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2002年12月10日
LSI製造技術で量産加工できる 光通信用の超小型シリコンレンズを開発
〜メトロ・アクセスネットワーク用高性能光部品の低価格量産が可能に〜
沖電気工業株式会社(社長:篠塚勝正)は、このたび光通信用の高性能光部品の低価格量産を実現可能とする、世界最小のシリコンレンズの開発に成功いたしました。このレンズの使用により今後急速な市場拡大が予測されるメトロ系およびアクセス系ネットワークで必要とされる、高性能で小型な光部品を低価格で量産することが可能になります。
今回開発した超小型シリコンレンズは、光通信の中長距離系で用いられる波長域(1.3µm、1.55µm)では透明であるシリコンを材質に用い、LSIの作製に広く用いられている製造技術を利用できる回折型レンズを採用しています。レンズの周囲を光ファイバの外形と同一な直径125µmの筒状に加工することにより、基板上のV溝で光ファイバとの高精度な位置決めを可能にしています。
現在光通信用レーザモジュールなどの光部品の量産には表面実装技術が広く用いられています。表面実装技術では、光ファイバ搭載用のV字型に精密加工された溝を持つシリコンV溝基板を利用し、レーザ素子などをアライメント用のマークを用いて基板表面へ搭載することで、全自動化を実現しています。しかしこれまではシリコンV溝基板で表面実装できるレンズがなく、レーザ素子など光源から出た光信号のごく一部分だけしか光ファイバに結合できませんでした。このため光出力が小さく、この技術の応用製品市場が比較的性能の低い光通信用部品に限定されており、光出力が大きく高性能な光部品の製造には、生産性が低く高コストなアクティブ実装技術に依存せざるを得ませんでした。
沖電気では、このような低コストで量産性には優れてはいるが、性能に限界のある従来の表面実装技術の解決に、シリコン加工技術を応用するための開発を進めて、今回の超小型シリコンレンズの開発に成功いたしました。
この超小型シリコンレンズは、レーザ素子や光ファイバーから出た光を、並行ビームに変換する機能を持っています。このためシリコンV溝基板上へ2個のレンズを搭載することで、レンズ間でコリメート光と呼ばれる並行ビームが伝搬でき、レーザ素子と光ファイバー間の光信号伝送効率を上げることができます。さらにレンズ間に、中・長距離の光通信用途で要求の高いアイソレータやフィルタなどの機能部品を容易に搭載できるため、シリコンV溝基板を、コンパクトで高機能・多機能な光部品製造のための共通プラットフォームとして利用することができます。
沖電気では今年末を目処に、今回開発したシリコンマイクロレンズのサンプル品提供を開始し、来年度以降に光通信用マイクロレンズの本格出荷を行う予定です。長期的には本シリコンマイクロレンズ技術をベースにして、様々な光部品で共通に利用できる、光学プラットフォーム事業としての展開を目指し、光通信用部品市場においてメトロ系やアクセス系およびデータ通信系でニーズの高い小型・高性能な低価格な光部品の実現など、幅広い分野に応用・展開していきます。
【開発技術の説明図】
【用語解説】
- 回折型レンズ:
- CADにより設計し、LSI製造技術を用いて製造できる平坦なレンズ。俗にフレネルレンズとも呼ばれる。
- 表面実装技術:
- シリコン基板上に精密に加工されたV字型の溝を持ち、光ファイバをこの溝中に配置し、レーザ素子などを基板の平坦部分に配置することで、光学素子間の高精度な光軸合わせを、自動で実現する低価格量産を目的とした光部品の実装技術。
- シリコンV溝基板:
- 表面実装技術で用いる、光ファイバやレーザ素子などの種々光素子を配置実装するプラットフォーム基板。LSI加工技術によって作製する。
- アクティブ実装技術:
- 光部品の実装・製造技術のひとつで、レーザ素子に通電したり、光ファイバに光信号を通したりすることで、実際に光信号の効率をモニターしながら、個々の素子の位置を精密に合わせ込むことで高い光の結合効率を実現する技術。長距離幹線系で用いられてきた光部品の製造に長年用いられてきた。精密に加工された部品点数が多く、労働集約的な生産方法。
- アイソレータ:
- ガーネットなどの結晶と、偏光子と呼ばれる光の偏波面を制限する素子とから構成され、一方向の光信号のみを透過させるという機能を持つ。光通信においては、光ファイバ中の反射光によるノイズの低減や、レーザ素子への戻り光を抑制し動作を安定化するなど、特に伝送速度の高いネットワークで多用されている。
- フィルタ:
- ある設定された波長の光信号だけを透過させる機能を持ち、主に一本の光ファイバ中に複数の波長の光信号を伝送させるWDM(wavelength division multiplexing)伝送などにおける、光信号の合波や分波に用いられる。
本件に関する報道機関からのお問い合わせ先
広報部 電話:03-3580-8950
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