OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
栃木本社
会計事務所と地方公共団体を対象とした情報サービス事業を展開している株式会社TKC様(以下、TKC様)は、栃木本社の音声系インフラ――オフィス向けPBX、ヘルプデスク用コールセンターシステムの更新を検討する最中に、東日本大震災と震災後に実施された計画停電に巻き込まれました。これを契機に、ファシリティの見直しも含めたBCP対策の強化を重視。大型自家発電設備の構築とともに、ネットワーク障害やシステムダウンへの万全の備えを施したIPテレフォニーサーバー「SS9100」、コールセンターシステム「CTstage® 5i」の連携システムを導入しました。その運用においては、フルIP化による業務効率化や管理負荷軽減などのメリットを享受しています。
TKC様は、「わが国の会計事務所の職域防衛と運命打開」と「地方公共団体の行政効率向上による住民福祉の増進」という2つの事業目的を掲げ、1966年に創業しました。以来一貫して、会計事務所と地方公共団体にフォーカスした情報サービスとして、帳票類の大量出力を伴うバッチ処理サービス、財務会計・税務情報・給与計算などのシステム開発および運用支援、頑健な自営データセンター(TKCインターネット・サービスセンター)を活用した各種アウトソーシングサービスなどを提供しています。
TKC様では、お客様個々に開発したシステムや提供サービスに関する電話問い合わせを受け付けるヘルプデスクを栃木本社に開設しています。ヘルプデスクには、平常時で1日400件程度、年末調整から各種税務申告が続く12月~5月には600~700件ものお問い合わせが寄せられます。
システム開発研究所
カスタマー・サポート・センター
カスタマー支援部 次長
富森 孝治 氏
システム開発研究所 カスタマー・サポート・センター カスタマー支援部 次長の富森 孝治氏は、「当社のヘルプデスクは、お客様からの電話を一次対応スタッフが受け付けて、問い合わせ内容に応じた専任スタッフが的確な回答を用意してお客様にコールバックするという方法を採用しています」と、サービスの特長を説明します。回答にあたっては、ヘルプデスクとは別フロアのシステム開発部門に事前確認を行ったり、お客様との通話を転送して開発スタッフが直接説明にあたったりすることもあります。
同社は2006年に音声系インフラを大幅に刷新しました。具体的には、外線のコスト削減を目的に「ひかり電話」を導入するとともに、ヘルプデスク向けのシステムとして「CTstage 4i」、オフィス向けPBXには「DISCOVERY01」と、OKI商品で統一したシステムを採用しました。「まずはコールセンターシステムでトップシェアの実績を評価して「CTstage」の採用を決め、さらにヘルプデスクとシステム開発部門との効率的な連絡を実現するため、「CTstage」とスムーズに連携できる「DISCOVERY01」も導入することにしたのです」と、経営管理本部 システムエンジニアリングセンター IT投資企画部 部長の金森 直樹氏は当時を振り返ります。
このシステムの運用が5年目を迎え、システム更新の検討が必要になってきた段階で、「コールセンターシステムは最新版の「CTstage 5i」、オフィス用PBXは「SS9100」を導入し、フルIP化を実現しようと考えました」と、金森氏は話します。後者については、将来的に全国各拠点の電話を一元管理するIPセントレックスの導入を視野に入れた選択でした。
新システムの具体化に向けて、社内の要望などの取りまとめを進めようとしていました。その矢先、2011年3月11日の東日本大震災に見舞われたのです。幸い、地震による人的被害や建屋への影響は出ませんでした。しかし、電力不足の懸念から実施された計画停電によって混乱がもたらされました。栃木本社が計画停電実施区域に入り、その間、オフィスのあらゆる機能がストップしたのです。
この停電によって、ヘルプデスク業務も中断を余儀なくされました。「停電によって栃木本社で電話が使えない時間帯でも、他の地域のお客様は通常通りに仕事を進めておられたわけですから、その間に起こった問題をご支援できなかったことについて本当に申し訳なく思いました」と、富森氏は心情を明かします。この停電によって、新インフラ構築ではBCP対策に万全を期すことが最重要テーマに据えられました。
経営管理本部
システムエンジニアリングセンター
IT投資企画部 部長
金森 直樹 氏
