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IPテレフォニー

導入事例 飛鳥II(郵船クルーズ)様

外航に耐える堅牢さを実現、信頼性が旅の安全を支える

概要

郵船クルーズはOKIのDISCOVERY01導入により、客船「飛鳥II」内に信頼性の高い電話システムを構築。船内PHSの活用で業務の効率化も図った。

飛鳥IIの紹介


「飛鳥II」船内のパームコート

横浜港を母港とする客船「飛鳥II」は、全長241m全幅29.6m、総トン数5万142トンの威容を誇る。その白く輝く巨体には462の客室のほか、レストランやラウンジ、プールや映画館等のアミューズメント施設など、快適な船上生活を送るためのあらゆる施設が整えられている。青々と広がる海原を舞台に、乗客は陸上のホテルと何ら変わらない優雅で快適な船上生活を送ることができる。

この“洋上の豪華ホテル”は約1年前、2006年2月に就航した。郵船クルーズ社が米籍船「クリスタルハーモニー」を日本人客向けに改装し、“和のテイスト”を加えて日本籍船「飛鳥II」として再デビューさせたものだ。以来、質の高い設備とサービス、そして国内クルーズから世界一周クルーズまで豊富に揃ったプランで、多くの乗客を楽しませている。

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船内PHSが活躍

郵船クルーズ営業第一部 広報チーム 武田亜希子氏、郵船クルーズ管理部 総務・企画チーム 上野剛氏、日本舟用エレクトロニスクス 営業第三部 柴崎浩史氏

乗客800名を収容する飛鳥IIでは、400名余りの乗組員が日夜働いている。安全な運航はもちろん、乗客に快適なサービスを提供する彼らの業務を支えているのが、日本でのデビューに当たって再構築された船内電話システムだ。

従来搭載されていた交換機の保守継続が困難になったことで、新たにOKIのIP-PBX「DISCOVERY01」の導入を決定。システムの構築は、海上・船内通信の分野で実績を持つ日本舶用エレクトロニクスが担当した。

船内の電話は、客室や乗組員居室、事務所、パブリックエリアのほか、従業員が使用するPHS 端末すべてを合わせると約1500回線。これらを収容し安定稼動させるのに、DISCOVERY01は最適な選択肢だったという。

郵船クルーズ管理部の総務・企画チーム上野剛氏は、「船舶という特殊な環境におけるOKIの実績が決め手となった」と語る。飛鳥IIの就航前に運行していた客船「飛鳥」にもOKI製の電話交換機「IOX 1100」を搭載していた。さらにOKIは「ふじ丸」(日本チャータークルーズ)、「にっぽん丸」(商船三井客船)などでの実績も持つ。中でも今回の選定に当たっては、船内PHSの運用実績が大きな魅力だった。

旧飛鳥の船内通話は内線固定電話とトランシーバーのみだったが、飛鳥IIの船内各所には、計80台のPHS基地局を設置。船内のほぼすべてのエリアで通話が可能となり、300台のPHS端末が乗組員の業務に活かされている。

旧飛鳥に比べ回線数が増えただけでなく、使い勝手の良いPHSの導入により業務環境は改善。新しい環境は乗組員にも好評だという。

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安全な旅を支える“信頼性”


飛鳥II営業部長 福本一夫氏。
PHSを業務に活用している。

外航船という特殊環境ゆえ、飛鳥IIの電話システムは、当然陸上におけるものとは大きく異なっている。

第1に挙げられるのは、「外航に出る客船では当然の措置」と日本舶用エレクトロニクス営業第三部の柴崎浩史氏が語る、周到な障害対策だ。

外航中に障害が発生したとしても、当然サポートスタッフはすぐには乗れない。部品の調達も不可能になる。そのため、主装置は基盤等を2枚で構成し冗長化を図った上で、さらに同じ機能を有する予備機を設置。万一の場合には船内の営繕部が予備機につないで運用することが可能な、万全の体制を取っている。


二重化されたDISCOVERY01(中央)と
無停電電源装置(右)

もう1つの特徴は、衛星電話設備だ。飛鳥IIでは、改装前の従来設備を増強し、3種の衛星通信サービスを併用している。

もともと米籍船であった飛鳥Ⅱは、Maritime Telecommunications Network(MTN) (※)のインターネット常時接続サービスが利用できる。これを使用すれば、郵船クルーズ本社と船内との間で内線通話も可能だ。定額料金で使用でき、陸上でIP電話サービスを利用するのと同じ環境が実現されている。

しかし、そこには大きな問題が存在する。MTNは日本沿岸300km圏内では利用できないのだ。立ちはだかっているのは「法の壁」。従来は日本籍船への搭載すら認められていなかったが、法改正により、ようやく300km圏の外でのみ利用が可能になったというのが現状だ。実際には外航時にしか利用できない。

そのため、国内停泊中あるいは沿岸航海の際には、国内電話用に、Nstar衛星(c/d号)によるNTTドコモの衛星移動電話サービス、国際電話用にはKDDIのインマルサットサービス(Inmarsat-B およびInmarsat-Fleet)を利用している。

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新しいニーズを見据えて

飛鳥IIでは乗客向けに、インターネット接続サービスも提供している。しかし、「日本の客船では最も整っている」(上野氏)というその環境も、衛星通信回線の制約により、まだまだ十分とはいえない。

現在、客船クルーズ事業のメインターゲットは高齢者層であり、インターネットサービスへのニーズは高くない。だが今後は、間もなく退職を迎える団塊世代や、さらに若い世代にもアピールできる新しいスタイルの提案も必要になる。例えば、「仕事もできる環境があれば」という新たなニーズが出てこないとも限らない。MTNの国内使用をはじめ、衛星通信サービスの充実は、通話コストの削減だけでなく、客船クルーズの事業展開にも関わってくる課題だ。

上野氏は、事業全体の飛躍のためにも、今後はより充実したインターネットサービスの提供も視野に入れていきたいという。

  • ※: Maritime Telecommunications Network

    06年2月に、総務省関東総合通信局より「飛鳥Ⅱ」に設置する携帯移動地球局の無線局免許が付与された。国内での導入は初めての例となる。NSS衛星またはINTELSAT衛星を使用し、海上・陸上間の高速(最大数10Mbps)大容量のデータ通信が可能

株式会社リックテレコム
テレコミュニケーション 2007年5月号 No.274(第24巻 第5号)の事例研究より転載

  • 製品写真や見出し部分は、沖電気工業にてHTML用に追加・修正しています。
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