導入事例

OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。

企業情報

公益財団法人 日本道路交通情報センター 様

所在地
東京都千代田区飯田橋一丁目5番10号(教販九段ビル7階・8階)
代表者
池田 克彦 理事長
創立
1970年1月1日
従業員数
約480名
事業内容
道路、道路交通に関する情報収集および提供(ラジオ・テレビ放送、電話応答サービス、インターネットインターネットサービス「道路交通情報Now!」)、その処理方法などの調査・研究、広報および啓発など
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道路交通情報収集・提供業務の基幹システムを刷新
OKIを新たなパートナーに高性能・高可用かつ柔軟なインフラを確立

公益財団法人 日本道路交通情報センターロゴ

全国各地に放送や電話、インターネットで「道路交通情報」を提供している公益財団法人 日本道路交通情報センター様(以下、日本道路交通情報センター様)は、情報収集・提供の一連の業務を支える「道路交通情報システム」を30年ほど前から運用しています。その3度目の定期更新で、機能の可視化も含めシステム全体の最適化を検討。道路交通関連システムで豊富な実績を持つOKIへと依頼先を変更し、従来からの性能や信頼性、機能などの要件を継承しつつ、新たな技術や手法で柔軟性・拡張性にも富んだ「第4次道路交通情報システム」を構築しました。

詳細

日本道路交通情報センター様は、交通管理者(都道府県の警察本部)や道路管理者(国土交通省や道府県土木部、高速道路会社など)から発信される渋滞、事故、工事や災害による規制などの情報を一元的に収集し、全国各地の「道路交通情報」を編集・作成してラジオ・テレビ放送、電話、インターネットを通じて提供しています。情報は個人向けだけでなく法人も対象となっており、カーナビのVICS情報をはじめさまざまな情報提供サービスで活用されています。

通信施設部長の川上 恒喜氏は「安全で円滑な道路交通の確保に寄与することが私どもの使命です。そのために、刻々と変化する情報の収集から提供までの作業を迅速かつ正確に遂行しなければなりません」と語ります。

そこで同社では、全国の78にのぼる交通管理者・道路管理者から、5分もしくは1分の周期で送信される道路の混雑状況などをオンラインで取得するとともに、都道府県警内などに配置した「センター」53カ所および道府県土木部局などに設けた「駐在」80カ所の計133拠点で渋滞原因や規制に関する情報の収集・入力を逐次行い、それらを統合・整理して最新の道路交通情報を生成しています。そして、同社のWebサイトで提供されている「道路交通情報Now!!」では全国各地の最新情報を5分間隔で更新。また、ラジオ・テレビ放送に関わる拠点では、担当者が地域ごとのニーズや気象状況、放送時間などの条件を考慮し、優先度の高い情報を選定し提供。電話対応業務を担う拠点では、オペレーターの直接応答を主として、多種多様な問い合わせに臨機応変に対応しています。

こうした多岐にわたる業務の効率化に大きく貢献しているのが、1987年ごろから整備を開始し、機能追加や改善を重ねてきた「道路交通情報システム」です。

背景・導入目的

内部構造の複雑化・ブラックボックス化で改修コストやリスクの増大が問題に

「道路交通情報システム」は、(1)交通管理者・道路管理者および各拠点から1日に500万件を超えるデータを逐次受信(2)地点名称やランドマークを収容した約80万件におよぶマスタデータと突合して放送や電話応対時に不可欠な場所を示す文言(たとえば「○○市役所前」「○○橋付近」など)を付加(3)地域ごとの各種データを組み合わせて「最新の道路交通情報」を編集・作成(4)各所の情報提供先へ条件に応じたデータを5分周期で配信(5)各拠点の端末からの要求に応じた情報(デジタル地図、簡易図、一覧表など)を表示、などの自動化を実現しています。また、拠点側の端末には、地域ごとの情報を効率的に提供できるよう、路線による情報絞り込み機能、優先度の高い情報把握に役立つデジタル地図・一覧表の検索機能などが具備されています。