震災後に仕切り直したプロジェクトでは、まずヘルプデスクのフロア移転という根本的な計画変更がなされました。「本社別館ビル内に大型の自家発電機を設置できるスペースがあったので、このビルを非常時の要になる施設として環境を整え、別ビルにあったヘルプデスクも丸ごと移すことにしたのです」(金森氏)。
ビルをまたいだ移動に伴い、電話回線の引き込みや各種機器の配置を見直す必要が出てきました。万が一の事態にもヘルプデスク業務を継続できる仕組みを実現することも必須条件になりました。これを受けてOKIは、「SS9100」と「CTstage 5i」を連携させたシステムにおいて、ネットワーク側のトラブル、システムダウン、ゲートウェイ装置の不具合などあらゆる障害を想定し、いずれのケースでも通話路を確保できる方法を提示しました。「OKIの担当者はこまめに当社を訪れ、課題や要望をきめ細かくチェックし、柔軟に対応してくれました。停電対策では、たとえばLANスイッチに対するUPSの設置を勧めてくれるなど、私どもが見落としていたこともきちんとフォローしてくれたので、安心して任せられると思いました」と、金森氏はOKIの対応を評価しています。
本社本館ビルに設置された
「SS9100」「CTstage 5i」
メインサーバー
新システムは、「SS9100」と「CTstage 5i」のメインサーバーを本社本館ビルに設置し、ヘルプデスク部隊が入った本社別館ビルおよび近隣の2つのビルには遠隔ユニットを個々に配備。各ビル間は私設の光ケーブルで接続しました。また、遠隔地にある自営データセンターにも「SS9100」を導入し、本社本館ビルの機器と冗長化を図っています。
ヘルプデスクの業務現場では、「CTstage 5i」によるフルIP環境の導入とともに、スタッフがPC上で利用するアプリケーション(ヘルプデスク支援システム)を更新しました。また、震災後に起こった通勤困難な状況を鑑みて、自宅や遠隔地からでも業務を遂行できる仕組みも整えました。「ヘルプデスク業務は、お客様の質問内容に合わせて特定スキルを持つスタッフが対応しているので、災害時に出社困難になると業務遂行にも支障が出ます。そこで、スタッフにノートPCを配布し、ソフトフォンとWebアプリケーションによって自宅で業務に就くことができる在宅勤務体制を構築しました」と富森氏は話します。
富森氏は、「CTstage 5i」の導入効果について、「スタッフが感じていた従来の課題をすべてピックアップしOKIに要望として伝えました。その中で対応可能なものはすべて実現してくれたと感じています」と語ります。
たとえば、お客様からの電話着信時に「ピックアップ前からスタッフの端末画面にお客様名を表示してほしい」という現場の声が叶えられました。これは、アプリケーションソフトウエア「CC Navi」の機能で実現されたものです。
通話録音機能も、従来はすべての通話が録音されるものの内容を確認できるのは管理者だけでしたが、現場からの要望に応えて、スタッフ全員が録音内容を聞くことができるようになりました。この機能拡張は非常に好評で、「一次受付の通話内容を聞いて、用意した回答が本当に的確かどうかを確認してからコールバックするシーンをよく目にします」と、富森氏は話します。
また、フルIP化によってレイアウトや座席の変更時などに端末移設が容易になったことも高く評価しています。「以前のように配線替えや設定変更の煩雑な作業が不要になり、管理負荷も大きく軽減されました。フロア内での引越しが頻繁にあるので、メリットを強く実感しています」(富森氏)。
TKC様では「SS9100」「CTstage 5i」の導入に続き、以前から運用してきたビデオ会議システムの更新に際しても、新たにOKIの「Visual Nexus®」で16拠点を結ぶシステムを採用しました。
ビデオ会議システムは当初、出張の多い栃木本社と東京本社間の経費削減策として導入し、利用頻度が予想を大幅に上回ったため、全社的に活用を進めるべく設置拠点を増やしてきました。しかし、「従来のシステムでは接続拠点の追加が困難になったため、OKIの「Visual Nexus」で16拠点を結ぶシステムに切り替えました」と、金森氏は説明します。
中核拠点の強固なインフラ構築で万全のBCP対策を整えたTKC様は、「SS9100」と「CTstage 5i」によるフルIPの環境を活かしたお客様対応や、「Visual Nexus」による社内コミュニケーションのさらなる強化にも意欲的に取り組んでいく意向です。そして、金森氏は、「音声や映像以外の手段も含め、さらに利便性の高いコミュニケーション環境を今後も提案してほしい」と、OKIへの要望を語っています。
2013年1月15日