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プレスリリース

2006年3月15日

世界初、毎秒160ギガビットデータのフィールドトライアルで635km伝送に成功

沖電気工業株式会社(本社:東京都港区、社長:篠塚 勝正、以下沖電気)は、独立行政法人情報通信研究機構(本部:東京都小金井市、理事長: 長尾 真、以下NICT)からの委託研究「トータル光通信技術の研究開発」を実施し、その成果を実証するために、JGNⅡ(Japan Gigabit Network Ⅱ)光テストベッド(注1)(図1)を利用して、世界初のハイビジョン映像を含む毎秒160ギガビットデータ(1秒で映画4本分<8時間>のデータ)の伝送(注2)(図2)に成功し、JGNⅡ光テストベッド上で最長となる635kmの長距離伝送フィールドトライアルに成功しました。

この実験は、NICTが平成17年12月に主催した、JGNⅡを活用したNICTけいはんな情報通信オープンラボ(京都府相楽郡:以下、オープンラボ)での実証実験で実施しました。JGNⅡ光テストベッドは、オープンラボと堂島中継局(大阪市北区)に設置されている光ファイバ網(シングルモード光ファイバ63.5km×10芯)であり、それぞれの接続点には、現在、毎秒10ギガビットデータの光通信で商用化されている中継局と同様の光増幅器と分散補償ファイバ(注3)が設置(図2)されています。また、折り返し回数を変えることにより、伝送距離を変更できる構成となっています。

今回のフィールドトライアルでは、まず、2回折り返し254kmの伝送路を使用して、世界で初めて、データ信号評価用(符号誤り率測定(注4))のデータと同時にハイビジョン映像の伝送を試みました。長距離伝送に対しては、折り返し回数を増加させながらの実験で、最終的にJGNⅡテストベッドで最長となる、5回折り返しの635km伝送に成功しました。

沖電気が開発した、毎秒160ギガビットデータの光送受信装置は、展示会(インターオプト2004)で光ファイバ120km伝送を実演するなど、実用性、安定性が高い装置として注目を集めるとともに、長距離伝送に対しても、80kmの周回伝送路を用いた実験で640kmの伝送に成功していました。更に今回の実験では、実用化のために、外気温などの環境変化で条件が変わる実フィールドでの伝送路評価と実データを伝送した状態でのエラーフリーの確認とを目的としました。

毎秒160ギガビットデータの光送受信装置は、個別変調された時分割多重(注5)(図3)技術を用いて光データ信号を生成しています。沖電気は、以前より、この個別変調に拘り、光時分割多重モジュールを開発してきました。今回の実験に使用したモジュール(写真)は、光の空間結合距離を短くする目的で改良した結果、光の結合損失が半分以下に減り、体積を約3分の1(両者とも当社比)に小型化し、より実用性が向上したモジュールです。

今回のフィールドトライアルで635km伝送に成功したことで、現在、商用化されている毎秒10ギガビットデータの16倍に当たる超高速光通信を東京-大阪間(約500km)などの幹線系へ適用可能であることが実証できました。毎秒160ギガビットデータの光通信は、2010年以降に実用化が期待される次世代の超高速光通信技術です。今後、沖電気では、フィールドトライアルで得られた新たな知見を解析し、実データの転送に適用できる毎秒160ギガビットデータの光送受信装置の開発に取り組んでいきます。

なお、ハイビジョン映像の伝送は、電気通信大学のフォトニックネットワークの実験系と接続することによって行われたものです。また、実験データの取得については、アンリツ株式会社の協力を頂きました。

図1:JGNⅡ光テストベッド、光ファイバ敷設場所

図2:実証実験の光テストベッド構成

図3:毎秒160ギガビットデータの光信号生成

写真:光時分割多重モジュールの比較

用語解説

  • 注1:JGNⅡ光テストベッド

    NICTは、自前のファイバ回線を持たないメーカー、大学等の研究機関のために実ネットワーク環境での実験を容易に行えるように次世代光ネットワーク研究開発環境であるJGNⅡネットワークを共同利用施設として提供しています。

