が必要となります。
- 注3:高精細動画
NHKが商標権を有する高精細度TV放送「ハイビジョン」に相当。非圧縮で4.8Gbpsの伝送容量が必要となります。
- 注4:OLT (Optical Line Terminal)
光アクセスシステムにおいて局側に置かれる装置。バックボーンネットワークからの信号を接続されるONUへ送るものです。
- 注5:スプリッタ
OLTからの光信号を接続されるONUへ分配する装置。光信号をパッシブに分配するため、給電が不要であり、電柱などに配置されます。
- 注6:ONU (Optical Network Unit)
光アクセスシステムにおいてユーザ側に置かれる装置。ユーザ宅のパソコンなどを接続し、ネットワークに接続するものです。
- 沖電気工業株式会社は、グローバルに認知される成長企業を目指し、通称をOKIとします。
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