2008年10月30日
ユビキタスサービス実現現場としてのITS

- 中ノ森 賢朗(Yasurou Nakanomori)
情報通信グループ
情報システム事業グループ
ITSソリューションカンパニー
プレジデント
ITSソリューションカンパニーの中ノ森です。
いまや、人間社会において欠くことのできない移動手段、運搬手段である自動車。いまさら言うまでもありませんが、「ポイント ツー ポイント」での人の移動や貨物の運搬をスピード化し、個人の行動範囲の拡大や経済発展に大きく寄与してきました。1885年の誕生以来、自動車は大量生産技術の確立による大幅なコストダウンとともに、性能の向上、快適性の向上、安全性の向上などが加えられながら、今日でも成長を続けています。最近では、周辺の自動車や歩行者と直接通信することにより「事故を起こせない車」や、地球環境負荷ゼロを目指す燃料電池車など、将来にむけた研究開発活動が精力的に行われています。

<上>移動体通信網使用のコミュニケーション手段(従来)
<下>DSRC使用のコミュニケーション手段(今後)
車々間通信イメージ(車同士で、または携帯電話などと、
直接、基地局を介さずに通信が可能)
ITSソリューションカンパニーでは、自動車利用の将来発展に深くかかわる"ITS"を扱っています。ITSとは、「人と自動車、道路を情報通信で結ぶことによって実現される新たなシステムやサービス」の総称ですが、そのポイントは、「人と自動車、道路を"情報通信"で結ぶ」ということにあります。
しかし、情報通信を使った自動車へのサービスが、コスト面でも運用面でも可能となったのは、携帯電話が普及しVICS(注1)サービス等がスタートした「ほんの10数年前」のことです。ITSは「まだまだ始まったばかりのステージ」と言うことができますが、今後、WiMAX(注2)や車々間通信(注3)など、新しい手段を使ったさまざまなサービスが実用化されていくでしょう。
今後のITSの成長の方向性については、様々な視点が挙げられています。
たとえば、
- 車をもっと安全な乗り物にする
- 環境負荷を低減する交通流を実現する
- 移動シーンにおける必要な情報のタイムリーな提供を実現する
- 蓄積された情報を分析することにより個別化されたサービス提供を実現する
・・・等々です。これらはいずれも将来必ず実現されるべき重要なテーマでしょう。
なかでも、私は最後に挙げました「個別化されたサービスの提供」は、実現された際のサービスの広がりや社会全体に与えるインパクトが大きく、将来にわたって注力すべきテーマだと考えています。
なぜか。
社会は、情報と移動(物流)を血流として成り立っていると言っても過言ではないと思います。そのうち、前者の「情報」の世界においては、「個別化されたサービスの提供」が徐々に実現されつつあるといえます。その一方で、後者の「移動(物流)」の世界においては、そういった個別化されたサービス提供はほとんど実現されていないのが実情です。しかしその必要性や有効性を考慮すると、それは大きな可能性を秘めているように思うからです。
「移動(物流)の世界における個別化されたサービス」とはどういうことか。
具体例をあげますと、自動車を使って通勤されている方が、事故や渋滞、悪天候などで通常のルートが使えなくなったとします。その場合、過去のデータを基に復旧の見込みとともに想定される代替ルートと、代替ルート毎のオフィスまでの所要時間を提示してくれる、さらに場合によっては他の交通機関に乗り換えることをアドバイスもしてくれる、そういったサービスを受けることが可能になります。

一方で、日本における新車の販売台数は、少子高齢社会の到来と若者の車離れが進むことで、頭打ちから右肩下がりが必至と予測されています。そのような中、「自動車を使った新たなサービスの具体化が急務」とも言われています。私が思い描くのは、自動車という移動手段がネットワーク社会の一員として位置づけられ、利用されるようになった社会です。すなわち、「移動シーン」を舞台とした様々なユビキタスサービスが花開く社会であり、その時代には自動車関連分野に新たな価値がもたらされているものと考えます。
OKIは、情報通信技術を駆使し、様々なシーンで様々なユビキタスサービスを実現していきたいと考えています。
用語解説
- 注1:VICS(Vehicle Information and Communication System)
渋滞や交通規制などの道路交通情報を、カーナビゲーションなどに文字・図形で表示する情報通信システム。
- 注2:WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)
高速無線ネットワークに関する規格。
- 注3:車々間通信システム
基地局など中継機を介さず、車同士が直接通信することができるシステム。主に安全運転支援を目的に、現在実証実験が行われている。
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