2006年9月5日
MP3デコーダを搭載した携帯用64和音音源で世界一の低消費電力を実現
携帯電話でMP3による60時間音楽再生が可能

ML2841
沖電気工業株式会社(社長 篠塚勝正)は、このたび携帯電話の長時間音楽再生向けに、MP3デコーダと64和音音源を搭載した着信メロディLSI「ML2841」をリリースいたしました。MP3デコーダからヘッドフォンで消費される電力を、当社従来商品比で約1/5に相当する32mWに低減いたしました。本LSIはサンプル出荷中で、12月から量産出荷を開始いたします。
開発の背景
日本では既に携帯電話の多機能化に伴い、"着うた®"や長時間音楽再生が携帯電話の必須機能として定着してまいりました。また当社が注力してきたGSM携帯電話(注1)においても、この長時間音楽再生に対応した携帯電話はこの数年間で飛躍的に増大する見込みです。
一方、携帯電話はベースバンドLSIの進化により殆どの機能がソフトウエアで実現されるようになってきました。そのため、動作時に消費する電力は増加する傾向にあります。
そこで当社は、既存のベースバンドLSIとソフトウエアでは実現することができない長時間音楽再生機能に着目し、低消費電力MP3デコーダと従来の音源を1チップ化した商品の開発を行いました。
本開発品の特徴
ML2841は、携帯電話でMP3による長時間音楽再生を実現するために開発したLSIです。既に携帯電話でもMP3によるオーディオ再生機能を搭載した携帯電話がリリースされていますが、再生時間がポータブルオーディオプレーヤ機器に比べて短い商品が殆どでした。そこで当社は下記3点に着目して本LSIを開発いたしました。
- MP3デコーダの低消費電力化
従来、MP3デコーダはDSPとソフトウエアの構成で実現するのが一般的でした。これに対して、当社で先行して技術開発を行ってきたSystem C(注2)によるシステム設計および動作合成技術を、低消費電力MP3デコーダ・SRS 3Dサラウンド・イコライザに適用することで、当社従来品では57mWだった消費電力を5mWに削減いたしました。
- ヘッドフォンアンプの消費電力を削減
MP3デコーダに次いで消費電力が大きいのは、ヘッドフォンアンプで消費される電力です。本LSIではヘッドフォンアンプの消費電力を削減するために高効率なD級アンプ(注3)を搭載いたしました。この技術と1.で記載した省電力技術により、本LSIではMP3のデコード処理からヘッドフォンで再生されるまでの消費電力を当社従来商品比 約1/5に相当する32mWに低減いたしました。
- システム構成を最適化しトータルコストを削減
現在、様々な携帯電話プラットフォームがリリースされており、それ毎に機能を実現するために必要なLSIの仕様が異なります。当社は同市場での経験を生かし、長時間音楽再生を最も良いコストパフォーマンスで実現できる携帯プラットフォームに合わせて、LSI仕様を最適化いたしました。
既に、本LSIをGSM携帯電話プラットフォームと1000mAhのバッテリに接続して30時間の連続音楽再生の実験が完了しており、理論上は携帯プラットフォームのソフトウエア改良によって60時間再生まで延長することができます。
さらに「ML2841」は、低消費電力MP3デコーダ・SRS 3Dサラウンド・イコライザに加えて、64和音(注4)音源も搭載しています。また4.16×4.16mm²の超小型パッケージを実現しましたので、携帯電話におけるオーディオ機能を実現するために最適なLSIです。
今後の展開
沖電気では今後もサウンドLSIの製品ラインアップを増やし、様々な新しいアプリケーションの創生を目標に「パーソナル&モーバイル」にこだわり携帯機器の小型化・高機能化、低消費電力化に寄与する商品を開発、販売していきます。なお、サウンドLSIの技術および商品に関しましては、弊社のサウンドLSIのサイトをご覧ください。
商品の概要/特長
<MP3デコーダ部>
- 超低消費電力 MP3デコーダ搭載
ヘッドフォン再生時の消費電力は約32mW - 対応MP3フォーマット:MPEG1/2/2.5 audio layer Ⅲ Mono, Stereoモード
<音源部>
- General MIDI(注5)対応128音色+General MIDI対応パーカッション47音色+中国伝統楽器13音色=計188音色を搭載したPCM音源(注6)
- 最大同時発音数:72音 MIDI 64和音+8Ch PCM(注7)
- 効果音や人声の再生用にPCMおよび2bit/4bit OkiADPCM(注8)シンセサイザ内蔵
SMF(注9)、沖電気独自の楽曲フォーマットMCDF(注10)に対応
<共通部>
- 16bit 高音質ステレオDAC搭載
- SRS Labs社の3D surround SRS HeadphoneとSRS(Extreme mode)を搭載
SRS Headphone:ヘッドフォン用3Dサラウンド
SRS(Extreme モード):隣接したスピーカ用3Dサラウンド - 5バンドデジタルイコライザ搭載
