沖電気工業株式会社(社長:篠塚勝正)は、このたび業界最速の伝送速度52Mbps(下り)/ 33Mbps(上り)を実現するVDSL(注1)装置を本日より発売します。本装置は、集合型装置「EV4208S VDSL Switch」と加入者モデム「EV4201B VDSL Modem」の2製品で構成され、4月15日より出荷を開始します。
現在、ADSL等の急速な普及により、一般家庭でのブロードバンドアクセスが広がっています。ADSLの場合、ISDNユーザはアナログ電話に変更しなければならず、また光ファイバの普及によりメタル回線が撤去された場所では利用できないという課題があり、より手軽に導入できる 技術としてVDSL が注目されています。
VDSLは、ADSLと同じく既存電話回線を利用することにより、建物内でのLAN配線が不要という利点をもっています。その上、ISDNユーザはアナログ電話に変更することなく、そのままVDSLによる高速データ通信が可能で、メディアコンバータ(注2)などを介して光ファイバに接続できます。また、VDSL装置は設置も容易で、集合型装置を構内MDF(注3)に接続するだけで集合住宅内の各部屋において高速インターネットアクセスが実現できるため、光ファイバ敷設の拡がりによりアクセスネットワークの高速化が進むほど、ユーザはそのメリットを享受できる ようになります。
今回弊社の発売するVDSL装置では、下り(電話局から加入者への方向)の伝送速度は従来の最高値である52Mbpsを確保しつつ、これまで高速化の難しかった上り(加入者から電話局への方向)の速度を従来製品の3倍以上である33Mbpsまで高速化を実現しました。集合型装置「EV4208S VDSL Switch」は、8ポートのVDSL回線と電話回線をもったL2スイッチ(注4)とスプリッタを内蔵しています。マンションの共用スペースなどに設置し、1台あたり8ユーザが利用でき、本装置をカスケードに接続することで、容易に増設できます。また、加入者モデム「EV4201B VDSL Modem」は、1ポートのVDSL回線をもち、集合型装置「EV4208S VDSL Switch」との対向装置として各ユーザ宅内に設置されます。
本装置は、VDSLの標準規格となるITU-T G.993.1(注5)準拠の周波数帯を使用し、ISDNとの同時使用が可能です。また、ISDN周波数帯域を使用しないモード(ISDNフレンドリモード)や、ADSL周波数帯を使用しないモード(ADSLフレンドリモード)を採用し、それぞれの電波干渉による影響を小さくすることが可能です。
伝送速度が非対称型であるVDSLの双方向性を最大限に活かして高速伝送を実現した本製品を利用することにより、基幹網の光ファイバと「ラストワンマイル」(注6)でのVDSLを接続し、光ファイバ設置工事の困難な場所にあっても、非常に簡単に双方向での高速ブロードバンド環境を構築することが可能となります。マンションなどの集合住宅のほか、ホテルでの高速インターネットサービスや、学校、学生寮、工場、オフィスでの構内LANの構築等、様々な場面において最適なソリューションをお客様に提供していきます。
弊社は本VDSL装置の出荷を4月より開始し、通信事業者およびマンションデベロッパー、企業ユーザなどに向けて提供し、2003年度に20,000回線の販売を計画しています。
【販売計画】
標準価格:集合型装置「EV4208S VDSL Switch」 275,000円
加入者モデム「EV4201B VDSL Modem」 28,800円
出荷時期:2003年4月15日
販売目標:集合型装置「EV4208S VDSL Switch」2,500台(2003年度)
加入者モデム「EV4201B VDSL Modem」 20,000台(2003年度)
【主な特徴】
- 上り下りともに高速通信が可能。
ISDNフレンドリモード:52Mbps(下り)/ 33Mbps(上り)
ADSLフレンドリモード:48Mbps(下り)/ 33Mbps(上り)
- ITU-T G993.1 Annex A準拠 および Annex Fの条件にも対応。
ISDNフレンドリモード:640KHz以上の周波数帯域を使用し、ISDNとの重畳が可能
ADSLフレンドリモード:1.1MHz以上の周波数帯域を使用し、ISDN/ADSLとの重畳が可能
- 小型サイズを実現。
EV4208S:340mm(W)x 260mm(D)x 44mm(H)
EV4201B:160mm(W)x 160mm(D)x 35.6mm(H)
- 効率的な運用管理を実現し、保守性を向上。
- 遠隔地からの装置設定や状態監視が可能なSNMP(注7)およびTelnet(注8)によるリモート管理機能を提供。
- 複数台の増設装置を一括管理するスタック接続(注9)により、優れた拡張性を実現。
- 豊富なL2スイッチ機能を提供。
- 各種VLAN(注10)機能によるセキュリティの実現。
【用語解説】
- (注1)VDSL(Very-high-speed Digital Subscriber Line)
- 電話用メタル回線にて高速通信を実現するxDSL技術のひとつで、ADSLと同様に非対称速度型であるが、伝送速度ははるかに高い。
- (注2)メディアコンバータ
- ユーザ側と通信事業者側を光ファイバで接続するための装置。VDSLが設置されるような集合住宅などの場合、家庭ごとではなく、集合住宅単位にユーザ側のメディアコンバータと 通信事業者側のメディアコンバータを光ファイバで接続することになる。
- (注3)構内MDF(Main Distribution Frame)
- 構内主配線盤。電話回線を一旦終端する端子盤である。MDFは電気通信事業者側とユーザ側にそれぞれ設置されるが、構内MDFはユーザ側の建物内に設置されたMDFである。
- (注4)L2スイッチ
- OSIモデルのレイヤ2で動作するスイッチ。
- (注5)ITU-T G.993.1
- (International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector G.993.1)
国際電気通信連合の電気通信標準化部門Gシリーズ勧告993.1。VDSLについて規定。
- (注6)ラストワンマイル
- 通信事業者の電話局と加入者宅の間の通常銅線ケーブルによるリンクを指す表現。通信事業者の基幹網が光ファイバ回線により大容量・高速化しても、集合住宅などの最後の近距離リンクは光ファイバの敷設が困難な場合がある。
- (注7)SNMP(Simple Network Management Protocol)
- ネットワーク経由で装置を管理するプロトコル。
- (注8)Telnet
- 遠隔地にあるコンピュータにリモート接続する仕組み。
- (注9)スタック接続
- 装置を増設するための接続。
- (注10)VLAN(Virtual Local Area Network)
- 物理的にではないが、実質上分割されたネットワークの構成。
- 記載されている会社名、製品名は一般に各社の商標または登録商標です。
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