通信施設部長
川上 恒喜 氏

川上氏は「国内の道路交通情報を一元的に扱うこのシステムは、社会基盤の1つに位置付けられているため、性能や可用性に関して非常に高いハードルを設けています」と説明します。たとえば、最短で1分ごとに送られてくるオンラインの情報を遅延なく確実に提供できるよう、情報受信から編集完了まで20秒以内で正確に処理することを必須項目としています。24時間365日の稼働保証、システム監視や異常時のメッセージ通知機能なども最低限の条件に掲げています。

このような厳しい基本要件は、機器の保守期限切れに伴う定期更新の際にもそのまま保持され、初期システムから第2次、第3次のシステムへと引き継がれてきました。ただ、「その間は、可用性と処理の正確性に重点を置き、いわゆる“枯れた技術”をベースにして目的を果たしてきました。その結果、内部構造が複雑化し、次第にドキュメントの不整合が拡大したことなどにより一部の機能のブラックボックス化が進んでしまい、改修コストやリスクの増大など運用管理面でのさまざまな問題が顕在化するようになりました」と、通信施設部 調査役の松岡毅氏は打ち明けます。

加えて、カーナビやスマートフォンの位置情報をもとにしたプローブ情報(走行中の車両から直接収集する)の利用拡大など、道路交通情報分野の新たな潮流にどう対応するかも、無視できないテーマになりつつありました。

システムの全体最適化・可視化を目指し業界に精通するOKIの提案を採用

第4次システムへの更新を検討し始めたのは2014年。このとき、基本要件および長年培ったノウハウの結集ともいえる各種機能は踏襲しつつも、「現状の課題解決と将来を見据えた展開に取り組んでいくには、すべての機能を総点検し、新しい情報処理技術やアイデアを取り込んだシステム刷新によって全体最適化を図り、ドキュメントを整備することでシステムの可視化とノウハウの共有化を実現しなければならないと考えました」(松岡氏)。

システム刷新に取り組むパートナーについても、旧知の関係にとらわれることなく、複数ベンダーに打診し提案を求めました。そして、最終的に既存ベンダーを含む3社の提案内容を吟味し、新システムの構築をOKIに依頼することを決めました。

松岡氏は「私どもの掲げた要件を満たしたうえで、オープンソースソフトウェアによる開発、Webシステムや仮想化技術の採用など、従来と異なる技術・手法を用いたシステム構築提案に魅力を感じました」と話します。長年付き合ってきたベンダーを変更することへの不安はもちろんありました。しかし川上氏は、「OKIがETCやVICS、ITSなど道路交通関連システムの開発・納入で多くの実績を積み上げ、業界に精通していることは分かっていましたから、その知識とノウハウで私どもの要求に必ず応えてくれるという結論にいたりました」と、当時を振り返ります。

システム概要・導入ポイント

徹底した機能検証作業が運用開始後の早期安定にも寄与

2015年1月から着手したシステム構築作業では、1000kSLOC(Source Lines Of Code:ソースコード行数)にものぼる大規模なシステム開発を約1年10カ月で完遂し運用にこぎつけるという目標が掲げられました。ところが、従来システムでは機能改修部分に限定してドキュメントを整備していたため、長年にわたり改修を重ねた結果、不整合な部分が増えていました。このようなドキュメントの不備もあり、手始めの要件定義・基本設計に予定以上の時間を費やすこととなってしまいました。


通信施設部 調査役
松岡 毅 氏

ただし、このことが結果的に、その後の進捗に大きなプラスとなりました。松岡氏は次のように語ります。「ブラックボックス化した機能はいわば暗黙知で、まずはこれを形式知化しなければなりませんでした。OKIはこの作業に真摯に取り組み、しっかりと要件定義をまとめてくれました。また、各機能の検証においても、従来システムの膨大な量のアウトプットデータとの比較を徹底的に行ってくれました。こうした手間のかかる作業を経て、私どももしっかり把握できていなかった部分が明確になったおかげで、以降の工程が効率的に進められました」。

