2006年4月10日
ICカード端末の暗号処理時間をARM7マイコンで約20分の1に短縮
暗号アクセラレータを搭載し高速暗号処理を実現、さらに全ての機能をワンチップ化

ML675050
沖電気工業株式会社(社長:篠塚勝正)は、このたびICカード端末などのネットワーク暗号処理時間を従来のソフトウェア処理に比較して約20分の1(当社比)(注1)に短縮した特定用途向けLSI、ML675050の販売を開始します。RSA暗号処理(注2)に必要な剰余算演算(注3)アクセラレータ(注4)を搭載し、処理時間を大幅に短縮、さらにICカード端末に必要な機能を全てワンチップ化しました。クレジットカード端末、個人認証ICカード端末、ポータブル代引き端末など、ネットワーク対応ICカードリーダライタが搭載されたアプリケーションをターゲットに、本日よりサンプル出荷、2006年6月量産出荷を開始し、月10万個の出荷を目指します。
クレジットカードの偽造問題などにより従来の磁気カードに比べてより安全性が高いICカードをベースとしたシステムに対する需要が世界的に高まっており、今後ICカード端末も年率20%前後の高成長率が予想されています。また、ICカード端末がネットワークに接続されたICカード読み取り端末上で暗号処理が行われる必要性も増えています。従来のソリューションでは、RSA暗号をソフトウェアで処理するためにARM9やDSPなど高性能プロセッサが必要となり、システムコストが高くなったり、消費電力が大きくなったりするという課題がありました。
本商品は、ARM7TDMI®をコアとし、弊社のシステムLSI統合開発プラットフォーム「µPLAT®-7D」をベースに開発された32ビット汎用1チップマイクロコントローラです。8KBキャッシュメモリとの組み合わせにより、高い処理能力を実現します。豊富な省電力モードにより、消費電力を効果的に抑えられるため、電池駆動が必要なポータブル決済用端末への応用も可能です。次の3つの特長によりお客様のトータルコストを削減します。
- RSA暗号処理に必要な剰余算演算用アクセラレータを搭載
剰余算演算についてはハードウェアロジックを利用するアクセラレータを搭載。ARM9やDSPなどの高性能プロセッサにおいてソフトウェアで処理した場合と比較し、処理時間を約20分の1(当社比)に短縮し高速処理が可能です。
- バッテリーバックアップRAMを内蔵
ICカード内の個人データなどを守る鍵データ格納用に電源端子が専用に設けられたRAMを内蔵しており、チップを外して解析するといった不正行為に対して鍵データを守ることができます。高いセキュリティ性能と処理能力を要求するクレジットカード端末などのICカードリーダライタに最適です。
- 充実したペリフェラル(周辺機能)でICカード読み取り端末に必要な全ての機能をワンチップ化
USB2.0 Full-Speedホストコントローラおよびデバイスコントローラを搭載しており、ホストシステムバーコードリーダなどのUSBデバイスとの接続を本商品のみで実現することができます。また、モノクロLCDコントローラ、I2C(注5)コントローラなどの周辺機能を集積し、ICカード読み取り端末に必要な全ての機能をワンチップ化しています。
今後も沖電気では、ARMCPUの特徴とアクセラレータ開発技術、物理セキュリティ技術(注6)といった得意技術を生かし、安全・安心をテーマにICカード機器市場、およびセキュリティ機器市場向けLSIの開発を進めていく計画です。
販売計画
- サンプル価格
- 1,000円(税別)
- サンプル出荷開始時期
- 2006年4月
- 量産出荷開始時期
- 2006年6月
- 評価ボード出荷開始時期
- 2006年4月
- 販売個数
- 月10万個
主な仕様
- CPU
- RISC方式32ビットARM7TDMI™
- 内部メモリ
- 16Kbyte RAMおよび2KbyteバッテリーバックアップRAM
- 外部メモリ
- ROM(FLASH)、SRAM、SDRAM、I/Oを接続可能
- LCDコントローラ
- QVGA(320×240ピクセル)モノクロをサポート、表示RAM内蔵
- 剰余算アクセラレータ
- 多ビット長(512/768/1024bit)対応ハードウェア搭載
1024bit以上はソフトウェアで拡張可能 - 乱数生成回路
- 8bit乱数発生回路内蔵
- ICカードインタフェース
- ISO7816、T=0とT=1の非同期プロトコル対応
- USB2.0 Full-Speed Host
- USB2.0およびOpenHCI 1.0a準拠、4転送タイプサポート
- USB2.0 Full-Speed Device
- USB2.0準拠、4転送タイプサポート
- シリアルインタフェース
- I2C ×2、UART(注7) ×2、シリアルI/O ×1、SPI(注8) ×2
- パワーマネージメント
- クロック停止モード(HALT/STOP)
電源停止モード(STANDBY) - 動作周波数
- 最大64MHz(内部逓倍による)
- 動作温度(周囲温度)
- -40℃ ~ +85℃
- パッケージ(QFP)
- 176pinプラスチックLQFP(LQFP176-P2424-0.50-ZK)
- パッケージ(BGA)
- 176pinプラスチックLFBGA(P-LFBGA176-1313-0.80-2)
評価ボードについて
デザインサポート用の評価ボードを用意しております詳細は問合せください。

ICカード決済端末に必要な機能、デバイスを搭載した評価用ボード
用語解説
- 注1:鍵長1024ビットRSA暗号処理における当社ARM9マイクロコントローラ(120MHz)との実行比較値。
RSA復号処理時間が267msから20ms (約13倍)に向上
RSA暗号処理時間が14msから0.6ms(約22倍)に向上 - 注2:RSA
公開鍵暗号化アルゴリズム、RSAは仕様を決めた3人(Rivest,Shamir,Adleman)の頭文字をとっている。
- 注3:剰余算演算
C=Memod(N)で定義される演算。RSAなどの公開鍵暗号方式で使われる。
- 注4:アクセラレータ
ソフトウェア処理の中で、ハードウェア変換することによる効果的な高速化が可能な部分を抽出し、ハードウェアロジックに変換したモジュール。
- 注5:I2C
Inter Integrated Circuitの略。2本の信号線によって、比較的近い場所にあるデバイス間の情報伝達を行うためのインタフェース。
- 注6:物理セキュリティ技術
LSIに対する物理的な解析(温度解析や電流・電圧解析など)から秘匿情報を保護するための技術。
- 注7:UART
Universal Asynchronous Receiver Transmitterの略。シリアルポートなどに使われる通信回路。CPUから送られてくるパラレル信号をシリアル信号に変換したり、周辺機器から送られてきたシリアル信号をパラレル信号に変換したりする。
- 注8:SPI
Serial Peripheral Interfaceの略。モトローラ社によって開発された3線式シリアルインタフェース。
- µPLATは沖電気工業株式会社の日本、ドイツ、英国およびカナダにおける登録商標です。
- ARM7TDMI, ARMはARM社のEUおよび米国における登録商標です。「ARM」とは、ARM Holdings plc(LSE:ARM、NASDAQ:ARMHY)、その事業会社であるARM Limited、各地域の子会社であるARM INC.、ARM KK、ARM Korea Ltd.、ARM Taiwan、ARM France SAS、ARM ChinaおよびARM Belgium N.V.の全部または一部を意味します。
- その他、記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。
- 本件に関する報道機関からのお問合せ先
- 広報部
電話:03-3580-8950 - 本件に関するお客様からのお問合せ先
- シリコンソリューションカンパニー 販売本部 営業企画部 第二チーム
電話:03-5445-6027
- ※各リリースの記載内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
