沖電気工業株式会社(社長 篠塚勝正)は、世界で初めてSOI(シリコン・オン・インシュレータ)-CMOS技術を適用した長波標準電波受信LSI「ML6190A」を開発し、本日よりサンプル出荷を開始いたします。SOI-CMOS技術を用いたことにより、高感度でありながら、従来の3分の1以下という低消費電流を実現しました。電波時計をはじめ、AV機器、家電機器、パソコン、カークロックなどの用途に向けて12月より量産出荷を開始いたします。
SOI-CMOS技術とは絶縁膜上にCMOSを形成する技術で、従来のシリコン基板の代わりに絶縁膜の埋め込まれたSOI基板を利用するものです。本技術はLSIの低消費電力化を達成する技術として以前より注目されておりましたが、民生品で量産に成功した企業はこれまでありませんでした。
弊社では低消費電力のLSI実現のためSOI-CMOS技術の開発に注力しており、昨年は世界に先駆けてこの技術を適用した時計用LSIの量産化に成功いたしました。さらにこのたび、本技術を適用した、高感度で低消費電流の長波標準電波受信LSIを世界で初めて開発いたしました(注1)。
近年、時計市場では標準電波を受信して自動的に時刻を補正する電波時計が注目されています。弊社がこのたび開発した長波標準電波受信用LSI「ML6190A」はSOI-CMOS技術により、消費電流が従来の3分の1以下と小さいため、電波腕時計などの小型携帯機器への搭載に最適です。また、AV機器、家電機器、パソコンやカークロックなどの時刻補正用途にも適しています。
「ML6190A」に適用したSOI-CMOS技術は従来のプロセス技術に比べ低消費電力化に有利なだけでなく、デジタル、アナログ回路のワンチップ化にも適しています(注2)。この特徴を生かして、電波受信回路とデコーダ回路やドライバ回路、さらには時計用LSIとのワンチップ化によりファミリー展開を進め、電波時計だけでなく、AV機器、家電機器、パソコン、カークロックなどの用途に向けても、幅広く販売していく計画です。
【主な特長/仕様】
本LSIではSOI-CMOS技術により高感度と低消費電流を達成しました。電圧感度はバイポーラデバイスと同等以上の0.7µVrmsを達成したほか、入力電圧範囲も0.7µVrms〜100mVrmsと広範囲です。また、消費電流はバイポーラ技術を用いた商品に比べて1/3〜1/10の17µAを達成しました。さらに水晶を2つ接続することで、たとえば日本では福島局40kHzと九州局60kHzなどワンチップで二局切替え受信が可能です。
| ・ | 高感度: | Typ. 0.7µVrms |
| ・ | 広入力範囲: | 0.7µVrms〜100mVrms |
| ・ | 超低消費電流: | Typ. 17µA(@3V) |
| ・ | 低電圧動作: | 1.1〜3.6V |
| ・ | 広受信帯域: | 40KHz〜100KHz |
| ・ | 温度範囲: | -40℃〜+85℃ |
【販売計画等】
| ・ | サンプル出荷: | 2003年9月(20ピンSSOP)(注3) |
| ・ | サンプル価格: | 500円 |
| ・ | 量産出荷: | 2003年12月 |
| ・ | 量産規模: | 20万個/月 |
- (注1):
- SOIデバイスでは絶縁膜上にトランジスタが形成されているため消費電流が低減する。このため電流に伴う熱雑音も低減し、さらにトランジスタが絶縁膜で完全分離されており基板を介したノイズの影響も低減するため高感度を実現できる。
- (注2):
- SOIデバイスではトランジスタが絶縁膜で完全分離されており、デジタル部からアナログ部への基板を介したノイズの影響が低減するためワンチップ化にも適している。
- (注3):
- ベアチップも別途対応可能。
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