2006年3月6日
世界初、双方向・単一波長100kmの光伝送を実現する符号分割多重光アクセスPON(COF-PON)の開発に成功

COF装置概観
沖電気工業株式会社(社長:篠塚勝正)は、このたび世界で初めて、符号分割多重方式を用いた光アクセス方式(CDM-on-Fiber;COF)(注1)で帯域を保証して双方向・単一波長100kmの光伝送に成功し、COF-PONシステムの開発に成功しました。これにより、1本の光ファイバにて上り・下りの信号を同一波長で、かつ長距離に伝送できるため光アクセスサービスの地理的格差の解消に貢献する上、光アクセスシステムにおける光ファイバ、波長資源の節約および運用コストの削減が可能となります。
通信キャリアによるブロードバンドサービスは、映像・データ・音声を統合したトリプルプレーによるブロードバンドマルチメディアサービスを目指し、より大容量伝達が可能な光ネットワークへの移行が進んでいます。現在用いられている光ネットワークは、3つの波長(注2)をもちいてデータの上り・下りと映像配信を行い、各家庭には光学的な分岐回路であるスプリッタでデータ伝送するPON(Passive Optical Network)によるものが主流です。
さらにサービス品質の向上に向けて伝送容量のより大きいネットワークの要求が顕在化されてきています。また、デジタルデバイドの解消や欧米を主として地理的要因によるPONの長距離化が求められています。そのため、ネットワーク容量の拡大策として、PONシステムへ波長多重方式(WDM)(注3)の応用が注目されていますが、多くの光源を用いることや波長の管理など高コストであることから実用化が困難な状況です。
一方、現状のPON方式では伝送距離が20kmに制限されておりサービス範囲拡大の妨げとなっています。長距離化として、光アンプの適用による20kmを超えるPONシステムが検討されていますが、消費電力や光アンプに関わる光パワーの制御などの運用の複雑さなどが問題となっています。こうした状況においても、光サービスの多様化・高品質化のニーズは高く、簡便で低コストの長距離且つ大容量のPON技術の出現が期待されていました。
弊社では、これらの問題を解決するため、COF-PONシステムを開発しました。このCOF-PONシステムは、電気による符号多重信号を光信号として光ファイバにより伝送する方式です。符号化処理は、従来の時間多重方式に比較して雑音耐力(S/N)の向上を実現できることから、光ファイバの変更や光アンプの導入をすることなく長距離化が可能となります。また、同じファイバ中で双方向の伝送ができます。その特徴をいかして、双方向・単一波長で1チャネルあたり100Mbpsの帯域保証が可能となっています。単一波長であることからWDM方式との融合が容易となり、拡張性が期待できます。そのため、従来のPONシステムのデータ伝送の規格である上り・下り2波長の使用、最大伝送距離20kmを大幅に改善することとなり、サービスエリアの拡大が可能となります。
今回、COF装置を開発しPONネットワーク上で100Mbpsの帯域保証と100kmの長距離双方向通信可能であることを実証しました。この成果は、従来のベストエフォートから一歩進んだ帯域保証した高QoS(Quality of Service)(注4)と長距離PONの実現を実証するものです。この結果、地理的格差無く高品質の光サービスの提供が進むものと期待できます。
沖電気は、今後更に放送サービスを含む光アクセスサービスの低コスト化、サービス範囲の拡大要求に対応するための装置の品質・性能の改良に取り組み、2006年12月のサンプル出荷を予定しています。2008年には北米・欧州の光アクセス市場をはじめとして、製品出荷をしていく予定です。
なお、本開発成果は2006年3月5日(日)~10日(金)、米国カリフォルニア州アナハイム市にて開催されるthe Optical Fiber Communication Conference & Exposition and the National Fiber Optic Engineers Conference (OFC/NFOEC2006)にて展示(沖電気ブース#3447)・発表いたします。
PONネットワーク上でのCOF装置

用語解説
- 注1:COF(Code Division Multiplexing on Fiber)
電気符号処理による符号分割多重信号を光信号として光ファイバにより伝送する光アクセスネット方式です。送信側は高速LSIを用いたデジタル回路による符号生成を行い、受信側では超高速のアナログ相関器を用いて復号します。復号処理にアナログ相関器を用いるため、デジタル相関器を用いた場合の処理速度の制限を克服できます。COFを1本のファイバを共有するPON(Passive Optical Network)方式に適用することにより、長距離PONが実現できます。
- 注2:3つの波長
ITU-T標準による3つの波長(1310nm、1490nm、1550nm)を用いて伝送する光アクセス方式です。
- 注3:波長多重方式(WDM; Wavelength Division Multiplexing)
光ファイバの伝送容量を増すための多重方式の一つであり、異なる波長にそれぞれチャネルを割り当てる通信方式です。波長間の干渉が無視できるためチャネル間の非同期通信が可能な技術です。
- 注4:高QoS(Quality of Service)
ネットワークにおけるユーザ毎の通信帯域を確保するために、データに優先順位をつけて通信品質を向上させる技術です。映像や音声などの通信の遅延が問題となるサービスには特に重要な技術です。
- 記載されている会社名、製品名は一般に各社の商標または登録商標です。
- 本件に関する報道機関からのお問合せ先
- 広報部
電話:03-3580-8950 - 本件に関するお客様からのお問合せ先
- 研究開発本部
- ※各リリースの記載内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