  • 注2:ハイビジョン映像の伝送実験

    電通大がハイビジョン映像を内蔵した毎秒10ギガビットデータの光信号を生成、その光信号は電気信号に変換後、アンリツの時分割多重器で毎秒40ギガビットデータ(3つの擬似ランダム信号と1つのハイビジョン信号)の電気信号に変換されます。この電気データが沖電気の個別変調の光時分割多重モジュールに入力されて、毎秒160ギガビットデータの光信号となります。生成された光データ信号は実フィールドを伝送した後、沖電気のクロック抽出器と受信器で受け、毎秒40ギガビットデータの光信号に時分割分離されます。この毎秒40ギガビットデータの光信号は電気信号に変換後、アンリツの信号評価器に入力され、信号評価器で毎秒10ギガビットまで分離されます。最終的に、ハイビジョン映像を含む電気信号は光信号に変換後、電通大の光ノード装置に転送され、ハイビジョン映像がディスプレイに映し出されました。

  • 注3:分散補償ファイバ

    光ファイバは、光の波長に対し、屈折率が異なり、伝送距離が長くなるに連れて、光信号は時間軸上で広がっていく特性があります。光ファイバの材質、構成により、さまざまな分散特性を持つ光ファイバがあり、JGNⅡの伝送路に用いられている光ファイバと、中継器に設置した分散補償ファイバは、波長が1.5µm近傍で逆の特性を持つ光ファイバです。今回の中継器間隔は63.5kmであり、設置した分散補償ファイバは、中継器間隔60km用に設計されたものなので、残留分散が蓄積していきます。伝送速度が速くなるに連れて、光スペクトルの帯域が広がりますので、毎秒160ギガビットデータの場合、最終的な高精度の分散補償が必要になります。

  • 注4:符号誤り率測定

    光データ信号が正確に伝送されたかどうかを評価するには、伝送前と伝送後のデータと比較する必要があります。この評価に用いられるのが符号誤り率測定です。擬似ランダム信号を発生させ、受信後のデータと比較しているために、実データ(例えばハイビジョン映像)では、測定ができません。今回の実験では、4つの毎秒10ギガビットデータの符号誤り率を同時計測しているので、4つのうち、3つの符号誤り率が測定できる状態となります。

  • 注5:個別変調による時分割多重

    データ信号の生成には、高速電子回路が用いられていますが、その動作速度は、毎秒50ギガビットデータ程度です。したがって、毎秒160ギガビットデータの光信号は、毎秒40ギガビットデータの光信号を生成してから、時間軸上に多重していくことで実現しています。毎秒160ギガビットデータの光信号は、ひとつの毎秒40ギガビットデータの光信号を4つに分離し、時間軸上で遅延を与えて再度、合成することで簡便に生成することはできます(図3-a)が、実質的な情報量は毎秒40ギガビットです。沖電気は、独自開発した時分割多重モジュールを適用することで、この問題を解決しました(図3-b)。時分割多重モジュールには、4つのデータ変調器が備わり、それぞれ、別々のデータ信号で変調(個別変調)され、4つの毎秒40ギガビットデータの光信号が生成されます。この4つの光信号を時間軸で多重(時分割多重)し、1つの毎秒160ギガビットデータの光信号を出力します。今回は、モジュールに実装される光素子の配置方法の改良と小型化を実施することで、全体の小型化と特性向上を実現しました。

  • 本研究は独立行政法人情報通信研究機構の委託研究「トータル光通信技術の研究開発」の一環として行われました。
  • 記載されている会社名、製品名は一般に各社の商標または登録商標です。
本件に関する報道機関からのお問合せ先
広報部
電話:03-3580-8950
本件に関するお客様からのお問合せ先
研究開発本部
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