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2001年10月3日

コンピュータの処理速度を飛躍的に向上させる
LSI間高密度光配線技術を開発

〜RWC 2001 最終成果展示発表会にて展示発表〜


沖電気工業株式会社(社長:篠塚 勝正)は、このたびコンピュータ処理速度の制限要因であるLSI間の配線ボトルネック問題を解決する、量産可能な新しいLSI間高密度光配線技術の開発に成功いたしました。今回の成功は、新たに光通信用の回折光学素子(LSI製造技術で量産加工できるレンズ素子)を低損失で設計する技術と、光素子とLSIチップを高精度かつ基板状態で一括量産する技術の2つを開発し、その両方の技術を組み合わせることで実現したものです。これにより2005年頃に頭打ちになると言われているコンピュータの処理速度の限界を回避し、さらなる進化が可能になります。なお、本技術は、経済産業省リアルワールド・コンピューティング(RWCP)プロジェクトの一環として開発されたもので、本日より東京・有明で開催されるRWC 2001 最終成果展示発表会(RWC 2001 Final Exhibition & Symposia)にて展示発表いたします。

コンピュータの性能向上は、プロセッサの処理能力とメモリ容量の向上により進められてきました。この結果、LSI間を接続する配線のスピードがシステム全体の性能を制限するいわゆる『配線ボトルネック問題』が新たな課題となっていました。光配線は、電気配線で問題となるインピーダンスによる信号遅延が存在しないことと、配線間干渉が生じないことから配線ボトルネック解消の有力な手段として注目を集めていましたが、光導波路を用いるアプローチが主流で、実現可能なチャネル数に限界があったこと、また自由空間で信号を伝播するという場合でも光素子とレンズの役割を果たす光学素子の高精度な位置あわせが困難であったため、課題を解決する技術として実現できませんでした。

弊社では光信号の波長に着目し、従来光通信で用いられていた光素子技術等を応用して開発を進めてきました。光源にはシリコン基板を通す透明な波長域1.55μmを用い、LSIチップの裏面に回折光学素子を高精度に位置あわせをして作り、基板直接接合法によって光素子と光学素子をひとつのLSIチップに集積した光素子集積型LSIを開発しました。そして、プリント基板の裏に石英板を光配線基板として配置することで、データ伝送を実現しました。また、回折光学素子は平板型をしており、CADでの設計が可能で、通常利用されているLSI製造技術で作ることができます。

今回開発した技術は、計算上2,000本/cm以上の高密度配線が可能となり、光配線特有の遅延のない高速・大容量伝送が可能なボード内のLSIチップ間配線を実現することができます。また、LSI製造技術を応用することが可能なため量産が容易であり、低コストで高性能な並列処理パソコン等への利用が期待できます。

今後、弊社では今回開発した回折光学素子技術を利用し、光通信事業においてメトロ系やアクセス系の光通信およびデータ通信でニーズの高い低価格な光装置を実現するなど、幅広い分野に応用・展開していきます。

【開発の背景】

これまでコンピュータの性能向上は、情報処理の中枢を担うマイクロプロセッサLSIの処理能力やメモリLSI容量の増強だけでなく、電気配線の並列性向上によるLSI間の配線スループットの改善により実現してきました。しかし、マイクロプロセッサの処理性能や並列化、メモリLSIの大容量化が急速に進み、プロセッサ・メモリ間やプロセッサ間を接続する配線のスピードがシステム全体の性能を制限する要因となる『配線ボトルネック問題』が次の大きな課題となっていました。
現在用いられている電気配線による接続は、配線に含まれるインピーダンスによる遅延と配線間の電気的干渉に配線密度が制限されるという2つの性能制限要因を持っています。一方、光配線はインピーダンスが存在しないことと、配線間干渉が生じないことから配線ボトルネック解消の有力なアプローチとして注目を集めていました。しかしながら、シリコンLSIにどのようにして化合物半導体からなる光素子を高密度に集積化するのか、また配線となる光信号をどのようにLSI間に導波するのかといったボード実装上の課題がありました。


【開発した技術概要】

弊社では、LSI基板材料であるシリコンに対して透明な長波長の光源を採用し、基板直接接合法によって、インジウムリン系材料の発光素子を搭載した、シリコン基板上に高密度に集積化した光素子集積型LSIを用いて、ボトルネックであった実装上の問題解決に成功しました。
光配線基板は、通常のプリント配線ボードの裏面に配置された石英基板上に作り込まれた複数の平板型回折光学素子で構成され、LSI上に集積された2次元光素子からの光信号イメージを、光配線基板をとおして別のLSIへ投影することによって光配線を実現するというものです。このような構成を採用することで、高密度の光配線が可能になるとともに、従来の電気配線を利用しつつ光配線を併用し、必要な配線のみ光化できる特長を持たせています。
計算上2000本/cm以上の高密度配線が可能となり、光配線特有の遅延のない高速・大容量のボード内LSIチップ間配線を実現することができます。
本光配線技術を導入することにより、8年後のパソコンの性能が3ギガ程度であると言われているのに対して、5ギガ程度の実現が期待できます。さらに、光学素子が平板構造であるため、光配線基板を容易にボードと一体化できるほか、既存のLSI製造技術での製造が可能なため、量産性を備えているという特徴も兼ね備えています。


【開発技術の説明図】

開発技術の説明図


【用語解説】

光素子集積型LSI:
発光ダイオードや半導体レーザなどの発光素子。あるいは半導体ホトダイオードなどの受光素子をワンチップ上に一体集積したLSI素子

光配線:
電気配線における金属線を用いた配線に相当し、空間的に離れた2点間を光の信号で接続する媒体を指す。光の場合はファイバや導波路などのほかに、電気と異なり空間を伝搬できるため自由空間を伝搬させることでも実現できる。

基板直接接合法:
一般に材質の異なる2種の基板を、面と面とを直接圧接し、加熱するなどして原子オーダーで接合させる方法。ハンダや接着剤などの中間物質を一切用いないという特徴がある。今回沖電気が開発した方法では、シリコンLSIの性能を劣化させることなく光素子を接着させる新しい方法である。

平板型回折光学素子:
CADにより設計し、LSI製造技術を用いて製造できる平坦なレンズなどの光学素子。俗にフレネルレンズとも呼ばれる。

2次元光素子:
2次元状に配列された面発行レーザ素子や光検出器などの光素子。

LSI間配線:
CPUチップとオンボードメモリチップ間、あるいはマルチプロセッサタイプのPCでは、CPUチップ間などを結ぶ信号線。通常はプリント配線基板上の銅配線により形成される。

配線ボトルネック問題:
コンピュータの性能は通常CPUチップのクロック数で表されるが、CPUの性能がLSI間配線の速度で律速されてしまい、トータルとしてのパフォーマンスが上がらなくなるという問題をさす。業界団体である半導体業界協会(SIA:Semiconductor Industry Association)のロードマップでは、2005年以降にはこの問題が深刻になると予測されている。

化合物半導体:
シリコン半導体と異なり、2種類以上の元素から構成される半導体で、光素子関係で通常用いられているインジウムリン(InP)やガリウムヒ素(GaAs)に代表される。

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    本件に関する報道機関からのお問い合わせ先

      広報部 電話:03-3580-8950

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