導入事例

OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。

企業情報

ヤマハ発動機株式会社ロゴ

会社名
ヤマハ発動機株式会社 様
本社所在地
静岡県磐田市新貝2500
創立
1955年7月1日
従業員数
10,193人(2022年12月末現在)
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次世代操船システム「HARMO」の生産を支える「プロジェクションアッセンブリーシステム™」
設備投資を抑えつつヒューマンエラー防止、トレーサビリティ管理にも効果を発揮


ヤマハ発動機 袋井南工場

コロナ禍における「ステイケーション」需要により、船外機やボートの販売が伸びているなか、ヤマハ発動機株式会社は次世代操船システム「HARMO(ハルモ)」の販売を開始。電動推進ユニットとステアリングシステムなどを統合した本システムでは、電動モーターを動力とする「推進器」が採用されています。1台が約200部品で構成され、手順が計1,000以上にも及ぶ組み立てを作業員一人が行わなければならない推進器の製造は、従来の同社製品とは全く違う生産形態。さらに設備投資の抑制も必要だったことから、組立作業の習熟/品質の担保も課題でした。同社はマリン事業の生産拠点である袋井南工場(静岡県袋井市)に「プロジェクションアッセンブリーシステム」を導入し、2021年9月より本格運用を開始しました。

概要

課題
  • 電動モーターを動力とする推進器は従来の生産形態とは異なるため、これまでの知識や現場の経験をそのまま適用できない
  • 設備投資を抑制しつつ、組立作業員の習熟と品質の担保に課題
成果
  • 推進器1台で約200部品、計1,000以上にも及ぶ手順でも、作業員が一人で組み立てを完遂できる
  • ヒューマンエラーの防止に加え、動画・ログの保管によるトレーサビリティ管理や、不具合原因の切り分け・早期対処にも活用

導入ソリューション

OKIの「プロジェクションアッセンブリーシステム」は、プロジェクションマッピング技術と画像センシング技術を活用し、生産現場における作業ミスのゼロ化と作業結果のデジタルデータ化によるトレーサビリティの確保、ボトルネック工程の可視化を支援する、組立ライン連携IoTソリューションです。スマート工場の実現を支援する「Manufacturing DX」の一環として、OKI自身のモノづくり現場におけるIoT活用実績やノウハウを活かし開発されました。

詳細

課題・背景

好調なマリン事業を追い風に、環境に配慮した「HARMO」を販売開始


ヤマハ発動機株式会社
製造統括部
マリンエンジン製造部
製造技術課
浦川 和也 氏
(2023年1月にヤマハ熊本プロダクツ株式会社へ異動)

創業から50年以上にわたり、モノづくりやサービスを通じて多様な価値の創造を追求してきたヤマハ発動機は、つねに「次の感動」を期待される"感動創造企業"を目指しています。

主軸の一つである「マリン事業」について、ヤマハ発動機でマリンエンジン製造に携わる浦川和也氏は、「コロナ禍において近場でレジャーを楽しむステイケーション需要が継続しています。ボートで近場の海に出て、家族や仲間と楽しめることが支持され、おかげさまで船外機やボートの販売が伸びています。そのようななか電動モーターを動力とする「推進器」の採用により、環境に配慮した次世代操船システム『HARMO』の販売を開始しました。電動ならではの静粛性により乗船者がさらに快適に過ごすことができ、またジョイスティックによるシンプルな操作で簡単にボートを操船することが可能です」と語ります。

計1,000以上の作業手順に対する、作業習熟・品質担保・投資抑制が課題に


電動モーターを動力とする推進器

浦川氏は推進器の生産について次のように話します。「従来の操船システムでは、ガソリンで動かす船外機を使用しており、生産ラインで量産しています。一方で、『HARMO』のような電動モーターを動力とする推進器は、まだ新しい市場であり、当社内でも特殊な生産形態です。私は新商品を中心に、工場での生産準備を担当していますが、『HARMO』ではこれまでの知識や現場の経験をそのまま適用できませんでした。また、推進器は1台あたり約200もの部品で構成され、合計で1,000手順以上に及ぶ組立作業を一人で実施するため、作業員の習熟が困難であり、どのように品質を担保するかが課題でした。加えて『HARMO』は、設備投資も抑制する必要がありました」。


デモ動画

「プロジェクションアッセンブリーシステム」を使った「HARMO」推進器の組み立て(静岡県・袋井南工場内)[57秒]

導入のポイント

トータルでの投資を抑制、QRコード活用や部品を取り出す棚にも工夫を凝らす

浦川氏は推進器の組立ラインに「プロジェクションアッセンブリーシステム」を採用した理由を、次のように話します。「他メーカーの同種商品とも比較検討しました。OKIのシステムは組立作業員の動きをカメラで認識するため、他社のセンサータイプよりもシンプルな構成で、映像をそのままログとして残すこともできます。部品を取り出すピッキング棚の間口設定についても、『HARMO』に応じたカスタマイズが可能であり、汎用性が高いと感じました。ピッキング位置と指示書も同じシステム内で連携ができ、トータルとしての投資を抑制できる点も魅力でした」。

こうして同社は2021年9月、袋井南工場に「プロジェクションアッセンブリーシステム」を用いた推進器の組立ラインを導入。作業台に表示される指示書と、取り出す部品の位置・数量を示す指示(マッピング)に従うことで、作業員が一人で組み立てを完遂できる体制が整いました。

浦川氏は工夫した点として「無線ドライバーや無線トルクレンチなど工具の種類も多いため、部品だけでなく工具もピッキング棚に置き、使用工程をシステムで指示しています。部品や工具を間口にセットする際には、添付されているQRコードを読み取ることで正しい間口をシステムで指示してトレーサビリティを担保しています。またピッキング棚を背後から入れ替えられるようにし、多くの部品と作業工程に対応するとともに、棚にもQRコードを貼ることによってその棚の工程を間違いなく呼び出せるようにしました」と語ります。

成果・今後

ヒューマンエラーの防止、トレーサビリティ管理にも効果を発揮


「HARMO」搭載艇のイメージ

こうして完成した「プロジェクションアッセンブリーシステム」による推進器の組立ラインについて浦川氏は「作業員の教育にあまり時間をかけずに、生産が可能になりました。モデルにより使用部品と指示書に多少の差がありますが、各モデルに沿ったプログラムを用意し、作業員は指示に沿うことで安心して組立を行えるようになり、精神的な負担も軽減されました。部品の付け間違いや作業飛ばしのようなヒューマンエラーも防止できます。さらに動画・ログを保管することで、いつ・誰によって作られたのかのトレーサビリティ管理に加え、開発期間中、不具合が起きた際に原因の切り分けと早期対処にも活かせました」と手応えを感じています。

最後に浦川氏は、今後の展開とOKIへの期待について、次のように締めくくりました。「今回、計1,000以上もの作業手順をプログラム化する必要がありましたが、『プロジェクションアッセンブリーシステム』の仕組みの簡易さで、作業を軽減できたと感じています。当社からの新たな要望に対しても、今後のバージョンアップのなかで積極的に検討いただいています。昨今のアウトドアレジャーの人気を追い風に、生産能力を引き上げる製造ラインを新たに導入する計画もあり、そのなかで『プロジェクションアッセンブリーシステム』と今回の経験も活かしていきたいと考えています。今後もOKIの協力に期待しています」。

お問い合わせ先

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  • プロジェクションアッセンブリーシステムは、沖電気工業株式会社の商標です。
  • その他、記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。
  • 各導入事例の記載内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

2023年5月掲載

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