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太陽光発電の遠隔監視サービス:売電損失を軽減する方法とは

2012年に固定価格買取制度が開始されて5年目を迎え、既に設置された太陽光発電プラントでの課題が浮き彫りになってきています。太陽光発電を効率化する際に、コスト・工事工程を軽減した上で導入できる遠隔監視サービスについてご紹介します。

FIT法施行5年目を迎え、IoTを活用した遠隔監視のニーズが拡大する

太陽光発電の導入は今後も拡大していく

2012年の「固定価格買取制度(通称:FIT法)」により、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電力の全量買い取りが電力会社に義務化されて以降、非住宅分野を中心に太陽光発電の導入が急速に拡大しています。経済産業省エネルギー庁が発表している「2016年度エネルギー白書」によると、太陽光発電の累積発電量は、2012年には911万kWであったものが、2014年度末には2,688万kWと大きく拡大しています。

しかし、買い取り価格が引き下げられたことなどから、太陽電池の出荷量は2014年をピークに減少傾向にありますが、2017年に施行が予定されている改正FIT法により、FIT認定を受けた後に未稼働となっている太陽光発電設備の導入・稼動が進むものと予測されています。


太陽光発電の国内導入量とシステム価格の推移

固定価格買い取り制度(FIT)5年目で浮き彫りになる課題とは?

太陽光発電イメージ

「固定価格買い取り制度(FIT)」が開始されて4年が経過し、設置された太陽光発電プラントではさまざまな課題が顕在化しています。特に太陽光発電プラントの発電量の低下は、売電による利益の損出に直結する大きな課題です。

太陽光発電の利益を最大化する上での課題は以下のようなものがあります。

  • 屋外環境に長時間、置かれる太陽電池モジュールの故障
  • 太陽電池モジュールにつながる電力ケーブルの損傷

また、機械の故障以外にもさまざまな課題で発電量が低下することがあります。

  • 周辺環境の変化により建物などの影が影響
  • 鳥のふんなどで発電パネルの表面が汚れる

課題解決にはストリング単位での監視が重要

出力1MWクラスのメガソーラーでは、3,000~5,000枚程度の太陽電池モジュールが設置されています。このように大量に設置された太陽電池モジュールのうちの一部の太陽電池モジュールが故障した場合、パワーコンディショナー(PCS)でメガソーラー全体の出力を監視するだけでは、故障箇所を特定することは非常に困難です。

大規模な太陽光発電プラントでは、出力の電圧を高くするため15枚程度の太陽電池モジュールを直列に接続して接続箱に収容します。これをストリングと呼んでいます。このストリング単位で出力を監視することで、故障した太陽電池モジュールの特定が容易になり、すぐに故障したモジュールを交換したり、出力が低下した太陽電池モジュールの清掃を行うなどの対処を行うことで発電量の低下を防ぐことができます。

設置済みのプラントへ後付けで遠隔監視システムを導入する

配線の敷設イメージ

このように太陽光発電プラントを健全に運用するためには、ストリングの監視が必要となります。このとき、大規模な太陽光発電プラントでは、数百のストリングにストリング監視装置を設置して監視する必要があり、監視システムを導入・運用する上ではコストが問題になります。具体的には次のような課題がでてきます。

  • 太陽光発電の敷地内に多数設置されるストリング監視装置をつなぐため、有線の配線が必要であり、配線の敷設に工事費用がかかる。
  • 有線配線はRS-485を使用するのが一般的だが、誘導雷による被害を防ぐためサージ対策の機器が必要になる。また、パワーコンディショナー(PCS)から発生するノイズの影響により通信ができない場合があるため、ノイズ対策も必要となり通信機器のコストがかさんでしまう。
  • 誘導雷やノイズの対策のため、光ファイバーを使用した通信を利用することもあるが、メディアコンバーターなどの機器が必要であり通信機器のコストが割高となる。

これらの課題を解決するため、920MHz帯無線を活用して多数のストリング監視装置を接続、監視することが可能です。電波を透過しにくい太陽電池モジュールが多数設置された環境でも、電波が回り込んで届きやすい920MHz帯無線を使用することで、通信障害のあるエリアでも途切れることなく通信ができます。920MHz帯無線が内蔵されたストリング計測機器も販売されており、導入時のコストを最小化することができます。

また、太陽光発電では、発電量や発電性能(PR値:Performance Ratio値)の評価・解析のため、全天日射計や気温計が設置されますが、これらのセンサーを同じ920MHz無線ネットワークを使用して接続することも可能です。

このように、無線を活用することにより、特に後付けで監視システムを導入する場合においても、工事費の軽減、工事工程の短縮化も可能となります。

クラウドサービスを活用して運用コスト、売電損出を軽減する

大規模な太陽光発電は、遠隔地に設置される場合がほとんどのため、クラウドを利用したリモート監視サービスを利用するのが一般的です。これらのサービスでは、以下のような機能・サービスが提供されています。

  • パワーコンディショナーや様々な保護装置などの設備に異常がないかをリアルタイムで監視し、異常発生時にEメールなどでアラートを管理者へ通知
  • ストリング単位の発電量を監視し、異常がある箇所の特定
  • 点在する複数の太陽光発電プラントを一元的に監視
  • 各太陽光発電プラントの発電データを長期保存し、日別・時間帯別、プラント別などで集計・分析

上記以外には、サイネージ機能を備えたサービスや、クラウドに蓄積される膨大な気象データや発電量データを元に、発電量を予測するサービスも提供されています。さらに、クラウドサービスに加え、現地への定期点検やアラートや異常発生時の駆け付けなどの保守サービス(O&Mサービス)を組み合わせたサービスも提供されています。

さまざまな会社で提供されているサービスから、自社の必要とする監視項目・条件や保守対応、予算に応じて最適なサービスを選定する必要があります。

太陽光発電ではIoTを活用したストリング遠隔監視が普及する

メガソーラークラスの発電プラントでは、パワーコンディショナー(PCS)の遠隔監視は8割程度のプラントで導入されていますが、ストリング単位の監視は1割ほどのプラントでしか導入されていません。

設置した太陽光発電プラントの稼動期間が長くなるにつれ、太陽電池モジュールの故障などによる発電量低下の問題が顕在化してゆきます。既に設置された太陽光発電プラントにおいても、後付けでの太陽光発電遠隔監視のニーズが増えることが予測されます。

導入コストを抑え、ストリング単位の遠隔監視を行うためには920MHz帯無線が最適です。920MHz帯無線内蔵のストリング計測器や920MHz帯無線機は以下の商品が活用できます。

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  • 本記事は2016年9月に掲載しました。記事中に記載する数値、固有名詞、市場動向等は掲載日現在のものです。

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