OKIとの間で課題や質問を一覧表にまとめ、定期的に開催した進捗会議などで情報共有し意識合わせを行ったことも奏功しました。「OKIはネガティブな事象も包み隠さず報告してくれたので、要所要所で状況を正確に把握し、適切な判断を下すことができましたし、互いの信頼関係も醸成できました」と、松岡氏は振り返ります。

こうして、第4次道路交通情報システムは当初のスケジュール通り、2016年10月から本格運用を開始しました。そして、開発の初期段階でしっかりとした検証を行ったことにより、運用開始後も大きなトラブルはほとんど発生していません。「第2次から第3次へのシステム移行の際にはブラックボックスを残したまま機能追加などを行ったこともあって、運用が安定するまでにかなり時間がかかりました。そうしたことからも、第4次システム構築におけるOKIの取り組みは高く評価できます」と、川上氏は述べています。

システム俯瞰図

システム俯瞰図

導入効果・今後の展望

迅速な情報表示と操作性の改善を業務現場が高評価

第4次システムの特長として第一にあげられるのは、各拠点に配置した端末のターンアラウンドタイムおよびユーザーインターフェースの大幅な改善です。これは業務現場から強い要望があり、システム更新に際して優先度の高い要件に位置付けられていたものです。


地図表示画面の例

実は、第3次システムから本格的にデジタル地図を扱うようになったため、情報更新に時間がかかり、電話問い合わせへの対応時に必要情報の画面表示が遅くスムーズな対応ができないといった問題が発生していました。また、従来はデジタル地図と一覧表が別ウィンドウで表示される仕組みだったために、複数のウィンドウを立ち上げると関連が分かりにくくなってしまうことも課題でした。

第4次システムでは、情報を俯瞰したい場合によく用いる広域エリアの表示でもストレスを感じない程度までターンアラウンドタイムが短縮されています。デジタル地図と一覧表は一体の画面となって連携が強化され、情報表示の明瞭さが格段に向上しています。松岡氏は「特定情報をソートしてチェックできる一覧表と全体の状況を俯瞰できるデジタル地図が連携し、その情報をスピーディーに表示できる仕組みは、まさに現場が求めていたものなので非常に好評ですし、各拠点での提供情報の拡大や品質改善にも結びついています」と話します。

また、第3次システムではほとんど使われていなかった地図画面からの情報入力も、ユーザーインターフェースの改善によって利活用が進み、情報入力作業の効率化に結びついています。この機能は、情報量が急激に増える災害発生時の入力タイムラグ削減に特に効果を発揮しているそうです。松岡氏は、「道路交通情報は季節的な特性や道路ネットワークによる地域特性もあるので、少なくとも1年以上の実運用を経て、過去の履歴についても1年分のデータ蓄積を終えてから効果測定することになりますが」と前置きしつつ、「年末年始やゴールデンウィークなどの繁忙期、あるいはいくつかの災害対応においても問題なく運用できたことは大きな実績だと捉えています」と、第4次システムへの評価を口にします。

組織内でのノウハウ共有により外部環境の変化を捉えた新展開への対応も容易に

一方、川上氏は「現場業務の改善もさることながら、システム全体の見直しとドキュメント整備によってノウハウを組織で共有できたことが大きな成果です」と語ります。

さらに、プローブ情報に代表されるような外部環境の変化を捉えた新たな戦略を展開していくための基盤を確立できた意義の大きさにも触れ、「道路交通情報はさまざまな機関との連携によって成立しているものですから、時代の変化やユーザーニーズの変化に応じて私どもに集められる情報の中身もより高度化、多様化するかもしれません。そうした変化にも柔軟に対応する公共的なインフラとして、道路交通情報システムも今後さらなる進化を遂げていくことになるでしょう」と見通しています。

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2017年10月18日

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