- 省電力 D級ステレオヘッドフォンアンプ搭載
- 4線式シリアルインターフェース、8ビットパラレルインターフェース
- 音源とMP3、または音源とADPCMの同時再生が可能
販売計画
- 商品名
- ML2841
- サンプル価格
- 700円(税別)
- サンプル出荷時期
- 出荷可能
- 評価ボード出荷時期
- 出荷可能
- 量産出荷時期
- 2006年12月
仕様
- 動作周波数
- 5MHz~30MHz
- 駆動電圧
- デジタル部 1.35V~1.65V アナログ部 2.7V~3.6V
- パッケージ
- 49pin W-CSP(注11)(4.16mm×4.16mm)
またこの度、弊社独自の楽曲フォーマット MCDF制作用PCツールを「ML2841」対応にバージョンアップしました。本ツールによって、通常のMIDI楽曲に、PCM、ADPCM、MP3の効果音・LED発光・画像表示・テキスト表示を同期させたマルチメディアコンテンツを容易に製作することができます。本ツールは、弊社のWebサイトから無料でダウンロードすることができます。
新MCDF制作ツール

用語解説
-
注1:GSM
Global Service Mobile networkの略。日本、韓国以外で採用されている携帯電話の方式。
- 注2:System C
ハードウェア記述言語(HDL)の一種。汎用プログラミング言語であるC++をベースにしており、アルゴリズムの記述・デバッグ・ハードウェアへの変換を全てC++の枠内で行なうことができる。
- 注3:D級アンプ
デジタル信号のままヘッドフォンを駆動するために、デジタルアンプとも呼ばれる。従来のアナログアンプと比較して動作効率、低消費電力、低発熱性の点で優れている。
- 注4:和音
音楽用語での和音の意味とは異なり、携帯電話の着信メロディ用途での和音は、同時に発音できる音の数を表す。
- 注5:General MIDI(GM)
同一楽曲データを異なるMIDI(Musical Instrument Digital Interface)装置で再生するとき、同様な音楽が再現できるようにGMが考案され、業界標準として全世界で広く普及している。現在、流通している電子楽器やカラオケ用演奏データのほとんどは、GMをベースにしており、GMに対応すればこれらのコンテンツが利用可能となるメリットがある。
- 注6:PCM音源
実際の楽器の音をそのままサンプリングしたデータを用いる音源方式。サイン波や矩形波から楽器の擬似音を合成する方式と違い、リアルで豊かな音色表現が可能であることを特長としている。
- 注7:PCM(Pulse Code Modulation)
パルス符号変調。音声信号をデジタル化するために使用される最も一般的な方式。
- 注8:ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)
適応型差分パルス符号変調。音が連続的に変化することを利用して、直前に数値化したデジタルデータとの差を記録する音声圧縮技術。OkiADPCMは沖電気独自で開発した方式である。
- 注9:SMF(Standard MIDI File)
MIDI規格の音楽データを扱う際の標準的なファイル形式。楽曲データを編集するソフトウエアやプレーヤの多くがSMFフォーマットに対応しており、異なるエディタのユーザ間でデータをやり取りする場合や、不特定多数の人にデータを公開する用途に適している。GMで作られた曲のほとんどがSMFフォーマットである。
- 注10:MCDF(Multi Media Communication Data File)
沖電気独自のマルチメディアコンテンツ対応フォーマット。MIDI楽曲にPCMやADPCMの効果音・LED発光・画像表示・テキスト表示などを同期させることができる拡張フォーマット。
- 注11:W-CSP(Wafer level Chip Size Package)
ウェハ状態で一括してパッケージングを行う技術。チップと全く同じ外形寸法にまでLSIパッケージを小型化できる。
- 着うたは、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの商標または登録商標です。
- MIDI、GENERAL MIDIは社団法人音楽電子事業協会(AMEI)の登録商標です。
- SRS Headphone, SRSと(●)記号はSRS Labs, Inc.の商標です。
- その他、記載されている会社名、製品名は一般に各社の商標または登録商標です。
- 本件に関する報道機関からのお問合せ先
- 広報部
電話:03-3580-8950 - 本件に関するお客様からのお問合せ先
- シリコンソリューションカンパニー 販売本部 営業企画部 第二チーム
電話:03-5445-6027
- ※各リリースの記載内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
