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IPテレフォニー

プロモーション コラム 「IPコミュニケーションの明日を読む」

第39回: 「VoIPシステム内科的診療法のすゝめ」

[2007年8月23日掲載]

執筆: 千村 保文(Yasubumi Chimura)
沖電気工業株式会社(OKI)
情報通信グループ  セキュリティ・アンド・モビリティカンパニー
バイスプレジデント
兼 OKI  IP電話普及推進センタ(IPTPC)  センタ長

早いもので、VoIPの仕事に携わって12年になります。その間に、VoIP(Voice over Internet Protocol)システムの問題解析に関する相談を多くいただきました。最近、電話システムがVoIP化されたことによって、原因探索までの時間が長期化しているのではないかと感じています。そこで、弊社の例をもとに、私見ですが、その原因と対処法を考えてみましょう。

VoIPはIPネットワーク、すなわちパケットネットワークを使って音声を送るコミュニケーションシステムです。VoIPシステムの開発当初は、パケット通信の専門家が音声を送るための工夫を重ねていました。最近では、回線交換方式の電話システムの経験者が、VoIPのシステム構築に携わることが増えています。私は、この通信方式の違いによる問題解決へのアプローチの違いに、VoIPシステムで原因探索が長期化する一因があるような気がしています。

当然ながら、回線交換方式の電話システムでは、端末と交換機が回線で接続されています。従い、音声品質が劣化するような問題が発生した場合には、端末とそれを接続している回線や、端末間を接続しているスイッチを調べます。そこで悪そうなところがあれば、対象部分を交換するといった手順が一般的です。このような方法は、医療に例えれば「外科的手術」です。音声にノイズがのっていて、これが端末のコンデンサが劣化している可能性が高いから交換しようというのは、人間に例えれば、声の調子が悪いので検査したら、ノドにポリープがありそうだから、これを除去しようというようなものです(例えが適切でなかったら、ごめんなさい)。

しかし、VoIPでは、ネットワーク内にルータやスイッチなど、音声以外の情報を伝送する装置が混在しています。また、最近のVoIPシステムは、ソフトウェアで制御するタイプのものが増えました。従い、音声品質が劣化したといっても、必ずしも目の前の端末や接続されている回線が原因とは限りません。ネットワーク内で心不全が起きており、どこかに血栓ができているかもしれません。

そのような状態で、外科的手術をすると、どうなるでしょう?

可能性があるところを、順番に交換してゆくと膨大な作業が必要です。また、目算をつけた優先順位が正しければ、解決も早いですが、想定外の原因の場合や処置のために現象が変わってしまうと調査は難航してしまいます。

VoIPシステムは、パケットネットワークというコンピュータシステムであると同時に、音声というアナログなメディアを扱うシステムです。そのため、ユーザーと接するアナログな部分の特徴を踏まえつつ、デジタルネットワークとの関係を適切に予測、対処することが必要です。

そこで、VoIPシステムの問題解析方法において、私がおすゝめするのが「内科的診療法」です。

問題発生時には、まず、ユーザーへの問診から始めましょう。その際には、現在の状態だけでなく、変調の兆しがなかったかの確認が必要です。つぎに原因を特定するためには、対象となる現象の、末端とポイントとなる部位の検査が必要です。可能性のある部位を絞りこんだら、トラヒック量を調整するなどして現象に差がでるかを見ましょう(医療的には、食事療法にあたります)。そして音質の定量評価手法などを活用し、対処への反応を見てから、手術が必要かどうかを決めるのです。

VoIP診断

一見、手間隙がかかりそうですが、システムやネットワークを切り刻むことなく、最終的にユーザへの影響を最小限に留めることができると私は考えます。また、このような診断を下せるようになるには、幅の広い技術スキルが必要です。IPTPC  VoIP認定技術者資格制度の教育が、VoIPシステムでのトラブル解消のお役に立てるよう、今後もカリキュラムやテキストの改善に貢献してゆきたいと思います。


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